農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
81 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
 
  • 木下 貴裕, 重岡 徹, 栗田 英治, 山下 裕作, 山本 徳司
    2013 年 81 巻 3 号 p. 177-181,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    近年,農地・農業用施設保全や農業生産維持,農村振興などに関する施策推進において,GISの利用が進む中,地域の自主的資源保全・管理・活用といった住民自らがGISの利用を求められる場合,とりわけその利用の継続性が最も重要となる。そのため,利用されるGISには,情報のセキュリティを確保しながら,関係する住民が情報を共有できること,地域特性へのフレキシブルな対応,専門家でなくとも簡単に利用できる操作性や視認性の高さが求められる。そこで本報では,事例地区を対象として,農地の地域自主管理を支援するため,上記課題に対応する総合的機能評価GISを活用し,住民ワークショップを通じ,農地・農業用施設情報管理システムの構築と住民の地域自主管理および地域生産管理に対する意識醸成に取り組んだ事例を報告する。

  • 木村 和弘, 内川 義行
    2013 年 81 巻 3 号 p. 183-186,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    2011年3月12日の長野県北部地震で,栄村では大きな被害が生じた。筆者らは,地震直後から行政や住民に農地被害の情報提供を行い,住民と調査を行って被害の実態を示してきた。これは災害復旧事業にも反映された。また,災害復旧事業などの進捗状況把握のために,全村水田6,500区画の土地利用調査なども行ってきた。復興計画の策定では,集落単位の建物被害や農地の被害状況,事業の導入状況などが図面化され利用された。これによって被害の多様性や複合性が認識された。この認識なしには総合的な復興計画は策定できない。図面化の必要性が認識されても,現場の職員の手で作成することはなかなか困難で,これらの技術を有する研究者や技術者の支援が必要である。

  • 橋本 禅, 有田 博之, 保高 徹生
    2013 年 81 巻 3 号 p. 187-190,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    災害復旧や復興を戦略的に進めるには,被災地域の全容の把握が不可欠である。東日本大震災や福島第一原子力発電所事故のような大規模災害の場合,被災地域が広域にわたるため,実態把握には長時間を要するほか,がれきの散乱や構造物,放射性物質の飛散により被災地への到達が遅れ,実態把握の遅延が生じる可能性が高い。このような場合,現地踏査を通じた被災の詳細な実態把握と並行して,地理情報を活用した被災地の概況把握が有効である。本報では,岩手県,宮城県,福島県を対象とし地理情報システム(GIS)を用いた被災地の分析例から,大規模災害時に被災地の特性や状況を簡易かつ迅速に把握する上でのGISの有効性と課題を検討した。

  • 千田 宏, 佐々木 清美, 井上 順史
    2013 年 81 巻 3 号 p. 191-194,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東北地方太平洋沖地震の大津波により宮城県内では14,300haの農地および農業用施設が甚大な被害を受け,平成23年4月13日時点での災害予定件数は142,500件であった。このような状況下,短期間で災害査定を進めることは困難であると想定されたが,農林水産省が災害査定を簡略化するために水土里情報システムを活用する方針を出したことにより,年内までに災害査定を完了することができた。またこのシステムは,査定以外にもさまざまな支援に使われ,災害対応に非常に有効なシステムであることが証明された。本報では,東日本大震災において水土里情報システムを活用した災害査定の事例を紹介する。

  • 田村 孝浩, 加藤 怜, 守山 拓弥
    2013 年 81 巻 3 号 p. 195-198,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    圃場整備に期待される役割の1つに維持管理労力の軽減がある。しかし区画の拡大や水路網の合理化に伴い,従前には見られなかった長大な法面が出現することがある。そこで本報では,維持管理労力の軽減と事故防止を図る圃場整備手法を体系化するための基礎として,圃場整備前後における維持管理面積をGISによって定量化するとともに,区画や法面形状の変化を再現する3次元景観モデルを作成し,設計支援ツールとしての適用可能性について考察した。その結果,対象地区では圃場整備によって圃場内作業が効率化されるとともに,畦畔面積が減少したことを確認した。なお作成したモデルは実況を的確に再現する一方,モデル作成の即応性や積算値の信頼性に課題があることを指摘した。

  • 中島 正裕, 林 聖麗, 髙山 弓美
    2013 年 81 巻 3 号 p. 199-202,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    地域住民による主体的な農地保全を支援するツールとしてGISへの期待が高まっている。本報では2009年から筆者らが携わってきた内発的農地保全(対象農地18ha)の実践支援過程におけるGIS活用方法を紹介し,その有効性を論じた。対象地は,長野県富士見町御射山神戸地区である。2009~2011年度は,一筆ごとの農地利用の変容の解明,および栽培品目別の獣害対策と被害状況の関係解明などでGISを活用した。他人の営農状況や農地全体の状況を経年的に認識できたことで,住民間には個人の農地だけでなく地区全体の将来を考えるという俯瞰的意識が芽生えてきた。今後,より適正な農地保全のあり方を検討する際には異分野連携による多様なデータ統合が必要となるが,その際のプラットフォームとしてもGISの役割は大きいといえる。

  • 澤田 真之, 西島 太加志, 仲條 竜太, 廣永 茂雄
    2013 年 81 巻 3 号 p. 203-206,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成22年10月には愛知県名古屋市において「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)が開催され,生物多様性の保全に関する今後の世界目標となる「戦略計画2011-2020(愛知目標)」などが決定されており,このような国内外の情勢の変化を踏まえ,平成24年2月に「農林水産省生物多様性戦略」が改定されている。農村振興局では,農業農村整備事業の環境配慮に当たり,生態系配慮の一層の効率的・効果的な取組みを推進するため,事業対象地域全体の生物の潜在的な生息可能性(生息ポテンシャル)を的確に把握・予測する定量的評価システムの開発を行ったので,その概要について報告する。

  • 泉 太郎, 松原 英治, 飯泉 佳子
    2013 年 81 巻 3 号 p. 207-210,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    国際農林水産業研究センター,ベトナム国カントー大学およびカントー市がプロジェクト参加者となり形成したクリーン開発メカニズム(CDM)事業「カントー市における農村開発に資する農家用バイオガス事業」が,国連CDM理事会に登録された。本事業は,カントー市内の961戸の農家に,バイオガス・ダイジェスターと呼ばれる豚の排せつ物を嫌気的に発酵させ,バイオガスを発生させる装置を導入することにより,温室効果ガスの排出削減を図るもので,わが国が形成した初のバイオガス利用による低所得農家向けのCDM事業である。本報では,国連CDM理事会への登録に至るまでの取組み,今後の展望および課題を中心に報告する。

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