農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
77 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 富樫 千之, 加藤 徹, 千葉 克己, 澁谷 幸憲
    2009 年 77 巻 8 号 p. 619-622,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    「菜の花プロジェクト」はバイオマス作物としてナタネ栽培,収穫,搾油,ナタネ油利用,廃食用油回収,廃食用油からのせっけん・バイオディーゼル燃料(B.D.F.)製造,農用トラクタ等ディーゼル機関燃料利用の地域循環サイクル活動である。本報は宮城県角田市の事例であり,その特徴としては,角田市枝野地域住民,角田市民のNPO法人における環境活動が中心であること,ナタネ栽培面積が拡大していること,地域循環システムの完成度が高いこと,角田市枝野地域が活性化していること,さらに小中学校,農業生産法人,民間B.D.F.製造会社,行政,大学が連携協働していることである。

  • 凌 祥之, 宮本 輝仁, 亀山 幸司, 陳 嫣
    2009 年 77 巻 8 号 p. 623-626,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    我々がこれまで沖縄県宮古島市を中心に行っている,バイオマス利用に関する実証研究プロジェクトの概要と成果の利活用に関して紹介する。プロジェクト研究では,島内の主要なバイオマスであるバガス(サトウキビの絞りかす)と肉牛ふんを主対象に,4種類の変換施設を導入し,持続的農業と環境保全を両立させるよう方策を検討している。特に,変換したバイオマスは農地還元を主体に考え,島内の唯一の水資源である地下水を保全するためのさまざまな技術開発に努めている。また,実証研究であるために,行政組織とも緊密な連携を取りながら課題を遂行している。

  • 清水 夏樹, 柚山 義人, 中村 真人
    2009 年 77 巻 8 号 p. 627-630,a1
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    近年,再生可能なエネルギー生産や二酸化炭素排出削減の点から資源作物に注目が集まっていることから,本報ではバイオエタノールやバイオディーゼル燃料の原料に適しており国内で生産可能な10種類の作物について,バイオ燃料の原料として栽培した場合の作物生産性,エネルギー収支,労働生産性,経済性等を試算することによって,資源作物の生産特性を評価し,バイオ燃料生産のための資源作物栽培の成立条件を明らかにした。作物生産性の観点から地域性や生産基盤の状況等を考慮する必要があること,また,エネルギー収支の観点および経済性の観点から投下労働力の低減と農業生産資材の削減が重要であることなどを明らかにした。

  • 森本 英嗣, 土井 和之, 柚山 義人, 仲上 健一, 星野 敏
    2009 年 77 巻 8 号 p. 631-634,ai
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報は,地域バイオマスの総合的・効率的な利活用方法を支援する「バイオマス総合利活用評価モデル」の概要とその適用例を紹介する。モデルの開発により経済性と環境影響の評価が同時に行えることになり,バイオマス利活用に伴う効果を多角的な視点で検討することが可能となった。本モデルは,政策や事業の意志決定要素に不可欠な経済性について,地域に合わせて設定条件を変更ができるため,条件変動を加味した比較検討をすることができる。また,公表されているバイオマスタウン構想71地区について適用し,バイオマス利活用における政策シナリオの評価手法の提案を試みた。これにより,ある地域が将来思索する利活用シナリオが既存のバイオマスタウン構想のどのランクに位置するのかを確認しながら検討することが可能となる。

  • 岡庭 良安, 三原 千宗, 岡島 賢治, 田中 忠次
    2009 年 77 巻 8 号 p. 635-638,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    バイオマス利活用施設としてのバイオガス施設は,メタンガスエネルギーが回収利用できること,およびメタン発酵後の消化液が肥料として利用できること等の利点を有している。しかし,消化液の液肥利用ができない場合は,消化液の水処理に大きなコストが発生する。本研究では,稼働中のバイオガス施設の経営実態調査を行い,消化液の農地還元率が施設の経営に大きな影響を及ぼすことを示した。さらに,農業集落排水処理施設と連携させた小規模メタン発酵施設について,実態調査をもとに消化液の農地還元率等を変化させた42ケースのシナリオを設定して経済性を試算した。その結果,小規模メタン発酵施設では,消化液処理方法と原料処理単価の設定が施設の経済性に大きい影響を及ぼすことを明らかにした。

  • 松井 明
    2009 年 77 巻 8 号 p. 639-642,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本研究は,非灌漑期にも水利権を有する茨城県筑西市の河間土地改良区の組合員を対象に,農業用水の多面的機能に関する意識調査を実施したものである。特に,冬水を流す期間および場所について,組合員がどのように考えているかをアンケート調査し,農村地域において水生生物および地域住民の双方にとって望ましい水管理形態を検討した。その結果,多面的機能を知っていた人は73%,知らなかった人は26%を示し,必ずしも組合員の全員が知っているわけではないことが判明した。特に,年齢別には若い世代の男性,農家タイプ別には第2種兼業農家の認知度が低かったことから,今後はこのような層に理解してもらうようアプローチするのが有効である。なお,多面的機能を知っていた人は,その機能を将来の世代に残したいと思う割合が高く,さらに保全意識が高ければ,保全対策にも積極的になる傾向を示したことから,組合員に農業用水の多面的機能を周知徹底すると同時に,さまざまな活動を通じて,非組合員への理解を深めてゆくことが効果的と思われる。

  • 広瀬 慎一, 瀧本 裕士, 高瀬 智志
    2009 年 77 巻 8 号 p. 643-646,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    砺波市の庄川左岸沿いの休耕田で地下水涵養実験が継続的に行われている。水収支法による観測によれば,3カ年にわたる13カ月平均日減水深で221mm/日であった。また,一筆減水深法による集中観測では,13回平均で231mm/日であり,この休耕田では200mm/日を超える地下水涵養が継続的に可能であった。経費は約1円/mであった。対岸で行われている浸透池方式による工業用水水道施設では,5,200mm/日の浸透・給水が営業ベースで行われている。経費は約45円/mであった。両手法とも浸透後の水質は,飲料水基準を上まわっている。浸透池法によれば,高価であるが大量供給が可能であり,水田法によれば,安価であるが少量である。

  • 川島 秀樹, 浅野 孝
    2009 年 77 巻 8 号 p. 647-650,a2
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    米国第一位の農業販売額を誇るカリフォルニア農業の著しい発展の陰には,大規模な水資源開発ばかりでなく,農業灌漑技術の発達や農業関係者による農業用水の効率的かつ持続的な使用への努力に寄与するところが大きい。他方,農業に大きな恩恵を与えてきたこの農業用水について,深刻な渇水問題や環境問題をはじめとして,現在,さまざまな課題に直面している状況にある。そこで,本報においては,州の重要な資源として位置付けられている水資源のうち,特に農業用水に着目し,過去から現在までの農業用水を巡る状況と将来に向けての動向について2報に分けて紹介する。まず,本報では,カリフォルニア農業の概要および灌漑技術の発達に着目し,その概要を報告する。

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