農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
77 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 黒田 久雄, 加藤 亮, 中曽根 英雄
    2009 年 77 巻 6 号 p. 447-450,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    茨城県にある霞ヶ浦は日本第2位の湖面積を有する湖である。その水質は,人為的富栄養化が進み,昭和40年代からアオコの大発生を見るなど,現在でも国内の湖沼の中でも汚染度の進んだ湖である。霞ヶ浦の特徴と流域開発の歴史が水質汚濁に及ぼす影響は大きい。本報では,霞ヶ浦の特徴と開発の歴史を概観した。そして,霞ヶ浦水質の現状について説明し,問題点をあげた。さらに,現在行われている「霞ヶ浦に係わる湖沼水質保全計画(第5期)」による水質改善手法として流域対策を説明した。

  • 井上 恵博, 青柳 賢輝
    2009 年 77 巻 6 号 p. 451-455,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    千葉県北部で利根川下流に沿う北総台地は火山灰土特有の低い保水力で,灌漑用水は不安定な天水や地下水に頼り,干ばつの被害を受けやすく,不安定な営農を余儀なくされてきた。このため,北総東部用水,成田用水,東総用水の三用水が昭和45年から63年にかけ施行された。畑地灌漑を目的としたこれら三用水は,建設後20年から30年近くを経ている。各用水の概要と相互の関係,同じく管水路をポンプ圧送するシステムで,地形的な要因や建設時期の違いなどによる施設の特徴をまとめ,用水と施設の管理,共通課題であったファームポンドにおける水質対策,施設の老朽化などの現状について紹介するものである。

  • 柴田 知広
    2009 年 77 巻 6 号 p. 457-460,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    霞ヶ浦用水計画は1963年に茨城県が作成したが,当時は鹿島開発,つくば開発など増大する都市用水の需要を賄うため,利根川水系の水資源開発が国主導で進められており,1980年になり霞ヶ浦を水源とする国営事業が着工した。国営事業では水田補水と畑灌用の大規模な管水路システムを建設した。主な幹線水路は一期事業として1993年3月に完了し,2009年3月には国営事業全体が完了した。国営事業の概要について報告する。

  • 髙橋 修
    2009 年 77 巻 6 号 p. 461-464,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    土地改良区は,土地改良事業の広域性,公益性から,農業・農家のための土地改良区を脱し,地域に開かれた組織活動が求められている。印旛沼土地改良区は,国営事業の推進を大きな目的として「21世紀土地改良区創造運動」に取り組み,自己点検はもとより,事業効果のPRまた農業振興を図ることとした。

  • 池田 寿夫
    2009 年 77 巻 6 号 p. 465-468,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    近世江戸時代から昭和戦前期にかけて利根川下流域一帯の沖積層から成る軟弱かつ低湿地水田地帯では,冠水や洪水などによる被害に常に悩まされていた。このような劣悪な農業基盤環境の下で利根川下流域の稲作が,どのような農業技術や生産基盤整備の変遷を経て,国内有数の「早場米地帯」として米生産地を形成するに至ったか,また,都市化の著しい進展と相まって担い手の高齢化・減少,遊休農地の激増など農村文化の継承や地域コミュニティの崩壊が危ぶまれる中,利根川下流域における今後の農業の課題ならびに展開方向について考えを報告する。

  • 広瀬 慎一, 瀧本 裕士, 橋詰 巽
    2009 年 77 巻 6 号 p. 469-472,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    玄手川は,近年水路底を近自然工法で改修されたが,トミヨの繁殖を図るため,中流部に全長102mの生態系保護区(以下ワンド)が設けられた。水生植物の植被率は,工事施工後2年4ヵ月で78.1%とほぼナガエミクリを優占種とする極相に達した。極相に到達する速度は近自然工法で施工された本川の倍であった。トミヨの水草面積当たり推定生息密度は,本川の近自然工法施工前で2.2匹/m,施工後8年目1.7匹/m,ワンド施工後1~8年で平均4.3匹/mであった。以上より,ワンドでは水生植物およびトミヨの生育の観点から,良好な環境を形成しつつあり,玄手川の生態系保全において,本川の近自然工法とともに重要な役割を果たすことが期待できる。

  • 田中 邦彦, 石田 勲, 上野 眞也
    2009 年 77 巻 6 号 p. 473-476,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業農村をとりまくめまぐるしい変化の中で,農村の集落機能が低下している。このような中で,農村地域が持続的に存続するとともに,国内の農業や多面的機能を維持発展させていくためには,地域住民の信頼とネットワークを強化し,地域資源等を活用した地域活性化につなげていくことが有効なのではないかという視点から,ソーシャル・キャピタルを再構築する政策が注目されている。それは,旧来の農村社会の中で形成された閉鎖的なSCの再生ではなく,現代の農村社会に適応した新しいSCの構築を意味するものである。本報では,全国の農村集落においてSCに関するヒアリングやアンケート調査を通じ,現代社会に即した新しいSCの構築とそのための行政支援策について論じるものである。

  • 平岩 昌彦
    2009 年 77 巻 6 号 p. 477-481,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    ベトマ(Bethma)は,乾期に灌漑面積すべてを耕作するのに十分な貯水量がない場合に,ため池の灌漑面積の一部を利害関係者の間で一時的に再配分するスリランカ固有のシステムである。しかし,近年,農村地域をとりまく経済社会的な変化によって共同体機能が低下するに従い,ベトマを実施する機能の低下が懸念されている。本報では,近年,ベトマが導入されたフルルウェワ灌漑地区を対象に,その実施状況を分析した。その結果,複雑な農地再配分システムが農民組織のリーダーシップの下で,農民たちの経験・技術・ネットワークによって行われていることが確認された。また,クルネガラ県内の小規模ため池地区におけるベトマ慣行と比較した結果,フルルウェワ灌漑地区におけるベトマの実施方法は,農家間で農地を一律・公平に割り当てる点で共通していることが確認された。さらに,地域共同体としての農民組織において調整機能が存在し,貯水量がある程度確保できるという水資源の利用条件の下では,持続的な農業の観点から,ベトマが有効な手段として認識されていることが確認された。

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