農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
82 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 浅野 勇, 渡嘉敷 勝, 森 充広, 西原 正彦
    2014 年 82 巻 1 号 p. 3-6,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    国営造成施設の機能診断において平成19年度に制定された「農業水利施設の機能保全の手引き」は大きな役割を果たしてきた。手引き制定から5年以上が経過し,その運用を通じて見えてきた課題も多い。本報では,まず筆者の考えるストックマネジメントのあるべき姿を示し,その姿と現状との差を問題と捉え,現状のストックマネジメントの点検,健全度評価,劣化予測,LCC評価の各段階における問題と課題を整理する。さらに,ストックマネジメントの理念である予防保全を最大限に生かすためには,①定性的評価から定量的評価への転換,②予測評価技術レベルの向上,③施設のリスクを考慮した対策優先順位の選定,などを中心とした取組みが必要であることを提案する。

  • 鈴木 哲也, 樽屋 啓之, 中田 達, 藤山 宗, 中 達雄
    2014 年 82 巻 1 号 p. 7-10,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農業用パイプラインのストックマネジメントの重要性が見直されることに伴い,全国的な規模で既存施設の機能診断や補修・補強工に伴う水路システムの再構築が進められている。農業用パイプラインの更新事業では,一般的に補修・補強工を中心とした構造機能に関する議論が多いのが現状である。適切な水路システムの再構築には,構造機能に加えて水理機能の評価が不可欠である。本報では,農業用パイプラインを対象に水理現象起源の弾性波の検出による水理機能評価を検討した。その結果,水理現象起源の弾性波をAE(Acoustic Emission)法により検出し,AEパラメータによる特性評価により農業用パイプラインで発生する水理現象(水撃圧,混相流)を検出できることが明らかになった。

  • 樽屋 啓之, 藤山 宗, 中田 達
    2014 年 82 巻 1 号 p. 11-14,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    水路システムの機能の保全や更新に際し,従来は,老朽化や災害により低下する構造物の構造機能の回復を目標とすることが多かった。しかし,時代の変化や土地利用の多様化に伴って,水路システムへの要求性能は急速に変化しており,構造物の単純更新だけでこれらの要求に対応できないことは,明らかである。本報では,水路の水理機能に支えられたネットワーク機能の強化を更新の目標に据えて,既存技術としての水路の二連化とバイパス化技術を複線化に基づく機能強化技術として整理する。そして,これらの方法が,現下の水路システムをめぐる多くの機能障害対策事例に対して有力な対策技術になりうることを示す。

  • 皆川 明子, 木村 幸, 藤山 宗, 樽屋 啓之
    2014 年 82 巻 1 号 p. 15-18,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    都市部は土地利用の変化が著しく,宅地化や道路の敷設に伴う水路の部分的な改修や路線変更が行われる頻度が高い。さらに,農業水利施設に対し,親水機能など農業生産以外の多面的機能が求められる場合も多い。都市部の農業水路を対象に機能診断を行った結果,土地区画整理事業に伴う水路の路線変更が背割分水工の分水比を変化させ,河川取水量が減少した際に下流で水不足が生じる原因となった可能性が明らかになった。本事例から,部分改修の際には,水路システム全体の水理学的バランスを考慮した設計を行うことの重要性が示された。また,水利組織が縮小している農業用水に対しては,部分改修の際に技術的支援を行うことができる体制づくりが必要と考えられる。

  • 國枝 正, 水間 啓慈, 森 充広, 安藤 泰久
    2014 年 82 巻 1 号 p. 19-22,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農業用ポンプ設備の機能診断は,これまで主として,日常・定期点検記録をもとに目視・触診・聴診などの外観調査が実施されてきた。しかし,このような外観調査では内部の劣化状況を把握することができないことから,近年,潤滑油による機能診断(以下,「潤滑診断」という)の事例が報告されている。潤滑診断は,ポンプ設備の軸受けや減速機,エンジンなどから潤滑油やグリースを採取し,油中に含まれる金属摩耗粒子の量や形態などの情報を用いて,ポンプ設備を分解せずに軸受けなどの摩耗状態を把握する手法である。本報では,これまでに潤滑診断を実施した事例に基づき適用時の留意点を示し,農業用ポンプ設備への適用に当たっての課題と研究の取組みについて報告する。

