水文・水資源学会誌
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32 巻, 5 号
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巻頭言
  • 中村 哲己
    2019 年32 巻5 号 p. 229-230
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

     水循環基本法施行後5年の取り組みを踏まえると,施策の検討や評価を「見える化」する水循環解析モデルを,信頼性と透明性,柔軟性のある取り組み(CommonMPプロジェクト)で開発することが求められます.特に,地表水と違い挙動の追跡が難しい地下水を,地域特性に応じて管理するシステムの構築,SDGsの「目標6. すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」ために,流域の特性に応じて,水循環とともに水質(物質)や水に関連する生態系に関するさまざまな現象を要素モデルで再現し,必要な要素モデルを結合して一体的に協調・稼動できる流域水物質循環+生態系モデルの開発には,CommonMPが有効です.これらの推進により,健全な水循環の維持または回復に資することを強く願っております.

原著論文
  • 松山 洋, 坂和 佑一, 土橋 亨子, 小倉 紀雄
    2019 年32 巻5 号 p. 231-244
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

     東京の秋留台地周辺の湧水(白滝神社,二宮神社,森山会館)では,電気伝導度の有意な低下傾向がみられる(危険率1 %, Mann-Kendall検定による).そこで本研究では,なぜこのような傾向がみられるのか,これら3つの湧水を対象として2018年に水質調査を行ない,1994年の調査結果と比較することによって検討した.いずれの湧水でも2018年にはpHが上昇しており(危険率1 %,Welchの検定による),これには大気中の酸性物質の減少が影響していることが考えられた.2018年には電気伝導度,硝酸態窒素濃度および硫酸イオン濃度が低下しており(危険率1 %,Welchの検定による),後2者は農業排水および家庭排水の影響が考えられた.秋留台地が位置するあきる野市では1990年代以降農地面積が減少し,下水道普及率が上昇しているため,環境省による硝酸態窒素濃度の環境基準値の設定(1999年)に加えてこれらのことが,電気伝導度を含む湧水の水質に影響を与えていると考えられた.

研究ノート
  • 杉山 歩, 井原 哲夫, 辻村 真貴, 永翁 一代, 加藤 憲二, 丸井 敦尚
    2019 年32 巻5 号 p. 245-254
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

     浅層地下水における微生物群集構成に,環境因子が影響を及ぼすことを示唆する報告はあるが,深層地下水における環境微生物の動態に関する理解は十分とはいえない.本研究では,北海道幌延地域沿岸部のボーリング孔から採取された深度700 mを超える深層地下水を対象として,微生物数,群集構造の特徴を把握することを目的とし,無機溶存成分等の水文パラメータとあわせて微生物の空間分布特性を検討した.深度715 mにおける微生物数は2.68 (±0.03) × 103 cells/mL,FISH法によるBacteriaの検出率が14.9 %であった.しかし,より深部の943 mでは微生物数が1.87 (±0.09) × 105 cells/mL,Bacteriaの検出率が48.8 %と増加した.嫌気,好アルカリ,好塩環境に生息する多様な分類群の微生物が検出され,海水が混入した環境の可能性が示された.また,遺伝子解析からメタン生成菌の存在が示唆された.微生物活動によりメタン等が発生することを考慮すると地下環境における微生物分布,活性評価が重要であるものと考えられる.

技術・調査報告
  • 山田 拓也
    2019 年32 巻5 号 p. 255-262
    発行日: 2019/09/05
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

     イラン・イスラム共和国は中東の乾燥地帯及び半乾燥地域に位置している.1968年以降の降水統計を見ると,イラン全国の年平均降水量の過去50年間平均は,約248 mmである.しかしながら,年平均降水量は減少傾向を示しており,年平均降水量の近10年平均は約220 mmと,11 %程度減少している.これに伴い利用可能な水資源量も減少傾向にある.一方人口は増加の一途をたどり,1950年頃には3,000万人を下回っていた人口が2019年現在では約8,000万人を上回っている.加えて,都市化の進展や農業活動の活発化などにより水需要は著しく高まり,年間の水資源量のうち86 %を人間活動で使用しているなど,高度の水ストレス状態となっている.この結果,国内の様々な地域において恒常河川が間欠河川へと変化し,また社会活動における水の不足を補うために地下水位が継続的に低下している.このように,イランにおける水資源の管理に関する問題は,将来的なイランの社会経済活動の安定性や持続可能性に関わる非常に重要な問題となっている.本稿では,このようなイランの水資源管理が抱える課題について述べる.

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