農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
79 巻 , 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
 
  • 田中 宏明, 岡本 誠一郎
    2011 年 79 巻 11 号 p. 809-812,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    大規模な灌漑の開発は,急速な都市人口の増加や工業化とともに,水資源の枯渇をもたらしている。灌漑用水は世界の水消費量の4分の3を占めているため,水使用量を削減しつつ,農業需要を満たすため新たな水資源を見出すことが,水資源問題解決への鍵となると考えられている。この一つの解決法として下水処理水の再利用があり,世界的にその重要性が認識され,拡大している。本報では,下水処理水の再利用の利点,再生水のリスクマネジメントの必要性,海外での下水処理水の農業利用,わが国での下水処理水の農業利用,下水再生水のチャレンジとして現在実施している研究プロジェクトを概説する。

  • 治多 伸介, 中矢 雄二
    2011 年 79 巻 11 号 p. 813-816,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    下水再生水の水田への灌漑水としての利用には,日本のみならず世界各国で期待が高まっている。本報では,日本での再生水の水田利用の現状や,これまで日本で得られてきた主な知見をとりまとめ,今後の発展性を論じた。すなわち,従来から広く行われてきた「再生水の希釈利用や減肥条件下での利用」の背景と重要性を示すとともに,近年の高度処理技術の発展に伴う,通常の施肥条件下における「再生水の無希釈利用」の普及への期待を示した。さらに,再生水のため池貯留の有効性や,窒素・リンと,それ以外の成分についての再生水の肥料効果と水田での水質浄化効果についても言及し,それらの効果の活用が,今後の再生水利用のさらなる発展性に大きく寄与する可能性を示した。

  • 比嘉 明美
    2011 年 79 巻 11 号 p. 817-821,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    沖縄県本島南部地域に位置する島尻地域では農業用水は小規模なため池や河川水,地下水の汲上げに頼っており不安定なものとなっている。このため,これらの地域での農業用水源のひとつとして,再生水(下水再生処理水)の利活用に着目し,新たな農業用水の水源としての可能性について検討した。再生水中に含まれる窒素を利用した窒素肥料の低減効果については判然としなかった。塩類濃度が高い処理水の散布はカルシウムの吸収を抑制することが示唆され,栽培後の土壌の化学性は再生水区で水道水区に比べEC,交換性ナトリウムの増加が確認された。施設栽培では塩類集積作用がより一層発生しやすので塩類濃度の高い処理水の利用は希釈利用が必要になる。

  • 高畠 寛生
    2011 年 79 巻 11 号 p. 823-826,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    現在,世界各国で下水再生水の農業利用展開が進んでいる。その再生水生産として従来から利用されている技術は,下水二次処理水を凝集(沈殿)処理した後,砂ろ過して濁質を除去し,さらに殺菌処理する方法である。一方,特に設置面積の削減,処理水質の安定性などから,膜を利用した再生技術が急速に普及してきている。再生水の農業利用展開においては,その安全性が求められる。特に,ウイルスは,限外ろ過(UF)膜の孔径と大きさがほとんど同じであるために完全な除去が困難である。そこで,本報では,UF膜処理技術で米国カリフォルニア州のTitle 22で求められるウイルス除去率5.2 logを達成するための研究を中心に整理した。

  • 濵田 康治, 白谷 栄作, 人見 忠良
    2011 年 79 巻 11 号 p. 827-830,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    限られた水資源を有効に利用するため,下水処理水の再利用(再生水利用)が着目されている。乾燥地などでは再生水の農業利用にも積極的であり,国際標準化機構では2013年に処理排水の灌漑利用に関するガイドラインを作成する予定である。わが国における再生水の農業利用は,年間の農業用水利用量の約0.02%にすぎないが,ISO国際規格への対応として再生水の農業利用に関して科学的な情報を蓄積し何らかのガイドラインなどを準備する必要がある。また,科学的な検証に裏付けされた安全性を確保するだけでなく,消費者に食の安全とリスク管理について正しく理解してもらうためのさまざまな努力も求められる。

  • 渡邉 和眞, 小谷 匡
    2011 年 79 巻 11 号 p. 831-834,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    ラオスでは1990年代中頃から本格的な灌漑開発がはじまり,アジア開発銀行やオランダの支援により,灌漑政策にかかる法制度の整備や組織強化などが進められるとともに,灌漑施設の農民への管理移管政策が導入されたが,維持管理に関する農民組織への技術指導などは十分に行われず,組織の管理運営能力も不十分であった。この結果ポンプ施設や幹線水路の維持管理に支障をきたし,折からの燃料費高騰などもあって,2002年以降灌漑栽培面積は減少に転じ,2005年には61,000haまで落ち込んだ。本報では,このような状況に関して移管制度や現場の実態について報告するとともに調査データを用いて分析し,ラオスにおける今後の灌漑開発の進め方について考察する。

  • 山下 正
    2011 年 79 巻 11 号 p. 835-838,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    土木構造物と施設機械から構成される頭首工および用排水機場の補修は,地域の営農,気象,管理方法などに沿って実施されている。完成直後からの平均的な傾向が把握できれば,個別施設の適時適正な補修の判断に役立つと考えられる。しかしながら,完成直後からの補修費,補修間隔の推移の分析はこれまで行われていない。そのため,全国の完成直後からの補修記録を,土木構造物と施設機械に分類するとともに,平均補修費や平均補修間隔の推移などを分析し,頭首工および用排水機場における補修の傾向を取りまとめた。その結果,平均補修費は年数が経つに連れて増加する傾向があること,ゲートの塗装などの平均補修間隔は1回目よりも2回目が大きいことなどが明らかとなった。

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