農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
83 巻 , 4 号
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  • 中 達雄, 樽屋 啓之
    2015 年 83 巻 4 号 p. 259-262,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業構造や作目の変化,水利用の多様化,水管理運用経費の縮減および社会的要求などを背景とした農業水利システムの本来機能である水利用機能などの向上への取組みが必要である。戦後の農業水利事業をたどると第1世代を水源開発・用水補給型(1950~1980年代),第2世代を水管理高度化型(1990~2010年代)と位置づけることができる。2010年以降,水利システムの整備は,新設の時代からその機能を保全・向上させる目的の更新整備の時代に入っている。このため,システム全体に要求される機能・性能に着目した性能照査を基本に計画設計する必要がある。この意味から,第3世代(2010年頃以降)の水利システムを性能照査型と位置づけることができる。

  • 石井 敦
    2015 年 83 巻 4 号 p. 263-266,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    日本の平野部水田地域でも,水田を5 ha以上の巨大区画として巨大圃場機械を効率よく用い,大規模経営体の専従者1人当たりの経営規模を80 ha/人以上に拡大することで国際競争力をもった低コスト米作が可能である。巨大区画水田では灌漑用水や水利施設の管理は単純で容易になるが,一方,農村地域の維持には大規模経営体以外の多様な農業の展開が必要なため用水管理は複雑化し,エンドユーザーの変貌により従来のムラをベースとした重層的な水利組織は改変が必要になる。また,建設事業として実施される基幹水利施設の更新や大規模改修のシステムも,事業の三条資格者の変貌への対応が課題となる。これらを,内外の先進事例の分析に基づいて論述する。

  • 鈴木 哲也, 樽屋 啓之, 粟生田 忠雄, 中田 達, 藤山 宗, 中 達雄
    2015 年 83 巻 4 号 p. 267-270,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    長期間供用されている農業水利システムでは,営農形態の変化や末端部の高度な圃場利用により水利用実態が建設当初と比較して変化していることが少なくない。近年,既存施設の施設機能診断において農業水利施設の構造性能に加えて水理・水利用性能に関する議論の必要性が見直されている。筆者らは,平成26年度農業農村工学会大会講演会の現地研修において新潟県新津郷地区を対象に「水利システムの水利用機能診断現場研修」として多様な専門家集団による農業水利システムの水理・水利用診断に関する技術的議論を試みた。本報では,その際に明らかになった農業水利システムにおける水理・水利用診断の技術的課題を示し,現地研修を事例に総合診断への技術展望について考察する。

  • 樽屋 啓之, 渡部 大輔
    2015 年 83 巻 4 号 p. 271-274,a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報では,水利システムが将来にわたり変わり続けることを前提とする新たな更新技術の体系の構築を視野に入れ,水利システムを社会インフラのネットワークとしての定式化と,当面の水利システム再編の方向性について考察する。最初にそのための準備として,社会を支えるインフラとネットワークの関係について共用と専用の概念を解説するとともに,今後水利システムの分析にも重要な位置を占めると考えられる近接グラフの概念整理と冗長性に着目した分析方法の説明を行う。そして,それらの分析手法を適用するための準備として,ネットワークグラフに基づく水利システムの階層的特性の表示や,施設・情報・社会ネットワーク間の関係整理などを行う。

  • 姜 華英, 都築 正弘, 社家 里枝子, 樽屋 啓之
    2015 年 83 巻 4 号 p. 275-278,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    次世代の水利システムは,将来の自然・社会経済・営農状況の変化も見据えつつ,これら変化に対応できるよう,弾力的な用水供給や維持管理コストの軽減が図れるような機能を有していることが重要である。こうした状況のもと,今後,水利システムの更新整備は,単純に既存の性能まで回復させるだけの整備から,上述の機能を発揮できる性能を有する水利システムを再構築するケースが増大すると考えられる。そこで本報では,次世代の水利システム構築に向けて必要となるプロセスと,要求性能の設定や合意形成の重要性,可視化などの情報共有ツールの有用性などについて述べる。

