農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
81 巻 , 9 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 皆川 猛
    2013 年 81 巻 9 号 p. 693-696,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    平成25年4月,農林水産省では土地改良長期計画が掲げる政策目標の達成に資するため,今後の生産基盤の整備等に必要な技術開発の推進方向について取りまとめた「農業農村整備に関する技術開発計画」を策定した。本計画では,土地改良長期計画で位置付けられた7つの政策目標ごとに技術開発の内容・背景を示し,各分野の具体的な事例を例示するとともに,効率的に技術開発を進める上で踏まえるべき事項として,農業・農村の現場で起きている事象を踏まえて現場のニーズを的確に把握し,技術開発者と行政関係者等のユーザーが意見交換を行い技術の開発と普及を進めていくことの重要性について取りまとめている。今後とも,行政,試験研究機関,大学および民間が共通の認識を持ち,技術開発が数多く行われ,その技術が広く農業農村整備の現場に導入・普及されることを期待したい。

  • 奥島 修二
    2013 年 81 巻 9 号 p. 697-700,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農村工学研究所は,行政支援型研究機関として,農業農村整備に関する技術開発計画を網羅した農林水産研究基本計画のもとに定められた中期計画を推進している。このため技術開発計画の達成は,農村工学研究所の大きな役割になっている。技術移転センターは,行政支援型研究機関としての役割である研究成果の普及,知的財産の活用,行政現場への技術支援,そして研修,講習,相談などによる技術者の継続教育を担当している。本報では技術移転センターによる開発技術の実用化に向けた取組みについて述べる。

  • 前田 健次, 小畑 明弘, 漆原 丈士
    2013 年 81 巻 9 号 p. 701-704,a1
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    (一社)農業農村整備情報総合センターでは,設立目的である農業農村整備に関する官民の情報の流通の促進と技術支援により,技術水準の向上や,農業農村整備事業の円滑な施行の確保と発展に寄与するため,自主事業により,農業農村整備民間技術情報データベースの運営を行っている。本データベースは,民間企業等が開発した農業農村整備に資する技術の情報を登録し,インターネットのウェブサイト(http://www.nn-techinfo.jp)を通じて広く一般に提供を行うもので,本報では,データベースの概要と特徴,今後の展開方向について紹介する。

  • 黒田 久雄
    2013 年 81 巻 9 号 p. 705-708,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農作物には,安全・安心な品質確保のために多くの基準がある。水稲栽培に適した農業用水を確保するには多くの水質項目をクリアする必要がある。農業(水稲)用水基準もその一つである。これは,水稲の減収が起こらない許容限界値として提案された基準である。一方で肥料・農薬成分は,農業生産にとって不可欠であるが,その流出は環境負荷を招くことにもなる。農業も富栄養化など多くの環境問題の発生負荷源となる場合もあるため,現在課題となっている畑地からの窒素流出過程の問題を提起した。今後,安全・安心な農業生産のため,多様な視点を持ちながら他分野との共同も含めて問題解決をしていかなくてはならないだろう。

  • 吉永 育生, 島崎 昌彦, 常住 直人, 髙木 強治
    2013 年 81 巻 9 号 p. 709-712,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    ため池底質におけるCs濃度を調査した。山あいに位置する,ため池Aでは,底質のCs濃度は同一地点であってもサンプルによって濃度差が大きかった。平野部に位置する,ため池BではCsの90%が表層6cmに存在し,流入地点の近傍と深い地点でCs濃度が高かった。ため池Cでは,Cs濃度は23,000〜238,000 Bq/kgであり,水域の形状などとCs濃度の相関は見られなかった。ため池AとCで,地点内または地点間でCs濃度が大きく異なっていた要因として,湖底地形の大きな起伏が考えられる。また,底質を粒径別に分画した結果,粘土に相当する粒径のCs濃度は,分画していない底質の1.5倍以下であった。底質が巻き上がった場合の貯留水のCs濃度を試算したところ,ため池AとBではCs濃度が極端に上昇する可能性は低かった。

