農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
78 巻 , 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 上坂 博亨, 後藤 眞宏, 小林 久, 駒宮 博男, 水林 義博
    2010 年 78 巻 8 号 p. 661-664,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業用水を利用した小水力発電の実施に関連して,経済,制度,技術など種々の問題点が指摘されている。経済性に関しては,売電価格,建設コスト,制度では河川法や電気事業法などの法制度,技術面では低コストで高出力の機器開発など,解決すべき問題は多い。本報では,農業用水を利用した小水力発電を巡る課題である法制度的障害,地域技術力の消失など複雑に絡み合った状況,小水力発電に関するステークホルダーの参加による懇談会で明らかになった問題点や課題,そして今後の小水力発電の目指すべき方向として,自治体や土地改良区,地域主体による小水力発電,地域電力によるエネルギー自給,農村地域のエネルギー生産基地について論じた。

  • 後藤 眞宏, 内田 隆志, 加藤 信介, 岡本 将之, 大木 啓司, 長谷川 大祐, 髙木 強治, 浪平 篤
    2010 年 78 巻 8 号 p. 665-668,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業用水路の流水エネルギーに着目して,用水路への流況の影響が少なく,運動エネルギーを効率よく取り出すことが可能な水車である並進翼水車を開発して,実際の農業用水路へ設置し,実証試験を行った。本水車の特徴は,水路側壁の嵩上げや水車設置に伴う工事等大規模な改修を行うことなく,流水エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換できる点である。実証試験では,水路底幅3.75m,水深1m,勾配1/1,500の水路に,幅3m,奥行0.9m,高さ1mの水車を設置し,水車の上下流水位差0.2m,発電出力1.5kW,水車効率76%の結果が得られ,緩勾配水路においても小水力エネルギーの発電が可能であることを示した。

  • 奥島 里美, 吉田 弘明, 森山 英樹, 石田 聡
    2010 年 78 巻 8 号 p. 669-672,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    地中から得られる10℃前後の低温水でも,水熱源ヒートポンプにより暖冷房に利用可能である。地中は年間を通して温度が安定しているので,通常の空気を熱源とするヒートポンプに比べて消費電力を25~50%少なくすることが期待されている。欧米では住宅やビルの空調に広く普及し,地中熱はソーラー,バイオマスとともに最も期待できる再生可能なエネルギーであると認識されている。わが国では広く普及するまでに至っていないが,農村地域は比較的水が豊富であり,地下水を利用できる地域が多くある。また,農業用水が整備され,農業用パイプラインの冬のたまり水やダム・ため池の底水といった,比較的安価にアクセスできる水熱源も存在している。これまで利用されていなかったこれらの低温水の利用の可能性について述べる。

  • 丹治 肇, 桐 博英, 白谷 栄作, 小林 慎太郎
    2010 年 78 巻 8 号 p. 673-676,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    最近,欧州や韓国では海洋エネルギーの利用技術の研究が潮汐,波力,潮流で進んでいる。2020年ころには,実用化が進み,温暖化対策としても有効と考えられている。一方,わが国は,経済的排他水域が大きいにもかかわらず対応が遅れており,今後の展開が期待される。たとえば,潮位差は相対的に小さいので,今まで,国内で潮汐発電の検討例はない。しかし,干潟の排砂や河口閉塞対策との併用であれば,実現の可能性がある。有明海の潮汐発電兼排砂施設など海岸保全施設への応用したときの試算例を示した。

  • 中尾 誠司
    2010 年 78 巻 8 号 p. 677-680,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    水田や耕作放棄地などにおける放牧では,太陽光発電型の電気牧柵器を利用している。水田放牧地などで利用されている,これら電気牧柵システムの太陽光発電の電気を家畜飲水の管理に利用できれば,これまで行われてきた水運搬や送水作業は省かれ,家畜管理の省力・軽労化が図られる。筆者は,太陽光発電型の電気牧柵システムと直流形ポンプシステムを組み合わせた家畜飲水供給システムを考案し,放牧試験地において,その適用性を検討した。その結果,システムは良好に稼働することから,水田との複合経営などの小規模な放牧畜産において利用できることが明らかとなった。

  • 植山 秀紀
    2010 年 78 巻 8 号 p. 681-685,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報では,地形が複雑な中山間農地において適用可能な,アメダス観測値から任意地点の日射量および気温を推定する手法を紹介するとともに,中山間地域におけるアメダスデータの活用例として,霜発生率評価法および葉いもち病の発生危険度評価法を紹介する。霜発生率評価法では,津山気象台の地上気象原簿から霜発生率[旬の総日数に対する霜発生日数の割合]を,また葉いもち病の発生危険度評価では病害虫防除所の巡回調査データから葉いもち病平均発生程度を算出した。そして,霜発生率および葉いもち病平均発生程度の推定モデルをアメダス観測値から開発することで,霜発生率および葉いもち発生危険度を中山間地域で評価した。

  • 鈴木 純, 星川 和俊
    2010 年 78 巻 8 号 p. 687-692,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    長野県松本盆地の南西部に広がる畑地帯において,冬から春にかけて砂塵が大規模に飛遊する。現地においては,メッシュによる土壌面の被覆や,麦類による草生などの対応策がとられている。しかしながらその効果については確認されていない。また草生による対策に関しては,早春のレタスなどの植付けのために,砂塵が飛遊する時期には麦や牧草などの草生が土壌にすきこまれてしまうなどの問題がある。そのために,この一帯で砂塵の飛遊が大規模に発生することの素因と誘因について検討した。気象条件を見ると,一帯の冬季間は寒冷,乾燥し,砂塵の発生を誘う強風が吹くことがわかった。そして土壌は飛遊しやすい0.01mm以下の粒径の土粒子が43%含まれていることがわかった。土壌は団粒構造が発達しているが,冬季に寒冷で乾燥した気候によって土壌が細粒化(一次粒子化)すると,強風時に飛遊しやすくなることが明らかとなった。

  • 九鬼 康彰, 三宅 康成, 工藤 庸介
    2010 年 78 巻 8 号 p. 693-698,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報では神戸市の共生ゾーン条例に基づく農村景観の保全や形成に向けた取組みの実態を明らかにし,都市近郊の農村地域における農家の景観意識や取組みの意義を考察した。その結果,対象地区では市主導という背景の下,農地の荒廃防止や地域資源の整備といったこれまで地区で行われてきた活動の延長上に景観に関する取組みを位置づけ,住民は身近な環境整備が景観の向上につながるという意識を持っていることが読み取れた。また,地域指定の範囲は住民の負担感や不公平感に配慮して定められたことが分かった。最後に都市化や少子・高齢化に伴う変化を想定し,これまで暗黙のルールであった建築物などの景観要素の基準を明文化させるなどの対応が必要であることを指摘した。

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