農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
85 巻 , 2 号
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  • 宮崎 雅夫, 勝村 昌央
    2017 年 85 巻 2 号 p. 115-118,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    1954年,わが国はコロンボ・プランに加盟し,政府開発援助(ODA)を開始した。2015年2月,政府は,昨今のわが国や国際社会を取り巻く状況の変化を踏まえ,わが国のODA政策の基本方針を示す「ODA大綱」を改訂し,新たに「開発協力大綱」を策定した。農業農村開発協力(以下,「NN協力」という)では,1959年にブラジル,キューバへの灌漑専門家の派遣を皮切りに協力が開始された。その後,1984年に農林水産省でも構造改善局(当時)に海外土地改良技術室が設置されたことにより,NN協力の推進を図る省内の体制も整えられ,これまで,延べ1,000人以上の農林水産省職員がNN協力に関するJICA長期専門家として派遣されている。本報では,これまでのNN協力の実績や変遷についてその概要を紹介するとともに,今後のNN協力の展開や課題について報告する。

  • 長野 宇規
    2017 年 85 巻 2 号 p. 119-122,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    2016年は持続可能な開発目標(SDGs)の対象元年であり,同時にパリ協定が発効した。今がレジームの大きな転換点であることを踏まえ,まず地球環境問題の流れを国連と国際研究の動向から読み解いた。次に産業域と紛争域に向かう日本のODAの方向性を論じた。最後に開発の目標を再確認し,自然資源管理の必要性を検討した。これらを総合すると,今後の農業農村工学は自然資源を適切に管理しうる人口が,生業の多様性を保ちながら農山村に居住できる基盤の創出を目標にすべきである。再生可能エネルギーへの急速な移行がこの動きを後押しする。日本と途上国を同列で考え,世界に展開することが可能になる。

  • 三次 啓都
    2017 年 85 巻 2 号 p. 123-126,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    1950年代から始まった開発途上国に対する日本の農業・農村開発協力は,アジアを中心とした稲作の協力から,地域および分野を拡大して進められてきた。食料安全保障の観点から引き続き開発途上国からの要請は高いが,それに応えるための専門人材の育成が急務となっている。専門家の世代交代および気候変動やSDGsといった多様な課題に対応できる人材を,国内外問わず育成しネットワーク化することが喫緊の課題である。

  • 岩本 彰, 長野 宇規, 滝川 永一
    2017 年 85 巻 2 号 p. 127-130,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    筆者らが携わった海外農業農村開発協力の内容を整理し,国際協力における農業・農村開発の変遷について述べるとともに,開発を進めていく過程で抽出された課題や将来の展望について問題を提起する。また最近の農業農村開発協力においては,紛争影響国に対する平和構築を目的とするコミュニティ開発協力が実施されている。これらの協力では従来のように農業生産性改善にとどまらず,農業以外の他分野を包摂する総合的農村開発が実践されているが,このような総合的案件を実施する上で必要な「産・官・学」の当事者がそれぞれの成果を共有可能なプラットフォームの構築を提案する。

  • 齋藤 晴美, 南部 明弘, 渡邊 史郎, 林 亨
    2017 年 85 巻 2 号 p. 131-136,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    持続的な水管理組織を確立するための要因として,世界銀行,アジア開発銀行や研究機関は,①組織の成立要件,②組合員資格の明確化,③良きリーダーの存在などを挙げている。しかしながら,試行錯誤しながら水利組合の規約を作成しているが,自国なり各水利組合の主観的な評価はともかく一般的には水管理組織の運営がうまくいっていない。そこで角田亜細亜大学教授が唱えるオストロムの共有資源管理の理論とフリーマンの灌漑用水割当て制度の理論を組み合わせて,水管理組織を客観的に評価する手法を用い調査を行った。具体的には,この2つの理論を組み合わせて水利組合の指標と機能診断に活用し,水管理組織の設立要因を分析した。それを踏まえ,水利施設の状況評価とPIMへの技術協力の方向性について取りまとめた。

  • 渡邊 史郎, 後藤 光喜, 中神 芳春
    2017 年 85 巻 2 号 p. 137-142,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業インフラシステム海外展開促進のための調査を行い,ミャンマー国バゴー管区オクトウィン郡区でモデル圃場整備を行った。ミャンマーには,わが国の土地改良法のように一気に土地を再編成する法制度は存在しない。したがって,ここではわが国の換地処分に準じて行うこととし,相手国政府と農家全員の同意のもと,基本方針を定めた。モデル圃場の整備は2015年2月に工事を終え,3月には乾期作の稲の作付けを開始したところであり,今後雨期には本格的な稲作を行っていく。これらを踏まえ,圃場整備に対する農家の期待も大きい。今後は,同地域における圃場整備の効果の検証や農家を対象としたアンケート調査などのフォローアップを行いたいと考えている。

