農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
81 巻 , 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 後藤 光喜, 広瀬 伸
    2013 年 81 巻 7 号 p. 511-514,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    2012年8月末から約1カ月の間に,徳之島には,大規模な3つの台風が連続して襲来した。台風常襲地域に位置するとはいえ,この災害は近年にない甚大なものとなった。本報では,この災害について地域特性の分析を行うとともに,被災と復旧を巡って現れた災害文化について,文化のレベルと担い手という視軸から考察する。この「長寿の島」に現前する災害文化は,生活全般にわたる相互扶助とそれを支え培った分厚いソーシャル・キャピタルに基礎付けられたものであり,高齢化社会の災害に強い国づくりに示唆するところ大なるものがある。

  • 細川 吉晴
    2013 年 81 巻 7 号 p. 515-518,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    新燃岳(霧島山連山の一つ)は2011年1月下旬に大規模に噴火し,風向きにより宮崎県都城市を中心に多量の火山灰を降らせた。その噴火状況や降灰の堆積分布,都城市の降灰処理対策,宮崎県における農業被害と対策について報告する。宮崎県における農作物などの被害は農業被害総額12億円の半分を占め,露地作物の多くは収穫不能でその収量や品質も低下し,施設園芸では光線透過率を下げないように除灰作業に時間が割かれ,栽培管理に手が回らず収量・品質低下を招いた。また,降灰の重みや空振によるビニールなど資材の破損,噴石などによる畜舎・倉庫の破損も多かった。2年経過した現在,新燃岳の噴火はなく,農業も市民生活なども元に戻りつつある。

  • 番 一晴, 岡島 賢治
    2013 年 81 巻 7 号 p. 519-522,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農地石垣は棚田や段畑において法面の保護に用いられ,西日本を中心に全国に広く分布している。農林水産省によって棚田百選に選定された134地域のうち半数以上に石垣が確認されており,営農面のみならず,美しい農村景観の構成要素としても重要な役割を担っていると言える。現在,農地石垣の研究はその構造,歴史,景観利用などを念頭に置いたものがほとんどで,農地石垣の被災・復旧を取り上げたものはまれである。そこで本報では,熊本県熊本市と三重県熊野市が独自に行っている災害復旧事業の被災データを分析し,明らかとなった農地石垣の被災・復旧の傾向を報告する。

  • 酒井 俊典, 常川 善弘
    2013 年 81 巻 7 号 p. 523-526,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    建設途中などで必要なアンカーが施工されておらず,アンカーの抑止力が不足した状態の法面において,台風による豪雨により発生した斜面崩壊による急激な荷重増加によって,アンカーの破断,テンドンの飛出し,独立受圧板のずれ・落下などの大きな被害がみられた。現地において,アンカーの被災状況の調査,および小型軽量ジャッキを用いたリフトオフ試験による残存引張り力調査を実施した結果,いずれのアンカーも機能が大きく低下していたことが確認された。しかし,現地においてはアンカーに大きな被害が見られたものの,アンカー施工箇所より下側に続く大規模な斜面崩壊には至っておらず,アンカーの抑止力が不足している場合であっても,アンカー施工による抑止効果はある程度発揮されていた可能性が考えられた。

  • 瑞慶村 知佳, 北川 巌, 石田 聡, 吉本 周平, 若杉 晃介, 原口 暢朗
    2013 年 81 巻 7 号 p. 527-530,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    液状化によって発生する噴砂が作物の生育へ与える影響は,養分の少ない土壌が作土へ混入することによる,土壌肥沃度の低下や地力ムラの発生がこれまで問題とされてきた。東日本大震災で深刻な液状化の被害を受けた茨城県稲敷市西代地区では,震災直後の2011年度も一部の水田で排水路の水をポンプアップし作付けが行われたが,田植え後に水稲の葉が葉先枯れ・白色化する生育障害が確認された。水稲の生育経過,噴砂堆積物の化学的特徴,電気探査の結果から,地下25m付近に塩水を含む地下水の存在が示唆され,噴砂によって過剰な塩分が噴出し水稲の生育障害が発生したことが分かった。本事例から噴砂によって作物生育に障害を与える物質が作土に混入する可能性があることが明らかとなった。

  • 森 洋
    2013 年 81 巻 7 号 p. 531-534,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    東北地方太平洋沖地震で,液状化の発生規模が大きかった東京港新木場埋立地での液状化特性を検討するためのボーリング調査ならびにトレンチ掘削による噴砂痕跡調査を行った。噴砂発生地点の有無を,FLPLで示すことができた。トレンチ掘削では,噴砂痕跡が浚渫土層から地表面まで貫通している様子が確認され,浚渫土砂が噴砂した試料であることを粒度分析より推定することができた。埋立て当時の竣工図面から想定する現況断面図と噴砂規模の拡大を助長させたと推測する亀裂発生区域との関係から,既存の地中構造物が液状化の発生に何らかの影響を与えたと同時に,余震による再液状化により,亀裂部分に沿って大量の噴砂が発生したものと考える。

  • 成岡 道男, 早田 茂一, 山中 勇, 藤本 直也
    2013 年 81 巻 7 号 p. 535-540,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,JIRCASがエチオピア国アムハラ州で実施した調査結果をもとに,土水路からジオメンブレン水路への改修事例を紹介し,経済性や維持・管理上の問題とその改善のための対策について考察した。その結果,ジオメンブレン水路がコンクリート水路に比べて低コストなこと,農民へ移転した米増産技術による収益増でジオメンブレン水路の建設が可能なことが示された。そして,家畜による踏抜き,牧民との軋轢,ジオメンブレンの盗難,不適切な利用などの問題に対して受益者自身が対策を考え解決していることが確認できた。

  • 幸田 和久, 小林 勤, 石田 聡, 吉本 周平
    2013 年 81 巻 7 号 p. 541-545,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    大洋州に数多く存在する環礁島の水資源は非常に脆弱であることから,マーシャル諸島共和国マジュロ環礁で唯一の農業地域であるローラ島の淡水レンズを対象として,水資源の有効利用を図る現地調査を開始した。淡水レンズを適切に保全・管理するための調査・研究活動の一環として,ラグーン(礁湖)側の海岸で現場揚水試験を実施した。ソフトウェア“AquaTestPro”を用い,Boultonの手法で時間-水位低下量の解析を行った結果,淡水レンズが存在する不圧帯水層の水理特性パラメータ(比産出量や透水係数など)を推定することができた。今後,この水理特性パラメータを用いたモデルシミュレーションによって,淡水レンズの塩水化対策の検討を行う。

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