農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
77 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 小島 信彦
    2009 年 77 巻 12 号 p. 981-984,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    渓流河川からの取水に当たっては,従来,さまざまな工夫がなされ,多くの苦労のもとに維持管理が行われてきた。本報ではバースクリーン型渓流取水工を取り上げ,適切な設計のなされた構造物はその維持管理も容易であることから設計方法も含めて述べたものである。所期の機能を果たすために,バースクリーン型の渓流取水工は直線部に設けた方がよく,また,バースクリーンの目詰まりや堅牢性,清掃の容易さから,必要な段落高さが確保できる場合には,下方取水型(チロルタイプ)よりも後方取水型や複合型の方が望ましいことを示した。そのほか,各渓流取水工で行われている維持管理の事例を紹介した。

  • 田村 孝浩, 守山 拓弥
    2009 年 77 巻 12 号 p. 985-989,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地域住民の多くが農業農村整備事業における環境配慮の必要性に理解を示す一方で,その維持管理作業を負担することについては否定的な意向を示すことが少なくない。「総論賛成・各論反対」と呼ばれるこうした事態を回避し,土地改良施設の現実的かつ持続的なマネジメントの仕組みを考えるための基礎として,本報では環境配慮型灌漑施設の維持管理を地域ぐるみで実践している宮城県大崎市北小塩地区の事例分析を行った。その結果,地域の絆を取り持つような協働活動の蓄積がなされてきたこと,またWSによって住民自身が維持管理施設の環境的価値や利用動機を再確認したこと等が,事例地区において協働による維持管理作業が展開されている要因と考えられた。

  • 廣瀬 裕一
    2009 年 77 巻 12 号 p. 991-994,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報告は揚水水車の持続的な利活用に有用な知見を得ることを目的に,揚水水車の利用数の変化や農業者が揚水水車を選択的に利用する理由および揚水水車が撤去される理由を明らかにした。具体的には,灌漑用揚水水車は既往文献等から1980年代前後には77地区292基の利用が確認されたが,2007~2009年にかけて行った現地調査から,現在灌漑目的で利用されている水車は43地区143基で,30年間で半減したが,観光目的で保存が図られている事例も散見されたことを明らかにした。また,農業者等に揚水水車を利用している理由を尋ねたところ,経済性や労働負担の緩和等のメリットがあることも明らかになり,揚水水車の利用が有利になる条件(立地条件や水路の流速等)を明らかにすることで利用数増加の可能性が考えられた。

  • 佐藤 周之, 畠山 心徳, 齋 幸治, 篠 和夫
    2009 年 77 巻 12 号 p. 995-998,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地域が主体となって維持管理する中・小規模農業用水路の補修に関して,その現状と受益者の意識について把握するために,アンケート調査を行った。その結果受益者が農業用水路の変状として捉えるのは,ひび割れと目地の割合が非常に高く,逆に水路表面の劣化や摩耗については大きな問題として捉えていない可能性が示唆された。また,現状では,簡易補修として適切な材料選択および下地処理が行われているケースは少なく,今後簡易補修のための材料選択,下地処理について明確化していく必要があることが明らかとなった。さらに,これらの水利施設に関する適切な知識を受益者が認識するために,簡易補修に関するリーフレットの配布や研修会の開催が有効であると考えられた。

  • 森 丈久, 中矢 哲郎, 渡嘉敷 勝, 森 充広
    2009 年 77 巻 12 号 p. 999-1002,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    「農地・水・環境保全向上対策」の取組みが始まり,農業用水路の大部分を占める末端の小規模水路についても,農家や地域住民による点検や補修などの維持管理活動が行われている。しかし,具体的な補修方法等を解説した手引き類が整備されていないため,中には適切な補修が行われず,補修後短期間で再劣化する事例もある。そこで農業用水路に見られる主な変状と土地改良区職員等による簡易補修の実態を把握するとともに,農家や地域住民自らが小規模水路の点検・診断を行い,直営施工による補修の可否を判定する方法や,特殊な機械・機具を用いずに行える簡易補修方法等を具体的に解説したマニュアルを作成した。

  • 中村 義文, 小川 茂男, 石川 善成, 河田 直美
    2009 年 77 巻 12 号 p. 1003-1008,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー
  • 吉川 夏樹, 有田 博之, 三沢 眞一
    2009 年 77 巻 12 号 p. 1009-1013,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地形が複雑な中山間地域における農地の区画整理計画作成では,三次元的な空間把握に基づく計画の有効性が高い。従来の二次元的計画手法では,畦畔法面の予測が不十分であったため,施工後に予想外の潰れ地や段差が発生し,農家の不満が生ずることも少なくなかった。これまでにも傾斜地に対応した三次元計画支援システムが開発されたが,操作が困難である等の理由からほとんど使用されていない。そこで,筆者らは,より簡便に計画案を作成できる汎用性の高い手法を市販のGISソフトウェアを用いて開発した。本報では,中越地震被災地における等高線区画の設計を事例として,筆者らが開発した手法および作成した計画案の特徴を紹介する。

  • 櫻庭 光一, 十文字 康能, 松浦 正一, 太田 知之
    2009 年 77 巻 12 号 p. 1015-1019,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    インパクトボックスの設計方法は,流量に応じた標準的な減勢池幅に基づいて構造を決定する仕様設計が一般的であるが,新安積幹線用水路笹原川急流工においては,既設構造物と改修施設が一体となり,基準やマニュアルの適用が不適切となった。このため,性能設計の1手法として水理模型実験を行い,要求性能を照査した事例を紹介した。

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