  • 平岩 昌彦, 増尾 学, 高橋 良次, 横田 憲一郎
    2017 年 85 巻 2 号 p. 143-148,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    カンボジアでは,社会経済の復興から発展への移行に伴い,水資源利用の大宗を占める農業用水に加えて飲料水,工業用水,水力発電の需要が高まりつつあり,近年,新規と既存の水利用者間での調整や,上流と下流の灌漑システム間での水の公平な配分などによる流域単位での水生産性の向上が,農村地域での重要な課題となっている。本報では,カンボジアにおける流域水資源管理に関する政策的枠組みの構築状況,灌漑・水資源管理分野における日本の協力状況について概括し,特に2014年から実施しているJICA流域水資源利用プロジェクトについて,背景,計画概要,研修,観測網強化,流域情報整備,流域水収支分析,流域管理委員会の設立などの実施状況および課題と今後の展望について述べる。

  • 金森 秀行, 谷川 満弘, 高尾 武司, 高橋 政俊
    2017 年 85 巻 2 号 p. 149-154,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    地方には,その気候・地勢・伝統のなかで醸成された特有の技術・知識がある。これらを開発途上国に研修を通じて普及するには,①活用可能な技術・知識の選択,と②地方研修に伴う制約の回避の2課題がある。香川県では,ため池研修を2010~2015年に実施した。その結果,計14カ国・48名の研修員を受け入れ,帰国研修員を通じて約9,000名の農家・技術者などに香川の技術・知識を普及した。さらに,スリランカで帰国研修員のサンプル調査を実施した結果,香川の技術・知識が活用されて農家が便益を得ていることを確認した。本報では,ため池研修で採用した技術・知識の選択と制約回避の工夫を紹介して,地方の国際協力活動への参加を促したい。

  • 田中 卓二
    2017 年 85 巻 2 号 p. 155-158,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ルワンダ共和国は,アフリカ中央部に位置する内陸国で,人口1,165万人,国土面積は,26,338km2で四国の約1.5倍の面積である。東部で降雨量が少ないことや人口密度が東アフリカの中で最も高いことから,灌漑の必要性が高い。ルワンダ政府は2018年までに100,000haの灌漑開発を目指しているが,コスト高,未熟な組織・技術などのため目標達成は難しい状況である。このため,日本の農業農村開発協力として,①丘陵地灌漑,②湿地開発,③灌漑水利組合の能力向上,を検討しており,その概略を述べるとともに,筆者が東部県で実施した実践的な湿地調査の手法および結果分析について紹介する。これらの成果を踏まえ,ルワンダで農業農村開発を進める上での課題と展望を述べる。

  • 大坪 成, 溝口 航太郎
    2017 年 85 巻 2 号 p. 161-165,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    アジア諸国における灌漑事業の現状や動向を把握するため,国際水田・水環境ネットワークに参加している国々に対し,①持続的な水管理,②環境配慮,③南南協力についてアンケート調査を実施した。対象国は同組織の会議に参加したエジプト,タイ,カンボジア,パキスタン,ネパール,フィリピンおよびベトナムの7カ国である。各国1名に答えてもらった。あくまで個人的な見解が結果として得られているが,結果にはテーマごとに一定の方向性が表れていると考えている。さらに,調査項目や対象人数を増やせばもっと実態に近づけたと思われ,今後の調査の充実が望まれる。

  • 長利 洋, 高松 利恵子, 落合 博之
    2017 年 85 巻 2 号 p. 167-170,a3
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ラムサール条約湿地に登録される仏沼の環境を創造し,維持してきたのは,干拓事業後一日も休むことなく続けられてきた強制排水,火入れ,道・水路管理作業や灌漑であり,これは地元農家・土地改良区の努力の賜である。そして,手入れによって支えられ,護られてきた仏沼の環境を維持していくためには,多額の経費が必要なことを明らかにした。図らずもできた環境を,変えることなく維持するだけでなく,地区の農業展望を含めて,仏沼および周辺地域を広く考えて,現在の環境が創造された経緯を踏まえて維持管理の負担の少ない仏沼の環境を新たに創造することを提案した。

  • 加藤 修一, 佐田 俊彦, 赤松 洋児
    2017 年 85 巻 2 号 p. 171-174,a3
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    現在,国営筑後川下流右岸農地防災事業などによってクリークの再整備が進められているが,整備後のクリークの維持管理や環境保全活動の裾野を広げていくため,クリークの有する多様な役割を地域住民に伝えることは重要なことと考える。この一端として次世代の地域の担い手である子どもたちが,クリークの多様な役割を現地において学び,クリークに対する理解を深めてもらうことに着目し,工事に合わせ現地における環境学習会を実施した。さらに小学校周辺のクリークにおける環境点検とワークショップ方式を活用した点検マップ作成を行い,実施後小学校校長や担当教諭から意見を聞き取り,学習会の成果および留意点などの取りまとめを行ったので報告する。

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