  • 伊藤 久也, 鈴木 哲也
    2014 年 82 巻 1 号 p. 23-26,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    近年,農業水利施設の維持管理の重要性が増す中で既存施設の損傷や劣化現象の検出・評価が重要な技術的課題となっている。本報の対象である農業用パイプラインは,土中に埋設されている構造的特徴から目視による損傷検出が困難であり,弾性波を用いた機能診断が数多く試みられている。本報では,供用条件下の既設RC管にひび割れ荷重(規格値)の80%を基準値として載荷し,その際に発生するAEの特性から損傷度評価を試みた結果を報告する。検討の結果,AEパラメータは載荷過程の進行に伴い変質し,除荷時のAE発生挙動と材料損傷との関連が示唆された。

  • 原山 昭彦, 大室 智史, 塩野 智美
    2014 年 82 巻 1 号 p. 27-30,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本報は,土地改良技術事務所による長寿命化技術体系化の取組みおよびコンクリート開水路の変状の実態分析の報告である。平成23年度,各地方農政局土地改良技術事務所に保全技術課が,これを取りまとめる組織として技術支援センターが関東農政局土地改良技術事務所に設置された。その役割は,機能診断技術や補修補強工法の適用性の評価,設計・施工に関する技術図書の整備,および重点的に取り組む技術課題の整理などである。また,農業水利施設のコンクリートの変状が各地区で問題となっているが,その実態について全国規模で集計し分析した事例はない。全国の国営更新事業地区などで調査した変状データをもとにコンクリート開水路の変状に関する分析を行ったものを中間報告する。

  • 本條 忠應, 植田 昌宏, 姜 華英, 都築 正弘, 矢野 均, 樽屋 啓之
    2014 年 82 巻 1 号 p. 31-35,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    農業水利施設の機能保全マニュアルは,現在のところ施設の構造性能を中心に取りまとめられたものである。農業水利施設の水利用や水理にかかる性能(以下,「水利用性能」および「水理性能」という)は,農業土木のユニークな,かつ本来的な性能であるが,これら性能に関する機能診断や評価手法などについては,まだマニュアル化に至っていない。そこで本研究では,水利用性能の可視化という観点から,水利用性能の診断結果(リスク評価)の可視化手法として,R-map法の適用を試みた。さらに,水利用性能を水理解析モデルにより分析・評価し,その結果を可視化する試みを行った。

  • 藤井 修
    2014 年 82 巻 1 号 p. 37-40,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本地区は,新潟県西蒲原地域に位置し,全国でも有数な農業地帯である。地域の農業用水源である西川用水は,延長約46kmの長大開水路系で幹線用水路の役割を担っているが灌漑面積約11,250haの必要用水量をすべて供給できないため,不足水は排水河川からの反復水を西川用水へ注水する5カ所の補給施設で賄っている。しかし,これら補給施設はすでに40年以上が経過し,老朽化が著しい揚水ポンプ施設であるのに加え,反復水の水質悪化,河口付近では塩水遡上の影響,複雑な用水系統など,更新整備計画に際しての技術的課題が存在している。このため,まずは既補給施設の水理・水利用機能(現況施設能力の妥当性など)を診断した上で,地区の課題解決につながる評価を試みたので報告する。

  • 鈴木 純, 松澤 義明
    2014 年 82 巻 1 号 p. 41-46,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた福島第一原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は,広範囲に降下し,地上を汚染した。放射性物質に汚染された運動場や市民公園などの改良を目指して,天地返しによる放射線低減の試験施工を実施した。天地返しでは,汚染された土壌を域外に移動させずに,地表面からの除染と放射線量率の低減をはかることが期待される。試験施工では,汚染土を表土10cmの土層と位置づけ,下層の清浄土と置き換えた。改良前後の地表面上0.01mの放射線量率は,0.28μSv/hから0.15μSv/hに低減した。試験施工後72日と310日に土壌を掘り出し放射能調査を行った結果,放射性セシウムは清浄土と地山からは検出されなかった。

  • 佐藤 俊典
    2014 年 82 巻 1 号 p. 47-50,a3
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    今後,将来の気候変動に対する影響への対応を考えていく上での基礎的な情報の整理を目的として,全国の多様な環境,管理形態にあるため池の中から,無作為に4,000程度のため池を抽出して,それらの管理者に対して,日常の管理状況,気候変動に対する管理者の意識,管理上の課題などについて,アンケート調査を実施した。回答を得た約1,600のため池管理者からのアンケート結果から,ため池管理者が行っている日常における水位管理,管理マニュアルの整備,点検状況,気象情報の把握,すでにため池に生じている豪雨,小雨の影響やそれに対する備え,対応,管理上の課題について,集計・整理した。本報では,その概要について報告する。

feedback
Top