  • 飯田 俊彰, 木村 匡臣, 溝口 勝, 竹下 義晃, 樋口 克宏
    2015 年 83 巻 4 号 p. 279-282,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    水稲作の少人数大規模経営化を進める中で,水管理労力を大幅に抑制し,適切な水管理を確保する方策が望まれている。そこで,まず,経営形態の異なる農家4軒とそれぞれが耕作する対象圃場4区画を選定し,水管理における水稲作農家のニーズを,対象圃場での水収支の詳細観測,営農記録,聞取り調査によって把握し,ならびに土地改良区のニーズを聞取り調査によって把握した。次に,把握されたニーズに沿って,各区画などへ提供する「農業水利情報サービス提供システム」を開発した。さらに,本システムをWeb上で公開して試行し,想定ユーザーによる価値評価を行った結果について述べる。

  • 小西 邦寿, 石村 忍, 岡田 昌治
    2015 年 83 巻 4 号 p. 283-286,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    戦後の食糧増産,国土総合開発を目的として,昭和30~36年に建設された愛知用水は,施設の経年劣化,都市用水の需要増などにより,昭和56~平成16年に改築を行った。支線水路の管路化により,利水者の水利用状況が開水路系の幹線水路に即時的に影響するため,これに対応できる水路システムと合わせ,ライフサイクルコストの縮減に資する水路システムを構築した。本報は,供給主導型から需要追従型の水路システムを指向した改築の背景・概要を紹介するとともに,システム転換の具体的取組みについて,施設の対応および適切な水管理を行うための新たな水利用ルールの形成を紹介するものである。

  • 鈴木 純, 星川 和俊, 吉村 伸一
    2015 年 83 巻 4 号 p. 287-290,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    長野県松本盆地南西部の砂塵が発生する畑地帯において,5月下旬に作付け調査を実施した。作付け調査の結果,調査対象地域(約180ha)では,その30%程度の畑地が冬季から春季にかけて不作付けであった。これらの畑地には,ムギ類を播種することによって草生を形成し,砂塵の発生を抑制することができる可能性がある。また,気象観測の結果から,ムギ類が地表面に存在することによる効果を予測した。ムギ類の草高を0.07mとして,風の対数則を当てはめると,地表面上0.1mの風速は,裸地と比較して69%に風を弱めることができると予測された。現状ではそれぞれの農家が別個に作付け体系を決めているが,春季の不作付け地に対してムギ類を播種できるようなコーディネーションが必要であることを述べた。

  • 正田 大輔, 吉迫 宏, 井上 敬資, 堀 俊和
    2015 年 83 巻 4 号 p. 291-294,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    昨今の集中豪雨によりため池が被災する事例がある。平成16~23年度のため池の被害は,約90%が豪雨によるものである。被災したため池が決壊した場合,下流域の農地などに被害を与える。このため池決壊による浸水域を予測するための氾濫解析については,ため池貯水のみを流出させる事例があるが,ため池の被害要因である豪雨を考慮した場合,決壊前に水路などが浸水していることにより予測浸水域が大きくなる可能性が考えられる。本報では,平成26年度に豪雨で決壊したため池を対象として,豪雨の影響を考慮するため,解析全メッシュに雨量相当の水深を与えた上で,ため池貯水を流出させる氾濫解析を実施した。その解析結果と,浸水時の写真や証言とを比較し,実際の浸水域との整合性について検討を行った。

  • 竹中 一行, 杉山 崇, 遠藤 知庸, 渡邊 博
    2015 年 83 巻 4 号 p. 295-299,a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    地震に伴うため池決壊による営農および下流域住民の人命・財産などへの甚大なる被害を回避することを目的に,全国に約21万カ所存在するため池のうち危険性の高いため池から順次,耐震性能照査および耐震化対策を効率的に実施するため,耐震性能照査実施の優先度を決める一次スクリーニング手法を開発した。この手法は日本海中部地震の被災データと数量化Ⅱ類分析による構造的危険度の構造判定と,下流域への社会的影響度および受益面積などの経済的依存度の点数化による影響判定を組み合わせた判定表を使用するものである。また,複数の地震の被災データおよび自治体の協力のもと実施したケーススタディを踏まえ,判定表の改良を実施した。

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