農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
84 巻 , 12 号
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  • 今村 肇
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1043-1046,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農林水産省北陸農政局において,平成11年から国営九頭竜川下流農業水利事業に取り組んでおり,老朽化した既設用水路のパイプライン化を進めている。この事業により用水の節約をはじめ,用水が塩水化している地域への水の供給,水質の向上や水管理システムの高度化,水難事故防止などさまざまな効果が期待されている。今回,九頭竜川下流地域に複数ある用水路の内,河合春近用水路(全長約7.1km)において,1つの立坑から上流工区と下流工区への2方向へ異なるシールド工法で同時施工によりトンネルを構築しパイプライン化工事を行った。上流工区と下流工区との長距離シールド施工における課題と対策について報告する。

  • 木内 正彦, 木村 聡
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1047-1050,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    北海道東部に位置する日本最大の湿原「釧路湿原」に隣接する農地は,泥炭に起因する地盤沈下による排水不良に伴い,農作物の生育障害や農作業効率の低下が生じたことから,農地防災事業により農地および農業用排水路の機能回復工事を実施した。その際,釧路湿原国立公園に隣接することから,工事期間中の土砂流出を軽減するため沈砂池設置などの対策を行った。本報では,事業期間中の調査結果から沈砂池の効果を検証するとともに,今後に向けた沈砂池の維持管理に係る基本方針を紹介する。

  • 吉川 隆史, 南雲 人, 平山 陽介
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1051-1054,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    昭和38年に「篠津地域泥炭地開発事業」により完成した石狩川頭首工は,国営かんがい排水事業「篠津中央二期地区」により全面改修を進めている。本体部分の完成により,平成25年11月から供用開始しており,関係工事は旧頭首工の撤去など最終段階を迎えている。平成26年から始まった旧石狩川頭首工撤去工事(4年国債工事)は,全国第2位の流域面積を持つ石狩川の低水路部分を鋼矢板二重式仮締切りにより締め切り,旧頭首工の撤去を行う工事であり,台風洪水期(8~9月)と融雪出水期(4~5月)を除く期間で実施することとした。本報では,このような条件下で実施される本工事の全体工事計画,仮締切り工法および撤去工法の特徴などについて報告する。

  • 櫻井 睦, 山岸 裕之, 工藤 真一, 千葉 尊仁, 小林 圭介
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1055-1058,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    猿ヶ石川地区の農業水利施設は,国営猿ヶ石川土地改良事業(昭和28~38年度)ならびに国営猿ヶ石土地改良事業(昭和34~45年度)で造成された。この施設の老朽化による更新事業の必要が生じ,平成20年度から猿ヶ石川農業水利事業として,水路の補修・改修を実施している。また,事業実施中には東日本大震災を経験した。このため,東日本大震災を契機に水利施設の耐震設計について,厳密な照査・設計を実施することが必要となった。猿ヶ石川地区の耐震設計などを考慮した重要構造物は,猿ヶ石川サイホン,立沢水路橋,百ノ沢調整池,JR釜石線横断水管橋,谷内幹線用水路1号水管橋であり,それぞれの施設設計について報告する。

  • 本田 弘司, 松原 茂樹, 永野 佳子, 井谷 昌功
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1059-1063,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    大井川用水地区の幹線水路は事業完了後50年近くが経過し,施設の老朽化による機能低下が生じている。今回,榛原9号水路(呼び径350)および掛川幹線八幡池導水路(呼び径450)の整備に当たり,従来から採用しているT形ダクタイル鋳鉄管をベースに新たに開発されたALW形ダクタイル鋳鉄管を採用し,その構造安全性と水理性能を確認するために管路の一部で埋設実験および流速係数測定試験を実施した。その結果,管の安全性が確認でき,特にAL1種を用いた施工を簡略化した場合でも適切なパラメータ設定を行えば従来どおりに構造設計できることがわかった。また,内面シリカエポキシ樹脂塗装の流速係数が150以上であることも確認できた。

  • 平岩 昌彦, 中山 圭主, 西岡 伸, 財津 卓弥
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1065-1068,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    国営農業用水再編対策事業「九頭竜川下流地区」は,老朽化した開水路の改修と合わせて,これまで質・量ともに不安定な水源に依存していた周辺地区に対し水源を確保するため,幹線用水路をパイプライン化し,平成28年に全面供用開始に至った。事業実施に当たり,これまでの水利慣行を理解し,今後の地域農業の変化に対応しうる利便性の高い新たな水利システムを構築するため,官・学連携スキームを取り入れ,課題に取り組んできた。本報は,本地区の千年もの長きにわたる水利の歴史的経緯とともに,パイプラインシステム,調圧水槽,水管理システムの検討経緯を中心に紹介し,新たに構築された水利システムの俯瞰を試みるものである。

