青森県十和田市, 三沢市, 六戸町, おいらせ町にまたがる「三本木原台地」と呼ばれる豊かな穀倉地帯は, 今から150年ほど前までは, 灌漑用水がない荒野であった。
南部盛岡藩士の新渡戸傳は, 嫡子・十次郎とともに奥入瀬川からの導水工事を行い, 4.2kmの2カ所の穴堰と6.1kmの陸堰を掘り抜き, 安政6年, 4年の歳月をかけた三本木原への通水を完成させた。この人工用水路は, 南部藩主により「稲生川」と命名された。
その後, 稲生川開発 (三本木原開拓) は民間の開墾会社から国営事業に引継がれ整備が進められた。本報では, 不毛の三本木原台地を美田美畑に変えた先人たちの偉業を稲生川の歴史から辿った。
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