シカの採食圧を受け,林床植生が減少している森林と植生保護柵によって林床植生が回復した森林で林床リターの移動要因を検討した.ブナ林の斜面上に林床植生被覆率の異なる3個の試験プロット(2 m×5 m)を設置し,林床リター移動量の観測を行い,季節毎に各試験プロットで環境要因と林床リター移動量について重回帰分析を行った.その結果,影響の大きな要因は,林床植生が最も多い植生保護柵内のプロットで春季に期間積算降雨量,夏季に期間最大瞬間林内風速,秋季に最大30分間降雨量であった.次いで林床植生の多い植生保護柵内のプロットで春・夏季に期間最大瞬間林内風速,秋季に平均林内風速であり,林床植生が最も少ない植生保護柵外のプロットで春季に平均林内風速,夏季に期間最大瞬間林内風速,秋季に林床合計被覆率であった.シカの採食圧を受けた落葉広葉樹林では,林床リターの移動動態は地表面の被覆状態によって異なることが明らかとなった.
近年の気候変動に伴い,気温上昇という長期変化傾向は報告されているが,一方で季節区分の構造は果たして変化しているのだろうか?本報告では東京を対象に,気温の絶対値に依存しない新しい手法により各年の季節区分を行った結果と,その長期変動について紹介する.冬・春・初夏・夏・晩夏・秋の6季節からなり,階段状に気温変化が起きたと見なせる日を開始期日とする「気温季節」を,気候学的な季節区分から気温の側面のみを取り出したものとして定義した.各季節内で気温が一定であるとする統計モデルを1年間の気温推移に対して当てはめ,総残差二乗和を最小とする開始期日の組み合わせを採用するという手法で気温季節を客観的に決定した.気温季節区分は,気温以外の側面も考慮した従来の気圧配置型による季節区分とは明らかに異なった.1964年から2013年までの50年間の気温季節区分の開始期日・季節の長さの長期変動を求めると,晩夏の開始期日が遅れるとともに夏の長さが長期化していることが示された.平均的な気温上昇に影響を受けない気温季節区分において長期変化傾向が表れており,東京の季節構造が変化していることが示唆された.
インドネシア「海大陸」は真の大陸に比べ遥かに長い海岸線をもち,これに沿って日周期海陸風と共に生じる世界最強の雨雲が解放する潜熱は,日射(-日傘効果)と赤外放射(-温室効果)の差を埋めている.この地球保温機構は,同時に保水機構であり,それらと共に陸海空三重境界の不連続を回避する仕組の一つとして作られた生物圏や,その内部に派生した人類圏の生命維持機構でもある.特にスマトラ・カリマンタン両島の海岸の低湿地林とその遺骸蓄積が作る泥炭地は多量の炭素を固定しており,それらの輸出用農作物プランテーション化に伴う乾燥やエルニーニョ・ダイポールモード期に多発する火災延焼は地球温暖化の要因となっている.如何にして気候・生物・人類を共存させていくかを国際的・学際的に考えねばならない.
About millions of people in the endorheic basins of central Asia region rely on meltwater from glaciers for irrigation, hydropower as well as public water supply. Water stress is likely to peak in the relatively dry summers. Moreover, within these basins, different countries that compete with each other for water resources are particularly at risk of instability and conflict arising as a result of drought. Glacial ice is shrinking and also glacier losses are projected to continue region-wide. This shrinking store of ice will lead initially to increased glacier runoff at the beginning, however, shrinking glacier areas will lead to runoff reductions later. Therefore, for scientifical management and assessment of mitigation of change in the water used and stored, research idea - improving understating of present glacier runoff and future water availability in endorheic basins is shared here.