農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
83 巻 , 10 号
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  • 長束 勇
    2015 年 83 巻 10 号 p. 811-814,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    「補修・補強工事に関するマニュアル【開水路補修編】(案)」の策定においては,開水路の補修に求められる主な性能とその照査方法,材料・工法の品質規格について,策定委員会の委員間や事務局担当者との間で大いに議論がなされた。本報では,議論された技術的課題のうち,①マニュアル策定の基本的な考え方,②表面被覆材の耐摩耗性評価法としてのJIS規定テーバー式摩耗試験の妥当性,③RC開水路における許容ひび割れ幅,④水路底版部の単軸引張試験による付着強度閾値,⑤耐久性のある目地工法の規定のあり方,を取り上げて論点を整理するとともに,課題解決に向けてその後も鋭意行われている関連の試験や検討の結果なども併せて紹介した。

  • 浅野 勇, 森 充広, 川上 昭彦, 川邉 翔平
    2015 年 83 巻 10 号 p. 815-818,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ストックマネジメントの対象となる施設群の竣工時の品質が低くばらつきも大きい場合は,早期劣化や点検頻度が増加し,ストックマネジメントに要するコストと労力が増加する。このような労力とコストを低減するためには,施設の竣工時の品質を確保し向上させる取組みが有効である。一方,現状の農業水利施設の設計体系では,環境作用を十分考慮した耐久性設計法は確立されていない。環境作用を考慮した耐久性設計の導入は環境作用と施設が必要とする耐久性のミスマッチを防ぎ維持管理コストを低減することができる。本報では,農業水利施設のストックマネジメントの今後の展開について,上述した品質確保と耐久性設計の観点から考察する。

  • 新保 義剛, 小村 信治, 三上 憲之, 寺戸 有希, 白石 晋
    2015 年 83 巻 10 号 p. 819-822,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    複数のダムや用水路などからなる灌漑地区であるT地区において施設長寿命化計画を作成した過程で明らかになった課題とその解決策,さらに今後の方向について述べた。土木構造物の機能診断で余寿命に差が出る場合は継続監視が必要となった。機械設備で単一劣化曲線が適応できない場合は標準耐用年数を経た時点での更新が必要となった。実際の事業化では,同期化・平準化が必要であり,その際の注目点として,営農活動への影響や施設管理上の優先度などを挙げた。さらに,灌漑施設群としての機能と要求性能を検討し,課題の解決策として性能照査型の計画・設計手法を適用できる場合に注目すべき項目について述べた。

  • 水間 啓慈, 國枝 正, 渡嘉 敷勝, 森 充広, 桐山 招大, 綾木 長
    2015 年 83 巻 10 号 p. 823-826,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    戦後から高度成長期にかけて急速に整備された農業水利施設は老朽化に直面し,基幹から末端に至る施設の所有者・管理者が一体となって長寿命化を図ることが必要とされている。このうち末端水路は,農村地域の高齢化などに伴い,これまでと同様に地域が共同で施設を保全管理する活動の継続が困難になっている。このため,平成27年度から「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」が施行され,地域活動への支援が強化されたが,従来の補修工法は「安い」「簡単」「長持ち」といった地域のニーズに十分に対応できていない。このような背景から,これらのニーズに応える新たな漏水補修工法を開発したので,その特徴や性能などについて紹介する。

  • 緒方 英彦, 石神 暁郎, 田場 一矢
    2015 年 83 巻 10 号 p. 827-830,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業水利施設のストックマネジメントが直面している課題の一つは,継続的なモニタリングにより施設の長寿命化が確実に図られていることを受益者だけでなく国民に対して具体的に説明できるようにすることであり,関係者においては将来的なモニタリングが実施できることを前提とした対策工法を選定あるいは開発を行うことが求められる。本報では,農業水利施設の中でも開水路を対象に,まず対策工法の選定あるいは開発を行う上での留意事項について著者らの考えを述べた後,著者らが開発を進めている水路更生工法を適用した開水路における対策工法および躯体のモニタリングの事例を示し,将来的なモニタリングが可能な対策工法のありようについて述べた。

  • 長崎 文博, 鈴木 哲也, 小林 秀一, 佐藤 弘輝
    2015 年 83 巻 10 号 p. 831-834,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業用水利施設に普及にする鋼矢板水路は,長期供用に伴う腐食劣化が進行し,施設の補修あるいは更新などの保全対策が急務である。維持保全の計画に当たっては,鋼矢板の腐食実態が把握できる適切な機能診断手法が求められる。一方,維持保全の実施は,気象や水利環境に左右されない施工方法が求められる。また,近年の農村の都市化や環境調和への配慮など,施設の供用開始時とは異なる施工環境や性能を要求されるケースも見られる。本報では,これらの鋼矢板水路の維持保全の課題を踏まえて,腐食劣化に着眼した効率的な機能診断手法の提案と耐久性などに優れるコンクリート二次製品を活用した施設の補修および更新事例を報告する。

