農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
77 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
 
  • 野々村 圭造, 鈴木 隆善, 加藤 公平, 栗田 徹
    2009 年 77 巻 4 号 p. 253-256,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    ストックマネジメントの本格実施に伴いデータおよび技術的知見の蓄積が進んでいるが,実効的なストックマネジメントの取組みを実施する上でのさまざまな課題および検討事項が明らかとなってきている。そこで本報では,国営造成施設を対象に行われた機能診断の取組内容を紹介するとともに,その過程で明らかになった課題点を整理する。また,これらの課題に対する対応方針を整理するとともに,ストックマネジメントが次の段階へ発展するために必要な論点を概説する。

  • 伊納 昭彦
    2009 年 77 巻 4 号 p. 257-260,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    「農業水利施設の機能保全の手引き」や「農業水利施設ストックマネジメントマニュアル」などが制定されたことにより,体系化された手法による農業水利施設の機能診断が可能となり,ストックマネジメントの本格的な実践・定着が期待される。そこで本報では,開水路や水路トンネルなどの水路工を対象として,機能診断にかかる具体的な事例などを紹介し,「機能診断調査~機能保全コストの算定・比較」の段階を主に,改善されることによる効果が大きいと思われるストックマネジメントの実務的な課題と対応(私見)を整理した。

  • 樽屋 啓之, 三春 浩一
    2009 年 77 巻 4 号 p. 261-264,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報では,今後新たに水理・水利用機能診断の実務に携わる技術者や研究者に向けて,作業の参考とするための既往施設における水理・水利用性能からみた機能調査および機能診断事例を整理して紹介した。特に,事例の中で使用された調査・分析ツールとしての水路カルテと,それに含まれる性能診断項目の実地での有効性を示した。さらに,これまでの現場での調査経験に基づき,用水系で見られる典型的問題とその発生原因を考察することによって,将来的な機能診断に向けて留意すべきチェックポイントを整理した。整理の結果,用水系の水理・水利用機能に関する重要な問題は,水利システムの水需給調整機能を評価する上で重要な施設である分水工,およびその周辺に発現する場合の多いことがわかった。

  • 竹沢 良治, 毛利 正志
    2009 年 77 巻 4 号 p. 265-268,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    富山県において,平成19年度に流域を単位とする4地区,総延長154.2kmのコンクリート水路の保全計画の策定を行った。落差工や分水工を内包する全水路延長を供用年数,規模,構造を考慮して調査および評価を行う最小の延長単位(ユニット)に細分化し,「農業水利施設の機能保全の手引き」の健全度指標に従った5段階の評価を行った。さらに落差工などの劣化状況に応じて健全度評価の補正を試み,その結果から2次回帰式により有筋,無筋コンクリート水路の劣化曲線を求めた。これにより更新が必要となる健全度の供用年数は,有筋が47年,無筋が57年となる富山県の特性を踏まえた4地区標準劣化曲線が得られた。この劣化曲線と対象ユニットの健全度,供用年数を比較して今後の供用年数を予測する手法を紹介する。

  • ―費用便益分析の適用,渡良瀬川沿岸地区を事例として─
    國光 洋二, 中田 摂子
    2009 年 77 巻 4 号 p. 269-273,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    基幹的な農業水利施設の長寿命化によるライフ・サイクル・コスト(LCC)の低減を図るため,ストックマネジメント事業が実施されている。今後,本事業の政策評価に対応すべく,総合的な評価手法の確立が急務といえる。本報では,農業水利システム全体の総合耐用年数から長寿命化の効果を定量化し,施設のLCC算定と整合性を保ちつつ費用便益分析の枠組みでストックマネジメント事業の評価を試みる。評価方法を具体的に示すため,国営かんがい排水事業が完了してから約30年経過した時点でストックマネジメント事業による機能診断調査と機能保全計画を策定した渡良瀬川沿岸地区を対象に費用便益分析を実施した。その結果から,実際のストックマネジメント事業地区で費用便益分析の適用が有益であることを示した。

  • 藤原 鉄朗, 齋藤 豊, 森 丈久, 森 充広, 渡嘉敷 勝
    2009 年 77 巻 4 号 p. 275-278,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業用水路トンネルでは,落盤などによる突発的な断水事故が発生する危険性があるため,定期的な機能診断が必要である。しかし,ライフラインとしての社会的重要度がきわめて高い上水,工業用水との兼用農業用水路や,通年通水されている農業用水路では,断水が難しく,点検が困難である。そこで,筆者らは,これら断水が困難な農業用水路トンネルの変状を一次点検するためのフロート式画像撮影装置を開発した。開発した装置を二地区の農業用水路トンネルで実証試験を行った結果,一次点検として有効なひび割れなどの変状が記録できること,また,ガス検知計を搭載することによって有人目視調査の可否を判断する予備調査として有効であること,などが明らかとなった。

  • 鈴木 光剛
    2009 年 77 巻 4 号 p. 279-282,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    作物栽培においては,今,安全性と同時においしさ(旨味)を満足することが要求される。これに直接重要な役割を持つものは,灌漑手法とその水質である。そこで,ここでは作物の安全性とおいしさを決定付けている要因分析を行い,それを満たす灌漑水質に関して実際の水利システムの事例から調査研究した。水利システムが広域の場合,導入された用水の水質は水量とともに変動し,それぞれの受益地点で,独自な水質パターンを持つことが明らかになった。これらの水質変動を予測勘案し,これからの作物栽培に最適の灌漑水量と水質管理の創出を目標として,わが国の食料自給率向上の一助としたい。

  • 大串 和紀, 有田 博之
    2009 年 77 巻 4 号 p. 283-286,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    中国瀋陽市では,地域で生産される稲わら,もみ殻,トウモロコシの茎や芯を原料としたガス化施設を設置し,農家の炊事用の燃料として供給する取組みを推進している。中国では,稲わら等のバイオマスが十分に有効利用されているわけではない。また,旧来のように家庭燃料として直接燃焼すれば,燃料の準備,運搬の労力が必要で,煤煙などの害も発生する。当該ガス化施設は,簡易な施設で,炊事用だけとはいえ家庭用燃料が農村で手軽に確保できるシステムであるため,未利用資源の有効利用やCO排出抑制の観点からも望ましい。日本では,バイオマスのエタノール化に強い関心が集まっているが,開発途上国等に対しては,むしろこのような簡易なバイオマスガス利用システムの導入・技術改良が参考になると考え,筆者らの現地調査結果等をもとに,その取組みの概要を紹介する。

  • 細井 文樹, 大政 謙次
    2009 年 77 巻 4 号 p. 287-290,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
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    対象の3次元形状を計測できる可搬型3Dライダーは,農地や農業関連施設,水利施設等の3次元計測に応用でき,これら対象の現況把握や構造確認等に有用であると考えられる。また,得られた3DデータをGIS,特にWeb-GISに取り込むことにより,3Dデータを他の農業農村地理情報と関連付けて活用することが可能になると同時に,データの公開と共有が促進されるものと考えられる。そこで本報では,可搬型3Dライダーにより農地や水利関連施設の3D計測を行い,併せてRTK-GPSを利用して対象のグローバル座標系の絶対位置を計測し,3Dデータのグローバル座標系への統合とその精度の検証を行った。また,得られた絶対位置に基づく3DデータをWeb-GISの一つであるGoogle Earthに取り込み,この分野での可搬型3DライダーとWeb-GISの利用可能性について検討した。

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