水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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早期公開論文
早期公開論文の3件中1~3を表示しています
  • 山崎 大, 岡田 実奈美, 矢澤 大志
    論文ID: 37.1826
    発行日: 2024/05/05
    [早期公開] 公開日: 2024/01/19
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     流域水循環を初等・中等教育で教えることは,水文学に興味を持つ学生を増やす,水災害や流域マネジメントへのリテラシーを高める,という点で重要と考えられる.カリキュラムを考慮すると流域水循環を短時間で効率的に教える必要があるが,降雨流出過程は多様な現象が相互作用する複雑なシステムであるため,記憶に残りやすい体験型教育ツールの開発は難しかった.本研究では,教育用プログラム言語Scratchを用いて視覚的に分かりやすい降雨流出モデルを構築し,地表面状態のキャリブレーションをゲームとして体験できるツールを開発した.東京大学生産技術研究所オープンキャンパスにて都市化と洪水に着目したワークショップを行い,講義形式の説明に加えて体験型ゲームに取り組むことが降雨流出プロセスの理解を深めるか分析した.その結果,都市化すると洪水が増えるという定性的な理解は講義形式でも深められるが,都市化の度合いによって流出ピークの量やタイミングが変わるという定量的な理解には自ら条件を変えた実験をするゲーム体験が効果を持つと示唆された.また,若年齢なほど講義形式よりも体験型ゲームによって理解が深まりやすいことも確認された.

  • 高薮 出, 花崎 直太, 塩竈 秀夫, 安部 大介, 生駒 栄司, 石川 洋一, 江守 正多, 大塲 あい, 小埜 恒夫, 嶋田 知英, 田 ...
    論文ID: 37.1823
    発行日: 2024/05/05
    [早期公開] 公開日: 2023/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     昨今、気候予測や影響評価に関する様々な情報が創出・発信されている。しかし依然として個々の意思決定者のもとにまでそれらの情報は行きわたっておらず、気候変動適応に関する意思決定がなされるまで効果的に利活用されているとは言い難い。この課題に対し、様々な分野の専門家が集まり、①気候予測と影響評価の専門家と適応策の意思決定者の関係はどうあってそれぞれ何をすべきか、②気候予測と影響評価の専門家と適応策の意思決定者は、効果的な適応策の実現に向けた強力な情報提供の主体である民間事業者、気候変動に係るリテラシーや合意形成に深く関わってきたマスメディアや環境NGO/NPOと今後どう共創・協働していくべきかについて、議論した。その結果、そこでは問題に関わる「情報創出」・「情報仲介」・「意思決定」の各主体が活発に双方向に情報共有しあうべきであることが浮かび上がった。また、その実現のためには幅広い主体間の定期的かつ対等な対話機会の確保に加え、情報創出者や情報仲介者の科学コミュニケーション能力のさらなる向上が不可欠であることも示唆された。

  • 沢田 明彦, 後藤 慎一, 増本 隆夫
    論文ID: 37.1813
    発行日: 2024/05/05
    [早期公開] 公開日: 2023/10/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     用排水路等の農業水利施設を含めた水田域の持つ潜在的な遊水地機能とその利活用方法を検討するため,マクロな水田域の貯留能力を定量化するとともに,その機能を用いた農村地域が流域治水に果たす役割を論じた.そこでは,流域の排水能力の整備水準を上回る超過洪水時に生じる水田域での氾濫水の貯留が,都市域の治水に貢献してきた実態を遊水地機能の効果として評価し,その機能を治水に利活用することを超過洪水に対する「ソフト対策」として定義した.次に,低平都市化水田域の西蒲原地区を対象に,排水(通水)能力Dと水田貯留能力Sの関係を定式化し,超過洪水に対する氾濫水を貯留するための水田貯留能力を定量化することで,水田域の持つ遊水地機能を評価する一連の手法を提示し,さらにソフト対策を案出した.加えてソフト対策は,遊水地の新たな整備や排水(通水)能力の増強整備といったハード対策より迅速な対応であることを論じた.最後に,水田域がポテンシャルとして持つ遊水地機能を,農業者側と都市側の協働による補償制度創設を前提に,非常時には流域管理・流域治水の一環として利活用することを,超過洪水対策の選択肢の一つとして提案した.

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