農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
81 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 南 格
    2013 年 81 巻 12 号 p. 979-982,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    筆者は行政機関からメコン川委員会事務局に技術アドバイザーとして派遣され,そこで水文分野を中心に,水理や土質,作物モデルなど,種々のシミュレーションモデルやソフトウェア,衛星情報などの活用実態に触れる機会を得た。ついては,当地で見聞したり使ってみたモデルやフリーソフトについて,主な機能とともにメコン川委員会業務との関連を中心に紹介する。また,これらモデルの発展性や,国内業務における衛星情報の活用やソフト開発を通じた業務の合理化と品質の向上の可能性,これらの経験に裏打ちされた海外での技術協力の必要性について述べる。

  • 加藤 亮, 渡邊 裕純, Julien BOULANGE, 江口 定夫, 坂口 敦, 宗村 広昭
    2013 年 81 巻 12 号 p. 983-987,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,米国USDAとTexas A&M大学にて開発が進む流域水文水質モデルSWATの水田地帯への適用可能性について報告する。SWATモデルは,単なる流路内の観測点における正確な予測を行うことを主目標にするのではなく,流出プロセスをできるだけ定量的に評価し,流出メカニズムに関連する土地利用管理,水管理を実施した場合の影響評価を行うために開発されている。しかし,水田地帯は,自然な条件の降雨と流出の応答のみで捉えることができない,複雑かつ小規模な灌漑システムを含む。本報では,適用における問題点の指摘と,改善点について,進行している研究などを紹介し,今後の農業流域の管理について,SWATの適用可能性を検討する。

  • 大澤 和敏, 酒井 一人, 池田 駿介
    2013 年 81 巻 12 号 p. 989-992,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    持続的な農業や豊かな地域生態系の形成は,水や土砂の動態をはじめとする物質循環が基盤となっており,農地などの斜面における土壌侵食(水食)や河川などの水域における土砂流出は水循環と並び物質循環の基礎として位置づけられる。米国農務省で開発された土壌侵食・土砂流出解析モデルであるWEPP(Water Erosion Prediction Project)は,農地などの斜面における土壌侵食に加え,流域における土砂の流下過程も表現可能なプロセスベースのモデルであり,実態の再現,広域評価,土木的対策方法や営農的対策による効果の算定などに用いることができる有力なモデルである。本報では,多くの研究者や技術者が本モデルを適用できるようになることを目的に,モデルの長短所,適用方法および入力データの整備方法,沖縄地域への適用事例,将来的な展望について報告する。

  • 斎藤 広隆, 坂井 勝, 取出 伸夫, シムネック ユッカ
    2013 年 81 巻 12 号 p. 993-996,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    不飽和土中の水分・熱・溶質の移動に関する数理プログラムは数多く開発され,公開されている。なかでも,米国カリフォルニア大学リバーサイド校と米国農務省塩類研究所の共同開発によるHYDRUSは,広く世界中で利用されている。HYDRUSは,土中飽和・不飽和水分移動のリチャーズ式と熱・溶質移動の移流分散式を有限要素法により数値的に解く。HYDRUSには,無料で公開されている1次元のHYDRUS-1Dと有料の3次元のHYDRUS(2D/3D)があるが,ここでは主にHYDRUS-1Dとその関連プログラムについて,その開発の歴史,基本的な機能,入手方法について紹介した。さらに,HYDRUS-1Dを利用した解析の例を示し,最後に今後のHYDRUS-1Dの展開について述べた。

  • 成岡 道男, 藤本 直也
    2013 年 81 巻 12 号 p. 997-1002,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,JIRCASがガーナ国アシャンテ州で実施した耕うん機の管理・運用事例の調査結果をもとに,持続する耕うん機の管理・運用に共通した条件を検討し,それをマニュアル化する上での課題を考察した。その結果,共通する条件として,購入・維持が可能な経営,支援制度の活用,プロジェクトへの参加,管理規約の成文化,機動的な民間業者の活用,貸出しルールおよび貸出し体制の整備などの重要性が示唆された。また,マニュアルを一般化する上で,ローン制度の普及・拡大,信頼される民間業者の育成,低価格な耕うん機の提供,モデル事業の展開などが課題として上がった。

  • 吉田 匡, 丸山 利輔, 高瀬 恵次, 瀧本 裕士
    2013 年 81 巻 12 号 p. 1003-1008,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    水田灌漑用水計画は,自然の降水をできるだけ活用して,不足する水を灌漑によって補おうとする考え方に基づいている。この点有効雨量の分析は,きわめて大切な研究である。しかし,これまで本格的に研究された例は少ない。本研究は,石川県手取川扇状地七ヶ用水地区の例について,頭首工地点の37年間にわたる取水量を分析し,取水制限量が,この地区の有効雨量を与えているとの考え方からその実態を分析したものである。この結果,年降水量および年有効雨量の変化に伴って,有効雨量率が大きく変化すること,この両者には密接な関係があること,などが見いだされた。

  • 兵頭 正浩, 林 尚希, 篠原 芳宝, 緒方 英彦
    2013 年 81 巻 12 号 p. 1009-1012,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農業水利施設の機能保全の手引きなどのマニュアルは,各機関が農業水利施設や機械設備を共通の視点に立って維持管理するために必要不可欠なものとなっている。しかし,施設や設備は各地域の営農状況や管理状況に応じた特徴を有していることから,地域に応じた手引きなどが必要となる。そこで本報では,頭首工,用・排水機場,用・排水路などに設置される除塵設備に関わる「農業水利施設の機能保全の手引き―除塵設備―(案)」を参考にした上で,東伯地区土地改良連合管内における管水路システムに導入されている除塵機について,構成部品の階層構造を明らかにした後に機能診断表を作成し,その機能診断表に基づいた機能診断結果の一例を示した。

  • 志野 尚司, 田澤 裕之, 柄澤 昭司, 永田 浩章
    2013 年 81 巻 12 号 p. 1013-1018,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成24年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入され,電力会社による接続制限などが地域によって起こりつつあるなど,課題が明らかになっている。しかしながら,農村地域には,水,太陽,バイオマスなどの地域資源が豊富にあり,これらを活用した再生可能エネルギーを推進する意義は大きく,本制度を活用するなどにより,地域の活性化および関連土地改良施設の維持管理費の軽減に結び付けることが期待される。この報文では,国営神流川沿岸農業水利事業で整備した4カ所の太陽光発電設備の取組みについて,その概要,規模の決定根拠,太陽光発電設備で発電した電力の活用経緯,アレイの構成と配置計画,計画発電量と設置環境との違いによる発電実績,災害時の自立運転機能,発電設備の導入効果などについて述べる。

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