農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
81 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 藤井 昌英, 原 孝朋
    2013 年 81 巻 1 号 p. 3-6,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    2010年の世界農林業センサスの結果から,山口県の農業の現状は,担い手不足,高齢化の進展,農地の減少など,国以上に深刻な状況となっていることが明らかになった。こうした中で山口県では特定農業法人の育成を進めている。その中で,山口県山口市二島西地区で実施中の圃場整備事業では,圃場整備と併せて大規模農業法人を育成し地域の農業の安定的発展を目指している。圃場整備事業採択前の地元の合意形成と,大規模農業法人の経営に資する圃場整備工事の取組みとしてパイプライン,地下水位制御システム,法面緑化工法を紹介する。また,二島西地区では山口市で初めてとなる人・農地プランを策定し,圃場整備の進捗に合わせた円滑な農地集積と法人の経営安定を図っている。

  • 山路 永司
    2013 年 81 巻 1 号 p. 7-10,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農地の大区画化と農業経営の大規模化は,地域農業改革に不可欠であるが,地域全体の合意形成をはかったうえで進めてゆくことが望ましい。そこで本報では愛媛県永長地区での手法と成果を考察した。同地区では,面工事開始前に賛成者と非賛成者の所有地を交換する交換分合事業を行ったうえで,1反区画の道路骨格を活かして2005年度に最大1.2ha区画での再整備を実施した。事業成果としての担い手4戸の利用権設定面積は,2010年度において全体面積の39.2%となった。彼らの地区内自己所有地は平均1.0haにすぎないが,利用権設定が6.6haにのぼり,また施設園芸と組み合わせて,安定した経営の基礎となっている。また貸し手側,自作農家にとっても整備事業は有益であった。

  • 杉浦 未希子, 石井 敦
    2013 年 81 巻 1 号 p. 11-14,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    現在日本では,農地の利用集積によって稲作経営規模の拡大が可能になってきている。農地の利用集積・利用集積地の集団化・集団化した農地の巨大区画化(1枚5ha以上が何枚も連坦)の3つを同時に行う圃場整備事業を実施して,経営体構成員1人当たり60~80haの大規模稲作経営体を創出することで,今後の国際化に耐えられる低コストの稲作が可能である。圃場整備事業区域内には飯米農家や施設園芸農家もあるからゾーニングが必要であること,経営体は集落を超える大規模経営かつ複合経営が望ましいこと,巨大区画化によって圃場整備の建設費,維持管理労力・費用が節減されること,用水管理も容易になって節水効果が期待されることなどを論じた。

  • 福与 徳文, 藤森 新作
    2013 年 81 巻 1 号 p. 15-18,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    FOEASは,地下に埋設された管路網,用水供給施設,水位制御施設によって構成される地下水位制御システムで,圃場内の水位を-30~+20cmの範囲で自由に設定でき,暗渠排水なみの費用で施工できる点が特長である。農地整備を行う国の補助事業や都道府県事業などによって,2012年11月1日時点で132地区(5,561ha)に採用されている。本報では,FOEAS普及の先導的役割を果たしている山口県宇部市楠地区の特定農業法人アグリ楠(経営面積24ha,2012年時点)の事例を,経営者への聞取り調査と,経営収支データ,水管理データに基づいて分析することによって,FOEASが大規模法人経営を支える基盤条件となっているその理由を明らかにする。

  • 冨田 晋司, 田村 邦麿, 塚田 民也, 坂根 国博
    2013 年 81 巻 1 号 p. 19-22,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    浜田市の山間部では,旧来から,農地は家の「庭」とされてきたことから,人に託すことは考え難い。圃場整備率は高いが,急傾斜地での整備により,巨大な畦畔が生まれ,膨大な草刈り作業が農家を苦しめている。農業用水は,周辺の沢水を,農家おのおのが取水しており,他人の助けが借りられない。このため農地集積が進まず,耕作放棄地の増加に歯止めがかからない。このような中,浜田市旭町において,向こう10年を見据えて,農地を守る取組みを開始した。守るべき農地を対象に「農地保全プラン」を作成し,水稲の基幹作業を請け負うサポート経営体を設立した。さらに,草刈り,水管理作業を軽減するための基盤整備を実施し,人に託しやすい農地へと改良を行っている。今後の中山間地の農地保全のための具体的対策を紹介する。

  • 北川 巌
    2013 年 81 巻 1 号 p. 23-26,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    北海道の泥炭分布地域における圃場では,均平度が徐々に悪化し,整備後3年程度で営農作業により再均平化が必要であった。圃場の均平度は,区画面積と長辺長,土壌型が影響しており,長辺長が200mを超え,区画面積が2ha以上の泥炭土で均平度の維持が困難であった。そこで,石狩川流域の泥炭分布地域の地盤特性を評価するため深層までの泥炭分布を示す泥炭分布図を作成し,これに対応した大区画圃場の適正規模を提案した。また,大区画圃場整備参加農家へのアンケートから事業参加の目的を明らかにするとともに,整備後の大区画圃場における農作業性の実態を調査し,大区画圃場での農業の実態を明らかにした。

  • 中田 達, 樽屋 啓之, 藤山 宗, 田中 良和
    2013 年 81 巻 1 号 p. 27-30,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    水理機能の低下に関わる要因の多くが,構造物の老朽化や劣化に基づく水路の変形や変状に起因するものと考えられる。このため,非灌漑期でなければできない水理機能に影響する診断調査項目と手順を整理した。水路断面の変形や施設の劣化などの水路システムの構造面での性能照査を通じて,断面通水能力の低下,損失水頭の増加,損失水量の増加といった水理・水利用機能の低下を評価するための相互関係および影響関係を示した。それらをもとに,コンクリート水路の水理機能診断の手順を,非灌漑期に実施する水理機能の診断調査,水理計算による水理機能の照査,水理実験による水理機能の照査の3段階に分類し,それぞれの調査・分析項目を提示した。

  • 土居 邦弘
    2013 年 81 巻 1 号 p. 31-34,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    未曾有の被害を引き起こした東日本大震災において,政府は,最大50万人の被災者を対象に食料調達支援を実施し,企業の被災,輸送手段の被災による原材料の不足,風評による買占めなどにより,困難を極めるなか,40日間にわたり,約2,600万食を供給した。調達は,全国35の都道府県から,のべ1,620品目に及び,企業の協力により実施された。本報は,農林水産省において,この調達に携わった筆者が,今後,東日本大震災以上の規模で発生が予想される関東,東海,東南海地震に備えるため,業務の中で収集したデータを詳細に分析し,政府による緊急食料調達の課題と提言を示したものである。

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