農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
78 巻 , 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 岡島 賢治, 鏑木 諒, 飯田 俊彰
    2010 年 78 巻 9 号 p. 747-750,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農地内に存在する石積み土留め(農地内石垣)の被災と復旧関する研究はこれまで行われておらず,その実態の把握も限定された地域内に限られている。本研究では,町内全域に農地内石垣を有する熊本県熊本市河内町に着目し,市役所職員,施工業者,所有農家に対するヒアリングと熊本市単費の小災害復旧事業によるデータをもとに,被災実態と被災頻度が町内で10年間に2,188件に上ることを示し,その復旧が農家に大きく依存していることを報告した。また,同事業が農地内石垣のリスク管理として効果的な役割を果たしていることを示した。さらに農地内石垣保全の面からみた水路兼用道路の広域的な防災機能の可能性について言及した。

  • 川本 治, 山田 康晴, 井上 敬資, 正田 大輔, 瀬川 徳子
    2010 年 78 巻 9 号 p. 751-754,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    現在,ため池,水路や田畑等の防災上の管理では多様な主体の参画を得ていくために,保全の重要性を分かりやすく解説し,具体的な貢献のメカニズムを科学的に究明する手法が求められている。その手法の一つとして,浅層地下水流動の浸透解析シミュレーションの結果に基づいて,豪雨時の浸透水流入指標・流出指標を考慮した傾斜地水田の定量的な防災・管理指標の評価・マップ化の手法および結果を示した。典型的な地形の現地を設定して浸透水流入指標・流出指標から推定される乾燥型農地・湿潤型農地区分と浅部地下水の現地計測結果との比較を行った結果,防災管理マップ上での判定は現地計測結果との対応関係が認められた。

  • 増本 隆夫
    2010 年 78 巻 9 号 p. 755-758,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    気候変動に伴う災害リスクの軽減のために,豪雨時の大氾濫に焦点を絞り,低平水田地帯が持つ洪水防止機能の考え方や機能評価法の妥当性について検討した。また,その機能が運用された事例を紹介して,超過洪水時に水田の洪水防止機能を利用する流域管理方法に関する提案を行った。ここでは,まず,その洪水防止機能をマクロに評価する方法を紹介し,実際に発生した東海豪雨や新潟豪雨に伴う氾濫を例に,その機能評価法の妥当性について検討するとともに,異常洪水に対する適応策としてその機能を利活用する流域管理方法を示した。特に,検討の中心として,低平水田地帯の大氾濫を焦点に,水田や農業用排水施設が持つ洪水防止機能を積極的に利活用する方法を提案した。

  • 堀 俊和, 毛利 栄征, 松島 健一, 有吉 充
    2010 年 78 巻 9 号 p. 759-763,a1
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    近年,集中豪雨の多発により,老朽化ため池の被災が多数報告されており,ため池の決壊に伴う二次災害が増大する傾向にある。このことから,豪雨時のため池の安全性を向上し,ため池の減災対策を行うことが急務となっている。一方,全国の改修が必要なため池は約2万個といわれており,減災対策の低コスト化が必要となっている。本報では,農村地域の減災対策を目的として,ため池の減災対策方法の決定手法について述べる。始めに,数多くのため池の中から,対策が必要なため池を選定し,かつ対策の優先順を決定する方法について述べる。次に,減災対策にはハード的な対策やソフト的な対策が考えられるが,複数の減災対策の中から,ライフサイクルコストを用いて最適な手法を選定する方法について述べる。

  • 桐 博英, 丹治 肇
    2010 年 78 巻 9 号 p. 765-768,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    近年の河口低平農地を襲った3つの高潮災害事例を振り返るとともに,温暖化で気象環境が変化した場合の河口低平農地の高潮災害のメカニズムを検証した。高潮災害の事例から,①河口低平農地が大規模に被災するケースが各地で発生している,②現状の設計諸元を超える規模の高潮が来襲している,③前浜を含めた海岸管理の状況により,災害の危険性が増大している場合がある,ことが明らかとなってきた。河口低平農地の高潮対策では,適切で確実な防御対策を進めるとともに,巨大な高潮災害に対しては,市街地のバッファとなる機能が今後求められることが考えられる。

  • 重岡 徹, 山本 徳司, 栗田 英治, 木下 貴裕
    2010 年 78 巻 9 号 p. 769-773,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    内発的発展の推進に向けて住民の主体的な参加を実現しようとするとき,住民参加の前提となる住民の地域(空間/環境)に対する主体的態度の醸成が図られなければならない。主体的態度は,住民の地域に対するアイデンティティを基盤として醸成される。地域アイデンティティは郷土景観によって育まれる郷土感情から創出される。このため景観を契機とする郷土感情の変容は,地域アイデンティティの再醸成を促す。この地域アイデンティティの再醸成が住民の主体的態度を再醸成していく。本報では,農業農村整備事業が地域景観を巡る郷土感情を動揺させることで地域アイデンティティを再醸成し,そのことが住民の地域づくりに対する主体的態度の再醸成を促しうるのではないかと考える。この視点から,文化的景観に配慮した農業農村整備事業を実施した地区を事例として,事業の導入が地域アイデンティティを再醸成し,その過程で住民の主体的態度も再醸成されていくことを観察して,農業農村整備事業の有する新たな貢献内容を推論する。

  • 赤江 剛夫, 濱田 浩正, 諸泉 利嗣, 石黒 宗秀, 守田 秀則, 中矢 哲郎
    2010 年 78 巻 9 号 p. 775-778,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    津波災害史上最大の被害者を出した,2004年12月24日に発生したインド洋津波は,沿岸部農業農村地域においても大きな被害を発生させた。こうした津波被害だけでなく,地球温暖化に伴う激甚な台風や高潮による農地の海水侵入が懸念される現在,その対策の策定において基礎的な知見の取得が必要である。よって本報文では,インド洋津波により死者行方不明者8,000人以上の甚大な被害が生じたタイ南部地域沿岸を対象に,津波被災後の農業被害実態と,現地でなされた工学的対応,営農上の対応による復旧対策の事例について報告する。また被災から約3年後2007年8月の農地塩害被害状況,農地の復旧状況,津波対策の効果に関する現地調査結果について報告する。

  • 東 崇史, 長谷部 均
    2010 年 78 巻 9 号 p. 779-783,a2
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    中国北西部の草原の状況は急激に悪化・砂漠化しており,その荒廃を食い止めることが喫緊の課題となっている。そのため,さまざまな取組みが行われており,その取組みの一環として灌漑設備を備えた人工草地を建設し,長期的な飼料生産を実現させる取組みを実施している。一方,現地の牧民がこれらの施設を効率的に利用できておらず,貴重な灌漑用水がムダに利用されている現状がある。そのため,中国内モンゴル自治区杭錦旗,新疆ウイグル自治区ムーライ県において現地実証試験圃場を設置して効率的な灌漑施設の建設および飼料作物の生産に向けた検証を行った。今回の報文では,2008年に実施した地区での実証試験の結果および今後の課題について報告する。

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