農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
80 巻 , 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
 
  • 高橋 悟, 鈴木 伸治, 真田 篤史, 橘 隆一, 渡邉 文雄
    2012 年 80 巻 8 号 p. 633-636,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    現在,サブサハラに連なる東アフリカの乾燥地では,過去60年で最も厳しい干ばつが発生しているが,緊急援助の視点からだけでなく,天水に依存する農業について,中長期的視点で考えることが大切である。そこで本報では,中長期的視点に立った改善や展開について検討した。その結果,低生産性からの脱却には高生産性作物のネリカ,不安定な栽培から安定的栽培への移行には「連結ため池灌漑システム」の活用が考えられた。そこで,この自然資源利用型農業生産体系を,東京農業大学が21年前から沙漠緑化を実践しているジブチ共和国において実践したところ,厳しい環境であるにもかかわらず,期待される成果が得られる見通しとなった。

  • 山岡 和純
    2012 年 80 巻 8 号 p. 637-640,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    近年コメの需要が急増しているサブサハラアフリカでは,その消費量の4割近い1,000万t弱を輸入に依存している。2008年の食料価格危機の際には,深刻な食料安全保障上の不安感から社会的混乱が生じた。同地域でコメは,国民食料全体における役割の増大により政治的にも重要な穀物となっている。こうした中,国際農業研究協議グループメンバーのアフリカライスセンターは2020年までの研究開発戦略を公表し,G20農業大臣会合,第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合などでもアフリカのコメの重要性が再確認された。しかし,コメ増産の鍵を握る同地域の灌漑耕地面積の拡大は今世紀に入り急ブレーキが掛かり,局面打開のための研究開発の展開が待ち望まれている。

  • 新保 義剛
    2012 年 80 巻 8 号 p. 641-644,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    少量でも一定の降雨を利用できるサバンナでは,安定的な灌漑農業を展開できる可能性がある。エチオピアの灌漑計画地域で関係者の意識向上に取り組んだ例などをもとに灌漑農業展開の可能性について報告する。受益農家からは,主食穀物の増産だけではなく灌漑による野菜などの換金作物導入が必要であるとの理解を得ることができた。また,行政担当者からは,生活水準の向上を最終目的とすべきという意見を得た。さらに,将来展望では,水源を確保し水利施設を建設するだけでは問題は解決しない,また灌漑農業成功のためには農家だけではなく自分たち行政担当者の努力が必要であるという合意を得るに至った。

  • 岡 直子, 河野 尚由, フィルモン ヤンクソン, 藤本 直也
    2012 年 80 巻 8 号 p. 645-648,a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    ガーナ灌漑開発公社所管の6灌漑地区において,灌漑施設の維持管理の状況と,灌漑サービス料(ISC)の支払い状況について調査した。その結果,不適切な維持管理が灌漑効率の低下,ISCの支払い率の低下を招き,さらなる維持管理不足から灌漑面積が減少していく「負のサイクル」は発生していないが,不適切な維持管理が灌漑効率の低下を招いており,「負のサイクル」の発生が懸念される状況であることが推測された。また,ISCの支払い状況からは,灌漑水を確実に使える条件を整え,灌漑農業の収益を確保することにより,ISCの支払いから適切な灌漑施設の維持管理へとつながっていく「正のサイクル」に転換する可能性があることが考えられた。

  • 宮﨑 良, 山田 雅一, 篠原 統吾
    2012 年 80 巻 8 号 p. 649-653,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    西アフリカのサヘル地域では,土壌侵食による農地荒廃が大きな問題となっており,その対策工法の確立と農民参加型プロジェクトが実施されてきた。しかし,その多くがプロジェクト終了とともに中止あるいは停滞し,その継続が課題となっている。そこで,マリ国で土壌侵食防止技術の一つとして普及が進められているトウジンビエ栽培地での等高線畝工を例にとり,農民の技術受入れに係る規定要因の分析を行った。また,それを基礎とした新技術の開発が有効であるかの検証を行い,その結果をもとにサヘル地域における土壌侵食防止技術の普及性を念頭に置いた導入・開発の方向性について検討を行った。

  • 藤本 直也, エルコサ テクル, ワケヨ メコネン
    2012 年 80 巻 8 号 p. 655-658,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    水資源の少ないエチオピアでは,水資源の有効な確保が喫緊の課題であり,建設コストが低く農民にも容易に施工できる洪水灌漑(SI)の技術が,近年重要な工法として注目されつつある。コミュニティ(集落)主体の小規模SI施設の管理は,受益農家が代表者数名を選出しすべての堰・水路を管理している。彼らは,施設の建設・維持管理,水資源の配分,規則違反者に対する科料徴収の役割を担っているが,洪水に付随する大量の土砂の制御が大きな課題である。一方,中央(地方)政府が担う大規模SIプロジェクトは,その管理も政府に依存しており,農民の中には,コミュニティの伝統的役割を無視しているとする不満が多く見られた。

  • ─第1期対策の実績と効果より─
    田中 龍太, 間宮 恒明, 佐々木 優
    2012 年 80 巻 8 号 p. 659-662,a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農林水産省では平成19年度から農地・水保全管理支払を実施しており,地域の農家に加え非農家,NPOなどから構成される活動組織による,農地・農業水利施設の維持・保全や地域環境の保全・向上のための地域共同活動の維持・強化を図ってきた。わが国の農村集落における地域資源の維持管理機能も含めた集落機能の維持・再生のためには,地域のソーシャル・キャピタル(SC)の再生・蓄積が鍵となる。本報では,農林水産省が平成22年度にとりまとめた本対策の中間評価および平成23年度に実施した本対策の5年間の実績と効果のとりまとめにおいて,本対策の実施を通じた地域のSCの変化について,定量的指標を設定し,全国的なデータに基づき行った評価について報告する。

feedback
Top