1999年より新湖北農業水利事業が実施された滋賀県湖北町で, 個人宅に存するほり井戸, 取水井戸, 自噴井戸, 川井戸の地理的分布, および, 水道普及前後の水利用の変化を明らかにした。すなわち, 湖北町の全集落は, 灌漑用水を主として湖北用水に依存するという等質性を有するが, 生活用水では水源利用の異質性が認められた。水道普及前後で生活用水用途別の水源を比較すると, 雑用水的用途では, 水道普及前に利用水源を二分していた川・水路水と地下水が, 水道普及後も水道以外の利用水源を二分していた。洗い場設置等の水路整備を検討する際は, 集落ごとに異なる地下水等の他水源の利用を考慮に入れることが必要である。
抄録全体を表示