農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
79 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 近藤 直樹, 広瀬 伸
    2011 年 79 巻 8 号 p. 591-594,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    徳之島の農業はサトウキビ作が主体で,群島一農地が広いにもかかわらず,その生産性は低位にとどまり,「サトウキビと闘牛の島」という旧来の姿が厳然と存在している。近年,この島では若い芽の息吹きが見られる。まず,新しい農業の若い担い手を採り上げる。彼らの参入動機,思考や行動,将来構想などを通じて,次世代の担い手像を展望する。もう一つの息吹きとして,平成21年に伊仙町に開設された島内最大の直売所「百菜」がある。ここでの試みは,新たな農業・産業の形に向けての模索といえるだろう。これらのさまざまな取組みはまだ小さな萌芽ではあるが,旧来の「サトウキビと闘牛の島」というイメージからはとらえきれないユニークなものであり,島の停滞を打破し,地域の振興にとって計り知れない可能性を提示するものである。

  • 柿野 亘, 稲葉 光國, 冨井 登美子, 菊池 俊雄
    2011 年 79 巻 8 号 p. 595-598,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    栃木県河内郡上三川町において,有機農業を核とした地域づくりの一環で行われた地元消費者による生きもの調査と農業体験の事例について報告する。この中で,生きもの調査の2009,2010年の調査結果の比較を行った。これらを踏まえ,地元消費者による農業・農村への関わりがより発展することを目指す上で,参加した消費者に期待される役割について考察した。すなわち,生きもの調査を農法のひとつとして位置づけること,生きもの調査と農業体験が継続され,生物の生息分布の中・長期的変化を実感することが,地域の生態系管理的な仕組み形成の可能性につながると期待された。一時的であってもこのような可能性を有する関わりは農村地域において有効・有益であると考えられる。

  • 中里 良一
    2011 年 79 巻 8 号 p. 599-602,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    大学生が農業・農村に関与することは,大学での講義や研究への理解や興味が深まるなど大学生自身にとって有効であり,行政や農家,農村地域にとっても,農業支援,将来の担い手や応援者の確保,農村の活性化などを推進していく上で有効である。多くの大学生を継続的に農業・農村に関与させる手法として,サークルという枠組みを用意し,活用することが有効であると考えた。本報では,琉球大学「おきなわ食・農研究会」および静岡大学「棚田研究会」の事例を紹介しながら,サークルの設立という手法により,大学生を農業・農村に関与させる方策およびその有効性について報告する。

  • 粟生田 忠雄
    2011 年 79 巻 8 号 p. 603-606,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    埼玉県小川町の霜里農場では,1970年代から継続して有機農業に取り組んできた。生産・加工・流通に至る農業の6次産業化を進め,消費者と連携した地域づくりを実践している。この農場の経営は多彩である。堆きゅう肥を農地に還元する土づくり,畜産ふん尿の発酵で生じるメタンガスを利用したエネルギー自給,廃食用油を再利用した農機などの燃料自給,間伐材を利用したウッドボイラーの給湯と床暖房,種苗交換による種の持続性確保,地元の発酵産業との提携によるプレミア商品の開発,有機農産物を使ったレストランの経営,都市企業と連携する地域支援型農業CSAなどである。特に,CSAで大きな役割を担ったのは,農商工連携コーディネータである。本報では,霜里農場におけるエネルギーや物質循環による有機農業を基礎とした農商工連携による地域支援型農業の内発的発展の成果と課題を紹介する。

  • 山下 良平
    2011 年 79 巻 8 号 p. 607-610,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    わが国が直面する人口減少,農産物市場の国際化を背景として,地域ブランド化はマーケティング戦略で優位に立つためにきわめて重要である。本研究は,購買頻度が高く,土地利用型農業の基幹的作物である米の購買行動を分析対象とし,日常的な購買行動と地域ブランド評価の関係を調査した。そして,より地域ブランドを包括的に捉えて,米の評価が生産現場や土地そのものの魅力へと拡張しているかも併せて考察対象とした。結果的には,客観的に知覚できる食味や価格から徐々にロイヤルティが形成されていくが,銘柄や産地名といった価値は認識の確度が高くないことが看取された。また,地域自体への魅力を感じる消費者は約半数であり,マーケティング戦略の可能性の一端が示された。

  • 藤澤 和謙, 村上 章, 西村 伸一
    2011 年 79 巻 8 号 p. 611-614,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    本報では,ため池堤体の越流侵食過程を安定的に解くことができる数値解析手法を紹介する。同手法では越流水の流れは浅水流方程式を有限体積法によって解き,それから得られる底面摩擦力から侵食速度を用いて侵食による堤体表面の形状変化を逐次的に解析する。しかし,堤体上を流れる越流水は,その堤体形状の変化に伴って急激に変化するため,安定的な侵食計算が困難な場合が多い。ここでは,侵食の安定化を図るための一手法として,侵食面のラプラシアン(凹凸)を考慮した解法を提案する。本報では,提案する解析手法を簡潔に説明し,その手法によって得られる解析結果を報告する。

  • 坂田 賢, 友正 達美, 内村 求
    2011 年 79 巻 8 号 p. 615-620,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    夏の平均気温が観測史上最高となった2010年には,水稲の高温による被害が多くみられた。米の出荷量上位20県の営農者を対象に,同年に実施した高温対策目的の営農手法および収穫玄米の外観品質に関するアンケート調査を行った。畦畔除草,水の見回り,移植・収穫期の調整など,追加の費用負担が少なく,比較的取り組みやすいと考えられる営農手法を実施した営農者の外観品質が高くなった。また,出穂期以降の水管理では,水管理手法の違いによる差はほとんどなく,営農者の意図する水管理ができるだけの用水が十分に供給されている場合に外観品質が高くなり,用水の充足の程度が外観品質の良否に及ぼす影響は,営農手法の選択より大きいと考えられる。

  • 中野 實, 德永 幸太郎, 馬渡 広二, 吉武 弘之, 溝添 正一, 中村 健一
    2011 年 79 巻 8 号 p. 621-624,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    国営農業水利事業「都城盆地地区」(以下「本事業」という)は,昭和62年度に着工し,平成22年度に完了した。本事業実施に当たっては,木之川内ダム,導水路の建設などにおいて,特殊土壌地帯に特有の調査・設計・施工の課題に取り組んだ。完了に際し,その一部を紹介する。

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