国営和賀中部地区は,岩手県南西部,北上川の支流和賀川の左右岸に展開する北上市,花巻市,胆沢郡金ケ崎町にまたがる約3,390haの水田地帯である。本地区は現在,稲作を中心に,水田の畑利用による大豆,麦および野菜などを組み合わせた複合経営が展開され県内有数の農業地帯となっている。本地域の農業を支えてきた国営和賀中部開拓建設事業(昭和38~45年度)で造成された水利施設は,老朽化および寒冷な気象条件による劣化が進んでいた。本報では,平成18年度に着工し平成28年度に事業完了した国営和賀中部農業水利事業で整備した主要施設の和賀川水管橋,頭首工,調整池,用水管理施設の更新および環境配慮対策のほか,事業実施段階での地元土地改良区などとの事業調整内容などについて報告する。
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