熱帯モンスーン地域の山地流域の流出過程をシミュレートするためのモデル―Trophydsim-1―を用い,流域の土地利用の差が流出ハイドログラフや潅漑用水の安全性に及ぼす影響を分析した.中部ジャワのカリプロゴ川流域において,森林,畑,プランテーション(主としてタバコ),水田および集落の5つの土地利用区分の内のひとつが流域の80%を占めるというような極端な土地利用シナリオ(5シナリオ)とより現実的な土地利用(4シナリオ)を想定して上のシミュレーションを実行した.この地域における土地利用の急速な変化がもたらす水文過程への影響を,このモデルは比較的忠実に反映し,流域の土地利用管理や水田潅漑用水管理のためのシミュレータとして有用性の高いことを確認した.また,安定的な潅漑用水の供給という観点から,各サブ流域における望ましい土地利用パターンを判定した.
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