  • 石神 暁郎, 佐藤 智, 周藤 将司, 緒方 英彦
    2015 年 83 巻 10 号 p. 835-838,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    寒冷地の農業水利施設において適時・適切な保全管理を行うためには,温暖な地域とは異なる施設診断と対策技術が必要となる。特に,その機能診断ではコンクリートの凍害に着目する必要がある。著者らは,コンクリート開水路の凍害診断技術の開発を進めており,凍害劣化機構の精査と凍害診断手法に関する検討を行っている。本報では,最初に,北海幹線用水路の側壁よりブロック状に切断採取した試験体を用いてX線CT法により調査・分析を行った結果について述べる。次に,コンクリート開水路の凍害劣化に対する診断手法の在り方について述べ,最後に,凍害劣化を生じたコンクリート開水路における補修・補強時の留意点を述べて,本報を総括する。

  • 白谷 栄作, 桐 博英, 高橋 順二, 大石 哲, 村木 広和
    2015 年 83 巻 10 号 p. 839-842,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    無人航空機(UAV)は,搭載できる重量と飛行時間に限界があるが,デジタルカメラを搭載し上空から高画質の画像を比較的容易に撮影し,Structure from Motion技術によって施設構造物の三次元座標データを得ることができる。カメラを搭載したUAVによる上空からの撮影によって,農業用水路の変状把握実験を行った結果,画像内に樹木など動く物体が大きく写り込んでいない場合には精度の良い三次元モデルが作成され,水路天端の0.02m程度の段差や水平変位が検出できた。農業水利施設のより効率的なストックマネジメントのため,UAVの活用は,状態監視保全を取り入れた技術体系を構築するための有効な手段となる。

  • 鈴木 哲也, 島本 由麻, 山岸 俊太朗, 稲葉 一成
    2015 年 83 巻 10 号 p. 843-846,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業水利施設のストックマネジメントの重要性が増す中,全国的な規模で既存施設の機能診断に非破壊検査技術が多用されている。その検査精度は,計測環境や機器特性の影響を強く受けるが,ノイズ除去方法に関する実証的検討は十分に行われていない。本報では,自由水面を有するコンクリート水路橋を対象に通水条件においてひび割れ損傷から発生する弾性波の検出をAE法により試みた結果を報告する。流れ場におけるノイズ除去は,赤池情報量基準(AIC)により検討し,弾性波検出精度の改善を試みた。検討の結果,破壊現象起源の弾性波である突発型AEは,検出波の減衰時間を考慮したAIC法により高精度での抽出が可能であることが明らかになった。

  • 中田 達, 藤山 宗, 樽屋 啓之, 中 達雄
    2015 年 83 巻 10 号 p. 847-850,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    全国の基幹的な水利システムにおいて機能診断の結果が蓄積しつつある。本報では,われわれがこれまで調査してきた事例地区での,改訂版「農業水利施設の機能保全の手引き」の水利用・水理機能診断プロセスに沿った具体的な機能診断の進め方を提示した。具体的な性能照査項目とその判断基準については,それぞれの施設に応じてオーダーメイド的に設ける必要があり,通水性・分水制御性などの定量的な性能照査では,水理ユニットにおける水理縦断図などの利用や,水管理制御方式の確認によるネットワーク構成要素の相互連携の考慮といった着眼点が重要であることを示した。

  • 阿部 進, 藤本 直也, 若月 利之
    2015 年 83 巻 10 号 p. 853-858,a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    西アフリカの低湿地における参加型水田開発手法について,適地判定手法や具体的な開発工程に重点を置いて報告する。この適地判定手法によってサイトを選定し,水田開発を現地技術者や経験を篤農家の指導のもと,主に参加農民の自主労働と小型耕うん機の利用によって実施する。本方式を適用して適地を選定し,一台3~4千ドルの耕うん機を導入すれば,年間2~5haの新規開田が可能となる。ターゲット収量である4t/haを達成できれば,毎年20~40tの籾が生産でき,年間4~12千ドルの売上げを見込める。投資の大きい初年度を除けば,3年以内で十分に利益を出すことが期待できる。

  • 稲葉 一成, 伊藤 広明, 鈴木 雅也, 増田 秀明, 金子 均
    2015 年 83 巻 10 号 p. 859-863,a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    グリズリアンダー材を農道敷砂利に利用する際の転圧回数や敷砂利厚などの施工基準を定める目的で,新潟県内の12地区において,「転圧回数(0,2,3,5回)」と「敷砂利厚(70,100mm)」を組み合わせた試験路線を設定した。そこでの走行試験の結果,降雨などの影響がない状況においては,転圧を2回以上することで走行性の向上とわだち掘れの低減に効果があること,その効果は敷砂利厚が70mm,100mmのどちらでも変わらないこと,グリズリアンダー材の圧縮率としては転圧前の敷砂利厚に対して20%を見込んでおけばよいことがわかった。また,3地区において供用1年後での経年変化を調査した結果,転圧を2回以上行っていれば路面はおおむね良好な状態を保っていることがわかった。

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