農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
81 巻 , 10 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 佐藤 具揮
    2013 年 81 巻 10 号 p. 779-783,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成24年3月に閣議決定された土地改良長期計画においては,政策課題の一つを「地域全体としての食料生産の体質強化」とし,この政策目標として農地の大区画化・汎用化や水利施設などの適切な保全管理などを掲げている。農業生産の体質強化を図り,農業を成長産業として発展させるといった攻めの政策が食料の安定供給を確保していく上でも目指すべき方向性である。本報では土地改良長期計画の内容を紹介しつつ,これに沿って土地改良事業が「食料の安定供給,生産性向上」に果たす今日的な役割について述べる。

  • 北川 巌, 塚本 康貴
    2013 年 81 巻 10 号 p. 785-788,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農業経営体の大規模化は,限られた品目でのモノカルチャー的な生産を進め,その結果,気象や経済の情勢などの多様な要因の影響を受けやすくするため,経営の柔軟性を高める必要がある。これに対応する基盤整備の役割には,農産物品質の向上を可能にする農地の生産能力の強化がある。しかしながら,基盤整備の推進による地域全体の農産物品質の改善効果などに関する実際の評価は少ない。本報では基盤整備の推進が農作物の品質を向上させ地域農業全体に効果的であった評価例を示すとともに,今後の高齢化への対応が求められる農業経営体が必要とする農地・施設のあり方についてのアンケート結果を示した。

  • 若杉 晃介, 原口 暢朗, 瑞慶村 知佳, 川野 浩一, 藤森 新作
    2013 年 81 巻 10 号 p. 789-792,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    水田農業においては,担い手農家への一層の農地集積を図り,経営規模拡大と大区画化,田畑輪換による麦や大豆,野菜類などの増産を図ることが食料自給率向上への課題となっている。本報ではこれらの課題解決に資する技術として開発された地下水位制御システムの転作大豆栽培時の安定多収効果やその際に新たな用水需要となる地下灌漑用水量の把握,またシステムの維持管理に係わる補助孔の経年劣化やシステム導入適地の知見の蓄積を図った。また,大規模省力化営農に不可欠なレベラーでは,GPSレベラーを用いることで効率的な運土が可能となり従来技術に比べて均平作業が約4割短縮するとともに畦畔撤去による大区画も容易に実現することができた。

  • 羽佐田 勝美, 木村 健一郎, 山田 隆一
    2013 年 81 巻 10 号 p. 793-796,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    昨今,インドネシアでは天候の不安定な変動によりコメなどの主食が100%自給できていない。また一方で,人口増加に対応するために,主食の増産は不可欠である。しかし,新たな農地拡大の困難や生産性の向上の限界が予測される。このような状況においては,農業不適地に生育し天候の不安定な変動の影響も受けにくい,地域の在来食料資源を活用することが有効である。本報では,インドネシアの南東スラウェシ州の主要食料作物であるコメ,トウモロコシと,在来食料資源であるサゴヤシの生産状況について報告し,主要食料作物の供給不足をサゴデンプンが補完できる可能性を明らかにする。また,食料生産の安定に資するために,サゴデンプンの生産量増大と利用拡大における課題について考察する。

  • 石井 敦
    2013 年 81 巻 10 号 p. 797-800,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    現在,国内で生産されている食糧にはコメ,麦,大豆などがあるが,このうち,少なくとも国民の「主食」で,安全保障の上からも国内生産が重要であるコメについては,日本でも平野部であれば国際水準の低コスト大規模稲作農業を実現でき,それにより安定的持続的な生産が可能である。そのためには,利用集積による大規模稲作経営体への水田の集約化,集約された水田の集団化,さらに集団化された水田の巨大区画化を一気に行う新たな圃場整備事業を創設する必要がある。以上を,日本・米国・豪州の大規模稲作経営体と巨大区画水田の事例を参照して論じた。

  • 八丁 信正, 松野 裕
    2013 年 81 巻 10 号 p. 801-806,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    アジアでは米生産が農業の中心であり,全世界の90%の米がアジアで生産・消費されている。アジア各国は,基本的にこれまで米の国内自給を農業政策の中心に置いて農業開発を行ってきたが,中には,近年の経済発展に伴い,自給政策を転換した国や,輸入量が拡大しつつある国もある。一方で,従来の米輸出国であるタイ,ベトナムのほか,カンボジア,ミャンマー,インドなどの国も生産を拡大し,輸出市場に参入している。本報では米の新興輸出国を中心に米の生産動向を,主に水資源,土地資源の観点から分析し,今後のアジアの米生産の動向について展望する。

  • 高祖 幸晴, 内藤 久仁彦
    2013 年 81 巻 10 号 p. 807-811,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    先進諸国や国際機関からの援助を受けてきた開発途上国の中には,近年海外援助を大きく拡大している国(新興ドナー国)がある。本報では新興ドナー国として中国,韓国およびタイを対象として,既往の文献,日本人専門家からの情報などをもとに,これら3カ国の政府開発援助に関する政策,実施体制,動向および特徴を比較分析して,わが国が新興ドナー国から学ぶことを考察した。

  • 小池 聡
    2013 年 81 巻 10 号 p. 813-817,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    「農のあるまちづくり」を進める大都市圏自治体(愛知県長久手市)において,耕作放棄地の再生・利用が一定の進捗をみせている地区の事例を取り上げ,その過程への多様な主体の関わりの実態を明らかにした。調査地区では,地元集落から農地保全へ向けた組織的行動が起こらない状況下で,「田園バレー」という地域づくりコンセプトに基づく自治体の事業展開により,農業NPO,農業参入企業,新規就農者など多様な耕作主体が参入している。その中から,学校給食食材の生産者グループの組織化を契機として,農産加工を含む農業の起業家ネットワークが発展する可能性が示唆された。また,自治体運営の “農楽校” を介した,「農」を支える市民ボランティアの育成・強化を今後の課題として指摘した。

  • 鈴木 哲也, 小林 秀一, 長崎 文博, 佐藤 弘輝
    2013 年 81 巻 10 号 p. 819-822,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    近年,農業水利施設の長寿命化の必要性が認知されることに伴い,鋼矢板排水路など鋼材を使用した水利施設における腐食問題が急務な技術的課題となっている。本報では,農業用排水路を対象に鋼矢板-コンクリート複合材による鋼矢板保護工の力学特性を検討した結果を報告する。曲げ載荷挙動を荷重-変位挙動の観点から評価した結果,鋼矢板にコンクリート被覆を施すことにより変形挙動の抑制効果が明らかとなった。このことから,腐食代を有する既設鋼矢板を有効利用しLCCの低減を考慮した場合,鋼矢板-コンクリート複合材の保護工としての有効性は高いものと考えられる。

  • 松橋 和久, 砂澤 均
    2013 年 81 巻 10 号 p. 823-826,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    県営かんがい排水事業指久保地区(昭和60〜平成23年度)で利水専用ダムとして造成されたロックフィルタイプの指久保ダムは,平成13年度にダム本体工事に着手し,平成23年度に試験湛水を了して完成した。本ダムサイト右岸地山には,固結度が低く透水性が比較的高い第四紀層が広く厚く分布していることから,ダムの貯水機能と地山の浸透破壊に対する安全性を確保するため,堤体から連続して地山保護を兼ねたアースブランケット,さらにその上流端を起点に地山内にソイルセメント連続地中壁を施工した。本報では,固結度の低い第四紀層の止水対策工への取組みと試験湛水結果について,その一部を紹介する。

feedback
Top