農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
78 巻 , 1 号
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  • 渡邉 紹裕
    2010 年 78 巻 1 号 p. 3-7,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地球環境問題には,地球温暖化の影響評価や適応・緩和,生物多様性や生態系の保全など,農業農村工学分野が解決に貢献すべき分野も多く,責任も大きいが,具体的に課題が組織的に設定されて,研究が着実に進展しているとは言い難い。この状況に鑑み,農業農村工学会では「地球環境問題に関する研究推進小委員会」を中心に対応を検討しているが,その中間まとめを軸に,研究展開の実態と喫緊に取り組むべき課題を整理した。本報では,その概要を紹介するとともに,地球環境問題の性格とその取組みの課題を踏まえて,農業農村工学分野のビジョンとして追究をめざしている「水土の知」の地球環境問題への取組みにおける役割を論じた。

  • 高橋 順二
    2010 年 78 巻 1 号 p. 9-14,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地球温暖化に伴う気候変動により水の時間的・地域的な偏在性が強まると予測される中で,農地・農業用水等の農村資源を最大限に活かし,温暖化に対して強靱な地域社会を構築していくことが重要な課題となっている。本報では,まず温暖化に関連する気象・水象や関係府省等の取組みを概括した。次に,農業農村整備における温暖化リスクへの対応に当たっては,施設・水管理等の既存の取組みの中やその延長上に適応・緩和の視点を組み込むことや,相乗的に対策の効果を増進させる視点を持つことが,現在の問題解決につながるとともに,将来の効率的な対応策を検討する上でも有効であることを指摘し,当面取り得る具体的な適応策・緩和策と技術開発の展開方向を提言した。

  • 増本 隆夫
    2010 年 78 巻 1 号 p. 15-19,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業農村工学会の「地球環境(地球温暖化)問題に関する研究推進小委員会」が,地球温暖化に関連して喫緊に取り組むべき研究分野として検討したいくつかの分野の中から,水循環変動ならびに食料・エネルギー分野に焦点を絞り,現在進めている。温暖化が流域水循環や食料生産に及ぼす影響の研究の現状について紹介した。ここでは,各種農業水利用を組み込んだ分布型水循環モデルやそれを基礎とした水-食料モデルの特徴を示し,開発したモデルが将来の対策シナリオの検討や温暖化の影響評価に利用できること,さらに実際にメコン川流域や関川流域の温暖化による灌漑や灌漑施設に対する影響が具体的な数値として示せることなどを明らかにした。

  • 八木 一行
    2010 年 78 巻 1 号 p. 21-24,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農耕地から発生する温室効果ガスである,二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),および亜酸化窒素(一酸化二窒素:N2O)について,その発生・吸収と発生緩和策について,研究の現状を紹介する。加えて,モニタリングとモデリングの連携,LCAによる総合的な評価,社会経済的評価の追加,発展途上国への展開など,今後,必要な研究の方向について意見を示す。

  • 勝山 達郎, 平山 周作, 美作 多加志, 北出 一郎, 家元 雅夫
    2010 年 78 巻 1 号 p. 25-28,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    石川県では,「里山」を,人と自然とが共生するモデルとして,未来の世代に継承していかなければならない貴重な「財産」と位置付け,利用・保全する取組みを進めている。県行政においては,県庁の部局横断組織として「里山利用・保全プロジェクトチーム」を設置し,モデル事業等に取り組んでいる。大学においては,里山に関する調査・研究や人材育成の取組みが行われているほか,H20年4月には里山・里海の研究を行う国連大学高等研究所の研究施設が金沢市に設置された。このような中,農業農村整備事業では,従来からの取組みに加え,里山の生き物に配慮した施設の整備や,里山の水と土に関する調査を新たに進めている。これらについて概要を報告する。

  • 高橋 俊守
    2010 年 78 巻 1 号 p. 29-32,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    生物多様性の保全は,持続可能な発展を維持するために取り組むべき重要な課題の一つとされている。生物多様性を適切に管理するためには,生態系の変化やそれに伴う生物群集のモニタリングが求められるが,これにリモートセンシングを適用することができる。本報では,ASTERに着目し,二時期の衛星データを用いて農村生態系の空間構造を地図化する基本的な方法を紹介した。リモートセンシングは,農村生態系の空間構造を,迅速に把握する有効な手法となる。リモートセンシングを用いて生物群集の出現を効率的に予測することができれば,農村生態系における生物多様性の維持管理計画を立案するために有効な手段を得ることになるであろう。

  • 山岡 賢, 柚山 義人, 中村 真人
    2010 年 78 巻 1 号 p. 39-42,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    木炭等の炭化物は固定炭素を多く含有し,農地施用することで土壌炭素貯留が期待される。しかし,農業生産の観点からは炭化物を積極的に施用する費用対効果が見いだせない場合が多い。著者らは,メタン発酵の残さである消化液の濃縮・減量の観点から開発した新たな技術を,炭化処理と連携することで,炭化物の農地施用を支援できる展望を得た。同技術では,消化液中のアンモニア性窒素を抽出し炭化物に添着する。本技術を適用した炭化物は,土壌施用後,短期的には窒素肥料としての働きが期待され農業生産に貢献でき,長期的には炭化物本来が持つ土壌改良効果が期待されるとともに,炭素貯留となることが期待できる。筆者らが開発した手法および作成した計画案の特徴を紹介する。

  • 木下 勝義, 山下 雄彦, 橋本 里詩
    2010 年 78 巻 1 号 p. 43-47,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    国営総合農地防災事業「香川地区」は平成5年度に着工し平成20年度に完了見込みである。本事業では198カ所のため池および関連施設を改修した。本報は本事業では最大級のため池である「小川下池」の改修内容について報告するものである。小川下池は昭和20年代に築造された中心遮水ゾーン型フィルタイプ,堤高26.8mのため池である。後年,漏水対策としてカーテングラウチングが施工されており,現況堤体構造としては特殊である。改修設計では堤体・底樋の現況調査や漏水経路調査の結果を踏まえ,確実で経済的な前刃金タイプの改修工法を採用した。現在,改修後の初期湛水中であるが,計測漏水量は許容値の20%程度となっている。

  • 高井 和彦, 三輪 弌
    2010 年 78 巻 1 号 p. 49-52,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    砂利採取や河道掘削に伴う河床低下によって堰下流河床の局所洗掘が発生し,多くの堰でその安全が脅かされている。河川には,淵と瀬をもつ砂礫堆が形成され,水流が左右に大きく蛇行することから,堰下流の河床洗掘形状は,堰と砂礫堆との位置関係で変化する。堰下流河床の局所洗掘現象を,水路実験によって,全体的な河床低下と3次元形状を持つ砂礫堆との両面から分析し,現地事例との対応を明らかにした。次に,深掘れ軽減対策として,現場で採用されることの多い護床工の延長の効果について実験的検証を行った。この結果,2段式や斜路式護床工により,深掘れ範囲や深さが軽減されることが確認できた。

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