農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
79 巻, 9 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
 
  • 中村 好男
    2011 年 79 巻 9 号 p. 669-672,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    千葉県市原市を流れる養老川には,わが国の農業水利技術史上特筆すべき木造の西広板羽目堰が築造され,昭和53年まで農業用水の供給を行ってきた。しかし,翌年にコンクリート可動堰に改修されてからは,板羽目堰の技術を継承すべく,数年ごとに非灌漑期に組立てと開放を行い,地域の貴重な水利資産として公開を行ってきた。その後,堰の組立て・開放の公開は予算などの関係から中断され,伝統技術の継承が懸念されたが,平成18年に市民活動によって市内の小河川に板羽目堰が復元されることになった。本報では,復元された板羽目堰の組立て・開放技術の粋を見つめ直し,地域づくりに貢献する伝統的水利技術の役割について考察した。

  • 渡邉 紹裕, 広瀬 伸
    2011 年 79 巻 9 号 p. 673-676,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    農業農村工学会創立80周年記念出版「水土を拓く」において,「水土を拓く」とはどのような営為か,そのため〈水土の知〉はどのように働くかが議論された。その際のポイントは,「知」が働いて事をなす,その機能(方法)をつかまえることにあった。すなわち,人々は生存のために水土を拓く営為を積み重ねてきたが,それぞれの場所や時代で,その条件に応じた知の働きがあったはずで,それを抽出しようとした。また,知の内容や範囲について,現行事業や現在の工学・技術に加え,伝統知や土着知といわれる知の働きも含め,できるだけ広く,かつ一般化しうる切り口を整理し,その機能を7つの方法に整理した。本報告では,事例を挙げてこの検討の過程を見直し,〈水土の知〉の働きぶりを論じた。

  • 島 武男, 久保田 富次郎, 廣瀬 裕一, 田中 尚人, 古賀 由美子
    2011 年 79 巻 9 号 p. 677-681,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    使う人と作る人がより近かった歴史的水利システムには,使うことに対し,現代よりも細やかな工夫が施されていることが推察され,それらの工夫を現代の技術に活用することは重要な視点である。そこで,熊本県山都町通潤用水を事例として水利システムの形状などの特徴を整理するとともに,現在も参考にできる水管理に関する工夫について再評価,再考した。

  • 榎本 淳, 松本 康夫, 三宅 康成
    2011 年 79 巻 9 号 p. 683-686,a1
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    伝統的な水利施設の一つにマンボがある。マンボは地下水や地表からの浸透水を素掘りのトンネルで集める横井戸の一種である。1960年以降,農業の合理化や近代化の流れの中でマンボの役割は大きく低下してきた。一方,マンボは地域の発展に貢献し,水不足の問題解決に尽力してきた地域の歴史そのものであり,地域資源としてきわめて重要な農業水利施設である。本報はマンボが高密度に分布する岐阜県垂井町を事例として,マンボの歴史的経緯,分布,利用実態を明らかにするとともに,現代における意義・役割,今後の活用のあり方を考察するものである。

  • 廣瀬 裕一, 島 武男
    2011 年 79 巻 9 号 p. 687-690,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    かつて水田面積拡大を目的に構築された自然エネルギーを利活用した農業水利システムは,明治期以降,化石燃料などの枯渇性エネルギーを利用したシステムに置き換えられてきた。一方で近年の温室効果ガス排出削減の要求に対して,自然エネルギーの再利用が検討されている。本報は,自然エネルギーを活用した農業農村整備の推進を目的に,かつての自然エネルギーを利用した農業水利システムの整理を通して,それらの性能や特徴を検討した。

  • 渡辺 富雄, 浅利 達朗
    2011 年 79 巻 9 号 p. 691-694,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    国営による圃場整備事業(国営農地再編整備事業)の実施に当たり,いさわ南部地区は平成13年の「環境との調和への配慮」を定めた土地改良法改正以前から計画的な環境配慮に取り組んだ地区として,注目を集め,調査・計画・実施段階でさまざまな試行錯誤のなかで進めてきた。今回は事業の完了に当たり,事業に取り入れた環境配慮の取組み内容と,継続的に行ったモニタリング結果の評価ならびに環境への配慮に対するアンケート調査を通じた受益農家の意識結果について紹介する。

  • 有田 博之, 吉川 夏樹, 三沢 眞一
    2011 年 79 巻 9 号 p. 695-699,a2
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/08
    ジャーナル フリー

    傾斜地における耕地の区画整理では,筆者らが提案している道路抜き工法型等高線区画の技術的な適合性・合理性が高いが,採用事例はなく,普及に課題を残している。普及上の最大の障害は,計画作成支援ツールの不備であった。等高線区画の計画においては,三次元空間の中で複数の計画条件を確認しながら進める必要がある。しかし,これまでに開発されたツールは,操作性に乏しく,習熟が困難であったため,普及につながらなかった。こうした技術上の障害を解決するため,筆者らは耕地の区画整理のGISによる設計支援手法を近年新たに開発した。本報は,これを用いて新潟県柏崎市の急傾斜地耕地で実施した計画案作成における工夫の事例紹介である。

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