農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
82 巻, 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 西村 伸一, 後藤 丹十郎, 山本 千絵, 村上 賢治, 珠玖 隆行, 吉田 舞子
    2014 年 82 巻 7 号 p. 535-538,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,児島湖から浚渫脱水された泥土を脱水し,作成された脱水ケーキを乾燥処理したものを実験資材として用い,植物の生育実験を行った。栽培植物としては,コマツナを供試した。著者らの従来の研究によると,泥土は,乾燥履歴を受けると,液性限界が低減し,透水性が大きくなることが明らかである。この性質が植物の生育を促進することを期待し,乾燥処理温度の異なる資材に対する生育特性の相違を明らかにした。資材の溶出試験を行った結果,処理温度による溶出特性の変化は見られなかった。生育試験の結果,100℃以上の処理温度の場合,室温で乾燥させた場合と比較して,生育促進にはつながらなかったが,葉の光沢が良くなる傾向が現れた。

  • 柚山 義人, 折立 文子, NGUYEN Phuoc Dan, 望月 和博
    2014 年 82 巻 7 号 p. 539-542,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    ベトナムのタイミー村でメタン発酵により生成されるバイオガスをさまざまな形態のエネルギーとして利用するとともに,消化液を液肥として水田で利用する実証研究を行っている。SWOT分析により,農家,消費者,社会に望ましい課題解決の方向性が整理された。また,実証研究の経験から,資源循環型の営農方式への変更を考慮した生産基盤整備,農畜産業の残さや資源作物からのエネルギー回収と農業利用,アクアポニクスや藻類培養のための栄養源としての低濃度の消化液の利用など,わが国の農業や農業農村整備事業へ再生資源の利活用を組み込むためのヒントが得られた。地場産のエネルギーや資材を利用するスマートビレッジの構築に向かいたい。

  • 中村 伸二
    2014 年 82 巻 7 号 p. 543-546,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」(平成12年法律第104号)の施行により,資源の有効活用を推進する観点から,建設資材の分別解体・再資源化などの措置,現場発生材などを再生資源として活用することが原則となった。農業農村整備事業などにおいても,各種農業水利施設の整備・更新により発生する建設副産物などの処理は,事業実施上避けて通れない課題の一つといえる。本報では,再生資源の活用の一例として,新川流域農業水利事業所において実施した浚渫土のセメント改良による他事業への利活用の事例について報告する。

  • 横濱 充宏, 伊藤 久司
    2014 年 82 巻 7 号 p. 547-550,a1
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    北海道におけるホタテ貝殻の暗渠疎水材としての利用状況について述べたほか,ホタテ貝殻を疎水材として用いた暗渠の施工11年目における機能状況およびホタテ貝殻疎水材の性状変化について調査した結果について紹介した。ホタテ貝殻を疎水材に使用した暗渠の排水機能は施工後11年経過しても維持されていた。また,疎水材としてのホタテ貝殻は,載荷強度の変化を見る限り,経年劣化を示す現象は認められず,施工後11年目においても十分に耐久性を有していると考えられた。ただし,ホタテ貝殻成分のカルシウム分の溶出の兆候がうかがわれることから,今後も経過観測が必要と考えられた。

  • 安西 俊彦, 清水 克之, 北村 義信, 池浦 弘
    2014 年 82 巻 7 号 p. 551-554,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    ウズベキスタンは,中央アジアで灌漑農地面積,塩害農地面積およびアラル海流域の河川水消費量が最大である。本報では,同国の農地・水利用の現況と国,灌漑地区・幹支線水路,圃場・末端水路の各レベルにおける効率的水利用の取組み事例を報告する。政府は節水・塩害対策として作付体系をソ連時代より変化させた。灌漑地区・幹支線水路レベルでは,適正な灌漑管理による節水の可能性,河川上流からの冬季放流の有効活用法,および適正な用水管理のための水管理組織再編の事例を報告した。圃場・末端水路レベルでは,新たな用水管理組織と水生産性向上のための事業を報告した。今回報告した取組みを活用し,国全体で効率的水利用の実現につなげることが重要である。

  • 長谷川 雄基, 谷村 成, 田中 基博, 高橋 慶吉, 佐藤 周之
    2014 年 82 巻 7 号 p. 555-558,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    現在,農業水利施設の補修工事に適用される材料および工法の品質の規格化が進められている。一方,実施工された補修材料の追跡調査の結果を報告している例は少なく,今後は追跡調査の結果をフィードバックすることで,補修材料の品質規格値や耐用年数が確立されていくと予想される。本報では,コンクリート開水路に補修された無機系表面被覆材の施工後の追跡調査を通して,各種性能評価の方法およびその課題の抽出を試みた。結果として,本調査で実施した各種試験により,無機系表面被覆材の諸性能を評価できることがわかった。また,本調査で対象とした補修工法では,施工後最長6年が経過しても,補修材の性能低下は生じていないと推察された。

  • 山口 康晴, 人見 忠良
    2014 年 82 巻 7 号 p. 559-563,a2
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/01/10
    ジャーナル フリー

    循環灌漑の取組みは,従来から湖沼等周辺の水田地域における汚濁負荷削減対策として,また用水不足地域における用水の有効利用対策として進められてきた。近年,湖沼等周辺地域での取組みの拡大や水田の水利用形態の変化等に伴う新規用水需要に対応して,循環灌漑の取組みが拡大しつつある。本報では,水田地域における排水路の水質調査結果等から,循環灌漑水としての排水路の水質特性を明らかにし,循環灌漑による湖沼等への汚濁負荷削減効果として,排水量の削減,排水路の水質改善の各効果に分けて考察した。また循環灌漑を実施するうえで,水質保全効果を一層高める観点からの管理運用上の課題等について考察した。

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