  • 濵田 康治, 吉永 育生, 久保田 富次郎, 白谷 栄作
    2013 年 81 巻 9 号 p. 713-716,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    福島県の農業用ため池底質の一部には,東京電力福島第一原子力発電所の事故由来と考えられる放射性Csが蓄積している。底質から水中への放射性Csの回帰は,下流側でのリスクを高める危険性があるため十分な注意が必要である。底泥から水中への放射性Csの回帰の要因の1つに溶出がある。本報では,約200kBq/kgと約15kBq/kgの放射性Csを蓄積していたため池の底泥を未攪乱で採取したコアサンプルを使用して,底質から水中への放射性Cs溶出量を定量化した。さらに,ため池の回転率と湖水の溶出に起因するCs濃度の上昇量の関係を整理した。回転率が高まることで溶出に起因する濃度上昇が抑えられる傾向にあった。

  • 今本 博臣
    2013 年 81 巻 9 号 p. 717-720,a2
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    藍藻類の異常増殖によるアオコが発生すると,灌漑用水は緑色に着色する。その水を農作物に散布した場合,葉物野菜や花に付着すると斑点が生じ商品価値を下げてしまうことがある。また,アオコが混入した水を散布する際に,噴霧器や多孔管などの穴が目詰まりする恐れもある。それ以外にも,景観障害や魚のへい死や悪臭なども懸念される。このような水質障害を軽減するための対策技術の確立が急務となっている。

    農業用貯水池の水質改善対策としてはさまざまなものが提案されているが,貯水容量が非常に大きく,しかも栄養塩濃度が高いという特殊性から適用可能な対策はきわめて限定的である。本報では,そのなかでも一定の改善効果が期待できる「曝気循環設備」,「滞留時間の短縮」,「干し上げ」,「バイパス水路」による水質改善について解説した。

  • 成岡 道男, 河野 尚由, 廣瀬 千佳子, 藤本 直也
    2013 年 81 巻 9 号 p. 721-726,a3
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報では,JIRCASがガーナ国アシャンテ州で実施した調査の結果をもとに,耕うん機の利用時間および整備・修理の状況,稲作の収支などについて検討した。そして,得られた課題や示唆から,稲作へ耕うん機を導入するために検討が必要な事項について考察した。その結果,耕うん機を導入する際に,1台の耕うん機を複数の農民が使える体制を作ること,二期作の実施が不可欠なこと,耕作面積が拡大できない場合は稲作以外の収入を検討しなければならないこと,耕うん機の所有者同士の連携が望まれることなどが重要と判明した。

  • 山下 正
    2013 年 81 巻 9 号 p. 727-731,a3
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農業水利施設の整備が進み,今後は主に機能保全を目的とする事業が行われる見込みである。他方,高温障害対策や飼料米導入による用水需要のひっ迫も懸念されている。これらのことから,水資源の有効利用に資するチェックゲート,調整池および水管理制御設備の整備を適正かつ効率的に行う必要がある。しかしながら,このような施設やその形式の検討に必要な,水資源有効利用量の比較や,チェックゲートの形式選定に係る検討は,これまで十分に行われていない。そのため,チェックゲート,調整池および水管理制御設備の事例の把握を行い,水資源の有効利用の観点から,単位工事費当たりの水資源有効利用量などを分析し,施設検討の優先順位とチェックゲートの形式選定フローを提案した。

  • 高井 和彦, 三輪 弌
    2013 年 81 巻 9 号 p. 733-736,a3
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    頭首工の可動堰ゲート直下およびその上下流区間に堆砂が常態化し,頭首工管理上の大きな支障になっている事例が多くみられる。このように堆砂が発生した場合,頭首工の管理者たちは,ゲート流出流による堆砂フラッシュを試みるが,フラッシュが可能な場合と不可能な場合がある。ゲートフラッシュ実行時の詳細な調査事例などの新たな事例を加え,ゲートフラッシュの模型実験結果を参考にして堆砂フラッシュの成否の要因を分析した。フラッシュの成否は,排砂対象粒径の違い,堰周辺の堆砂高と可動堰ゲートの扉高との関係,堰全長に対する堆砂の範囲,ゲート操作時の流量が関係している。ゲートフラッシュが堆砂障害の対応策になり得ない頭首工もあることも判明した。

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