農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
79 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
 
  • 水谷 正一
    2011 年 79 巻 3 号 p. 161-165,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業農村工学会は,2010年10月に名古屋で開かれたCOP10のパートナーシップ事業として,シンポジウム「農村における生物多様性の保全」を開催した。本報は,このシンポジウムの基調講演をとりまとめたものである。農業農村工学分野で水田水域の環境修復に関する取組みが始まったのは1990年代であった。その後,2001年の土地改良法一部改正により土地改良事業では「環境との調和への配慮」が原則化され,環境修復の取組みは燎原の火のように全国に広がった。すなわち2001年から今日までの10年間は,土地改良事業が農村の生態系を視野に入れてさまざまな試みを開始した画期ともいうべき時期となった。そこで水田水域に関する環境修復の研究や技術に焦点を当てて10年間の成果を総括するとともに,今後さらに必要と考えられる取組みについて整理した。

  • 森 淳
    2011 年 79 巻 3 号 p. 167-170,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    わが国の豊かな農村生態系は二次的自然,モザイク構造,水域ネットワークという特徴を持つが,社会経済的情勢の変化の影響で変質してきた。生産基盤の整備は生産性向上など社会的使命を果たしてきた一方で生息場所に影響を与えた。環境配慮が正式に土地改良法に位置づけられてからほぼ10年が経過するが,希少種の偏重,モニタリングの形骸化など問題点も残されている。近年の事業費削減の中で,事業費の増嵩という先入観に基づき環境配慮を放棄する行為は公益を損なう。効果は不十分だろうが「できるところを行う」だけでもプラスになる。地元を動かすのは意欲のある担当者であり,事業主体である。

  • 鈴木 正貴
    2011 年 79 巻 3 号 p. 171-174,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    圃場整備事業は,農作業の効率化や低コスト化など農業従事者に恩恵をもたらす一方で,水域ネットワークを分断して,魚類の生息環境を悪化させている。そこで,本報告は,分断された水域ネットワークを構築する技術として,1)水田の水尻に設置する小規模魚道と,2)農業水路内の落差工に設置する粗石付き片斜曲面式魚道,および3)頭首工に設置するハーフコーン型魚道についてそれぞれ紹介した。これらの工法は,いずれもモニタリング調査を行って生息魚に対する効果を確認しているから,その効果に対する信頼性は高い。すなわち,環境修復のハード技術は,信頼性の向上と普及のために,効果の検証を行うことが必要である。

  • 広田 純一
    2011 年 79 巻 3 号 p. 175-178,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    環境に配慮した圃場整備は,農村地域の生物多様性の保全に寄与する一方で,農家の営農や維持管理に影響を及ぼすため,事業参加農家を中心とする地域住民の合意形成がきわめて重要となる。2001年の土地改良法の改正以来,全国各地の圃場整備の現場で「環境との調和への配慮」の取組みがなされてきたが,そうした経験を通じて明らかになってきたのは,関係者の合意形成なしには効果的な環境配慮そのものが困難であるということである。そこで本報では,筆者が関わった地区での経験や他地区の事例を参考に,環境に配慮した圃場整備における合意形成の手順と方法について,現時点での筆者の考えを述べる。

  • 江川 春彦, 和田 英紀, 長谷部 均
    2011 年 79 巻 3 号 p. 179-183,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    平成11年度に制定された「食料・農業・農村基本法」では,農業の持続的発展を通じた食料の安定供給の確保や多面的機能の発揮,これを支える農村の振興が基本理念に位置づけられている。これを踏まえ,平成12年度の土地改良法の改正においては,「環境との調和への配慮」が事業実施の原則として位置づけられ,土地改良事業の実施に際し,生態系や景観,水質,親水機能などの環境との調和に配慮した事業を実施することとなった。本報では,国営中信平二期農業水利事業において平成17年4月の事業所発足以来,環境配慮対策として特に重点的に取り組んだ①景観検討ワークショップ,②生物環境検討委員会の2つの活動内容について報告する。

  • 吾郷 秀雄, 中桐 貴生, 林 幸博, 高砂 大
    2011 年 79 巻 3 号 p. 185-189,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    ホンジュラスにおいて日本政府の貧困農民支援(旧食料増産援助;通称,2KR)の見返り資金を活用して,現地NGOによって2005年から2年間にわたって実施された農村金融事業 (CRAC: Cajas Rurales de Ahorro y Credito) の事後評価を行った。その結果,CRACの対象地区では,CRAC開始から3年の間に,主として農業生産や食生活が向上し,住民の生活が改善され,貧困解消の効果が見られたことが明らかとなった。また,金融分野の専門性を有する人材育成や確保,生産の多様化と付加価値付けなどによる集落住民の収入の向上,集落組織の強化とリーダーの育成などが今後の事業展開における課題であることを述べる。

  • 細井 文樹, 日坂 彰, 大西 亮一, 大政 謙次
    2011 年 79 巻 3 号 p. 191-194,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業用水源として重要で,かつ多面的機能を有するため池の現況形状の把握は重要な課題であるが,その複雑な形状ゆえ,正確な形状計測は今まで困難であった。そこで本報では,複雑な対象でも3D形状計測可能な可搬型3Dライダーを用い,ため池の形状計測を行い,得られたデータよりため池の3Dモデルを作成し,そのモデルから可搬型3Dライダーによる現況形状把握の有効性について検証を行った。さらに得られたため池の3Dモデルから,水位ごとの貯水量の推定も行った。得られたため池の3Dモデルは数cmの精度で精密にその形状が再現されていることが確認され,またそのモデルをもとに貯水量の推定も正確に行えることが確認された。

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