農林水産省では,近年の豪雨や地震によるため池の決壊などを踏まえたため池の防災・減災対策の優先順位付けをするため,平成25年度から全国約11万カ所のため池の一斉点検を実施している。平成26年度までに完了した81,171カ所のため池のうち10,077カ所が詳細調査を要するとの結果であったが,点検で用いた数量化Ⅱ類による地震時における構造的評価について近年のため池の耐震照査結果と比較したところ,ほぼ妥当な水準であった。本報では,これら一斉点検の結果と下流に住宅などのある防災重点ため池を優先したハード対策とソフト対策を進めていくとともに,農村の都市化や担い手の高齢化に伴い利用の低下や管理の脆弱化がみられるため池の広域的な保全・活用など,今後のため池の防災・減災対策を紹介する。
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