  • 財津 卓弥, 大塚 直輝, 西岡 伸, 平岩 昌彦
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1069-1073,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    国営農業用水再編対策事業「九頭竜川下流地区」では,老朽化した開水路の改修とあわせ,周辺地区に対して新たな水源を確保するため農業用水路のパイプライン化を実施し,幹線用水路の延長は約54.8kmに及んでいる。幹線用水路はφ3,500mm鋼管のほかφ2,800mm強化プラスチック複合管の2連配管など,大口径管の布設において国営農業水利事業としては随一の規模を誇る。本報では,大口径パイプラインの施工に当たっての検証経緯や流動化処理土や軽量スラスト対策工,水路内配管など先進的施工技術の採用によるコスト縮減の取組み,さらに耐震性・安全性の向上対策を中心に,本事業における設計・施工の特徴について紹介する。

  • 西岡 伸, 野坂 浩司, 大塚 直輝, 坂口 桂祐
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1075-1080,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    国営九頭竜川下流地区では,平成28年4月に全長約55kmの幹線用水路(パイプライン)の全面供用開始に至ったところであり,事業実施期間の序盤から,福井県,市町,JA,土地改良区,国営事業所が連携して,福井県農業試験場や農研機構(農村工学研究部門,北陸研究拠点)などの専門家の指導・助言を得て,パイプラインの特長を生かした地域農業の新たな展開に取り組んでいる。本報では,国営事業を契機に,国営・県営パイプラインと大区画圃場が一体となった生産基盤をフル活用して期待される事業効果を効率的に発揮するため,どのように農業振興に取り組んできたか,実施状況と成果,今後の展望について述べる。

  • 川本 喜憲
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1081-1084,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    白山(しらやま)頭首工は1級河川である手取川に位置し,昭和12年に完成した農業用水最大約60m3/sを発電用水とともに合口取水するフィクスドタイプの複合堰である。白山頭首工で取水され,用水がもたらされる受益地域は5市1町にまたがり,多くの農地をうるおしている。施設は適切に維持管理され,完成後70年以上にわたり用水の安定供給に寄与してきたが,堤体および基礎部の老朽化が進行しており,国営事業にて全面的な改修を行うこととなった。なかでも固定堰部は自然石を使用した石張り構造となっているが,今回の改修工事においても,石張り工法が採用されている。本報では,その石張り施工において実施している現場独自の技術や創意工夫について紹介する。

  • 岡﨑 皓介
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1085-1088,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ため池堤体の現状を把握することは,設計や工事施工に当たって重要な情報となる。しかし従来からのボーリング調査だけでは,長い土構造物である堤体の現状把握に課題があると考えられた。そこで従来調査に加え物理探査を実施することで,より正確な現堤体の評価を行うことができ,さらに適正なため池改修が実施できると考えた。堤体の漏水状況や空洞化といった主要な欠陥を,より高精度で把握する手段の検討を目的として比抵抗電気探査と高密度表面波探査を実施した。その結果から,従来調査との併用によって,有効な情報を得ることができる手段となると考察できた。今後の展開として,事例を増やすことと,結果の信頼度の向上についての検討が必要である。

  • 粟生田 忠雄
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1089-1092,a3
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    今日求められている稲作技術は,生産コスト低減,農地の汎用化,高温登熟対策,既存施設の長寿命化などである。ここでは,水田暗渠を革新的なマネジメントで未来志向の圃場整備に適応した事例を紹介する。この暗渠マネジメントでは,①陶管暗渠への立上り管接続で,迅速に水移動(管内洗浄)できた,②疎水材の充塡で排水機能が回復し,圃場整備の新規投資をほとんど必要としなかった,③排水不良水田においても,陶管の本暗渠ともみ殻の補助暗渠からなる複合暗渠が鉛直方向の土壌水移動を促進させた,④地下灌漑による水稲直播では,発芽率はほぼ100%であった,⑤猛暑時の地下灌漑によって,作土層の地温を抑制でき,収穫量と格付けの低下を抑えられた,などが明らかとなった。

  • 齋藤 晴美, 渡邊 史郎, 後藤 光喜
    2016 年 84 巻 12 号 p. 1095-1098,a3
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    日本を含めると,アジアでは農業を取り巻く環境や灌漑排水施設の整備状況を背景に,日本のような1期作を前提とした圃場整備,東南アジアでは2,3期作を前提とした①簡易な圃場整備と②本格的なほ場整備の2つの型,計3つの圃場整備が存在し,国ごとあるいは地域ごとで相違が確認できる。農業機械においても,同様に農業を取り巻く環境による相違が確認できる。しかしながら東南アジア諸国では,労働力不足,農業の機械化およびさらなる水利用の高度化を背景に,圃場整備が注目されだしている。特にミャンマーとベトナムには近い将来,日本の昭和30,40年代の圃場整備の時代が来ることが予想される。

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