農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
80 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 松本 精一, 青山 咸康
    2012 年 80 巻 4 号 p. 247-250,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成23年3月11日14時46分頃,「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」が発生(政府は,この地震による災害の名称を「東日本大震災」とした)し,地震動と津波により東北・関東地方を中心に農地・農業用施設などに激甚な被害をもたらした。本報では,東日本大震災における農業農村工学会災害対応特別委員会が中心となって行った学会活動としての現地調査団の派遣,農地塩害被害地,ため池被害施設などの現地調査,情報共有化としてのシンポジウムなどの広報活動等について報告する。

  • ─国からの報告─
    齋藤 晴美, 前田 健次
    2012 年 80 巻 4 号 p. 251-256,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東北地方太平洋沖地震はこれまでにない長時間振動で,その応答スペクトルは短い周期にピークがきている。この地震による巨大な津波は重層的かつ広域的にがれきの堆積,農地の塩害,沈下,陥没,液状化や放射性物質の汚染などの甚大な被害をもたらした。このような東日本大震災に対処するため,国は土地改良法の特例を定め,除塩事業を創設し国自らが災害復旧ができるようにした。復旧の基本理念は農村コミュニティの再生であり,最終的には東日本食料供給基地の再生を目標とする。このため,営農再開に至るまでの農地・農業用施設の復旧の流れを示し被災地の農地を中心とした土地利用調整を進めるとともに,国直轄の災害復旧事業を進める。

  • 佐々木 忍, 鎌田 裕
    2012 年 80 巻 4 号 p. 257-260,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東日本大震災津波による未曾有の大災害の発生を受け,岩手県では,沿岸地域の被害状況を速やかに把握するため,官民協働の「農地・農業用施設災害復旧支援隊(通称:NSS)」を発動し,市町村に代わって被害状況調査を行った。以降,国や30道府県から職員を派遣していただきながら,災害復旧事業の導入に向けたさまざまな取組みを開始した。復旧・復興の基本的な考え方として,“可能な限り24年春の営農再開を可能とすべく復旧工事に着手”,“農家の意向に応じて災害復旧と一体的に進める圃場整備の導入を推進”,“農地海岸保全施設については頻度の高い津波を溢れさせない堤防高さ,越流した場合でも壊れにくい構造で復旧”を掲げ,一連の災害復旧対策に取り組んでいる。

  • 雫石 和男, 佐々木 秀夫, 廣野 修
    2012 年 80 巻 4 号 p. 261-264,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東日本大震災は,マグニチュードが9.0という世界最大級のものであった。宮城県沖の地震は,30年以内にマグニチュード7.5~8.0級の発生確率が99%以上と予想されていたが,その規模の想定をはるかに超える地震に見舞われ,甚大な被害が発生した。そこで,東日本大震災による本県の被害の概要と著しい被害を受けた農地・農業用施設の被害状況について報告するとともに,沿岸部地域の農業生産の回復に向けて,農業生産基盤の農地・農業用施設の早期復旧のこれまでの取組みの一部を紹介する。また,農地・農業用施設に係る災害対応について,初期の被害調査から応急対策,災害廃棄物対策,復旧対策の体制,災害査定など約10カ月間の足跡を記述する。

  • 渡部 幸英
    2012 年 80 巻 4 号 p. 265-268,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,福島県内で最大震度6強というきわめて激烈な地震とそれに伴う津波被害によって内陸部,沿岸部ともに甚大な被害を及ぼした。さらに,原子力発電所事故の発生による住民の避難や市町村機能の移転など過去に例のないきわめて特殊な状況の下,現在,国,地方自治体,地域住民の一体的な取組みにより,復旧・復興は着実に進んでいる。本報では,福島県における農地・農業用施設の被害の概要と被災直後の応急対策,さらに復旧に向けた対応の概要について報告する。

  • 仰木 文男, 川村 文洋, 山田 英和
    2012 年 80 巻 4 号 p. 269-272,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東日本大震災では,(独)水資源機構が管理する関東管内の施設においても甚大な被害が生じ一部で通水不能に陥った。関係者の協力を得て応急復旧を行い,震災後7日目で通水を再開することができたが,これは二連管といった施設の特徴を活かした応急復旧対応によるものである。本報では,水資源機構の水路施設が受けた被害と応急復旧対応について報告する。

  • 高橋 順二, 鈴木 尚登
    2012 年 80 巻 4 号 p. 273-278,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    3月11日に発生した三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大な地震と津波,その後の東京電力福島第一原子力発電所の事故は,地域の農林水産業に未曾有の被害をもたらした。災害対策基本法に基づく指定公共機関である農村工学研究所は,国などと連携しつつ被災調査や応急対策,復旧・復興にかかる技術的支援を行ってきた。本報では,地域の農業再建という観点から,農村工学研究所が取り組んできた農地・水利施設にかかる地震・津波対策,農地土壌の除染対策など農業生産基盤への対応を中心としつつ,農業生産,食品など農研機構全体の取組みも交えて,震災対応の概要と復旧・復興の方向および農業農村工学分野が連携して取り組むべき課題について報告する。

  • 進藤 惣治, 山本 公一
    2012 年 80 巻 4 号 p. 279-283,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    エジプトでは,限られた水資源を効率的に利用することを目的に,水利組合の育成と活動強化が進められているが,これまで十分な成果を上げているとはいえない。筆者らは,エジプトの現状に鑑み,水利組合の育成・活動強化には,組合活動が組合員の利益となることを具体的に示すことが重要と考え,これを実践することとした。まずは,政府関係者とともに,問題分析を行い,問題解決のための活動計画を策定するとともに,実際に2地区において水利組合とプロジェクトの共同事業を実施した。その結果,水利組合は組合員からの資金徴収にはじめて成功するなど一定の成果が得られた。

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