農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
79 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 谷 茂, 井上 敬資, 老中 浩泰
    2011 年 79 巻 2 号 p. 79-82,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報告はため池データベース,氾濫解析機能,および防災情報発信機能を有する「ため池DBハザードマップ作成システム」についての概要と,本システムを利用した地域でのため池危機管理への取組みを紹介するものである。本システムはため池の情報を集約した「ため池データベース」機能が主な機能であるが,「氾濫解析」機能として既存データを利用することにより,簡便かつ低コストで氾濫解析が可能であり,この結果によりハザードマップが作成できる。さらにリアルタイム気象情報を利用してため池の災害予測が可能なシステムである。災害の発生が予測される場合には防災情報の確実な伝達,および的確な避難行動が可能になる。本システムはいくつかの地方自治体で導入されているが,さらに農政局・県・市町村などに普及が図られつつある。具体的事例として,京都府でのため池危機管理への取組み事例を紹介する。

  • 倉田 高士, 松本 延城, 高岩 庸博, 稲垣 正晴
    2011 年 79 巻 2 号 p. 83-86,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    ため池の機能低下として池底に溜まる堆積土の存在が挙げられる。本来持ちうる貯水保有量が確保できないと,豪雨により,ため池被災形態の1つである越流破壊などの危機性がある。堆積量把握には深浅測量が利用されるが,堆積量算出には出来形形状データを併用しなければならない。しかし,情報の元となる図面や台帳が存在しない場合が多く,有効利用が阻害される。現池底と原池底両方の形状がわかれば,堆積量計算が可能となり,出来形形状は不要となる。本報では原理的にそれを可能とする低周波型電磁波レーダ法の紹介と,堆積量測定への適用結果から,その有用性について報告する。

  • 竹内 国雄, 坂本 康文, 林 大介, 橋本 学
    2011 年 79 巻 2 号 p. 87-90,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    近年の異常気象,集中豪雨により,ため池の貯水が堤体を越流し,致命的な決壊を生じることが懸念されている。このような,異常な降雨に対して,ため池の機能を確保し,さらに設計洪水量よりも大きな洪水を,安全に排水させる方法として,堤体の一部分を切り欠き,越流水路を設置することが考えられる。この越流水路の被覆工として,近年開発された複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料 (HPFRCC) の優れた力学特性に着目し,ため池下流側にHPFRCCを適用することで,ため池の堤体越流による決壊の防止にも寄与できるものと考え,種々の検討・開発を行ってきた。現在計画しているHPFRCCは,農林水産省官民連携新技術開発事業として開発したものであり,新工法の確立を目的として,鳥取県のため池にて試験施工を実施している。

  • 西山 壯一
    2011 年 79 巻 2 号 p. 91-94,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    ため池の決壊はため池そのものと下流の農地の被害のいわゆる農業被害のほか,その下流に存在する民家,道路,鉄道など公共施設の被害の方が大きいことも十分あり得るので,漏水の探査などため池の管理は単にため池の長寿命化のみでなく地域防災上も重要である。さらに近年は,農業人口の減少に伴い,管理に対して省力化がいままで以上に求められている。このような時代背景にあり,低コストで新しい時代にあったより効率的な漏水探査システムの開発が期待される。漏水に関しては測定結果が正確かつ客観性が高いこと,測定結果からの判定が容易なように解析手順がシステム化され,省力化が可能であることが望まれる。放射温度計による漏水探査は一般に低コストであり,測定が簡便で,結果がコード化されているのでデータ処理が容易など多くの長所を持っている。本測定器を用いた場合の漏水探査の特徴および漏水箇所の判定方法を論じた。

  • 長谷坂 兼司
    2011 年 79 巻 2 号 p. 95-98,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    兵庫県には,約43,000カ所のため池があるが,近年,受益農地の減少や農家の高齢化などにより,ため池の管理が粗放化し,安全性の低下が危惧されるため池が数多く見られるようになってきた。このような状況のなか,平成16年の台風23号では,兵庫県の淡路島で1,299カ所のため池が被災し,そのうち181カ所が決壊するとともに,重ね池などの複数のため池が連鎖的に決壊したため下流に大きな被害をもたらした。これまでは,老朽化した個々のため池を整備してきたが,地域全体のため池を考慮した総合的な整備を行うことが必要と判明した。農村災害対策整備事業を活用し,地域住民によるワークショップを開催し地域防災に関する意見を出し合い,総合整備計画を策定している地区の事例紹介と,ため池管理者を対象とした安全管理研修会,防災点検講習会等のソフト対策の事例を紹介する。

  • 桝山 清人
    2011 年 79 巻 2 号 p. 99-102,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    (財)全国建設研修センターでは,「土木の絵本」シリーズとして全5巻を発行し,全国の公立小学校延べ24,072校(1997年当時の学校で分校含む)に配布した。土木という題名ではあるが,その内容は信玄堤,狭山池など農業土木に関わるものが多く描かれており,小学校では2002年に導入された「総合的な学習の時間」や「社会科」などに活用されている。本報文では,全国の小学校のアンケート調査により得られた結果から,将来農業土木技術者を育成するための課題について考察した。

  • 大上 安定
    2011 年 79 巻 2 号 p. 103-107,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    土壌侵食が深刻な問題となっている南米ボリビアにおいて,政府や援助機関によって実施された土壌保全対策事業の多くが期待された成果を達成できずに終わっている事例が散見される中,ボリビア政府が1983年から実施した緊急復興小規模灌漑事業が水土保全対策として例外的に成功を収めている。本報では,ボリビア国ポトシ県テコヤ地区で過去に行われた同灌漑プロジェクトの成果が現地に根付き,農地土壌保全対策が施されたテラス農地が一面に広がる野菜の大生産地へと変貌した過程および集落における水管理体制の構築過程について紹介し,プロジェクト実施において伝統的集落組織アイユ(Ayllu)が果たした役割を明らかにするとともに,その成功の要因について考察する。

  • 高橋 悟, 堀田 朋樹, 北中 真人, 鈴木 伸治, 豊田 裕道
    2011 年 79 巻 2 号 p. 109-112,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    天水農業に依存する東アフリカの半乾燥地域における食料不足,飢餓,貧困問題への根本的な解決には食料生産力アップ,食料生産の安定化が不可欠である。そのためには,雨水を上手く「取り」「溜める」ことが重要で,半乾燥地における陸稲のネリカの栽培をめざす「ウォーター・ハーベスティング」と「連結ため池」の活用による灌漑農業を提案している。本報文は1)“連結ため池灌漑システム”の考え方,2)灌漑水収支シミュレーションによる適用可能性の検討結果,3)国際協力機構(JICA)の技術協力スキームのもとエチオピアで実施した実証調査(2007~2009年)から得られた半乾燥地域のため池整備において配慮すべき特徴について述べるものである。

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