農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
85 巻 , 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 小川 茂男
    2017 年 85 巻 6 号 p. 535-538,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農研機構農村工学研究部門においては,技術開発計画の達成に資する技術開発を行っており,農業農村整備事業の現場や技術者のための技術開発,現場ニーズに基づくバックキャスティング型の技術開発を実施している。また,国家レベルとして“しなければならない研究”,大規模事業などの推進に資する課題を主体に行っている。そのためには,行政部局との協力・連携は重要であり,製品化や新工法の開発・実証などに関しては民間との共同研究が不可欠となる。これまでに実施している行政部局との連携,民間との共同研究の実施状況と得られた成果(知的財産の産出,開発された新技術など),普及に向けた情報発信などについて紹介する。また,さらなる強固な産学官連携の方向について述べる。

  • 竹内 英雄
    2017 年 85 巻 6 号 p. 539-542,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所寒地農業基盤研究グループは,北海道地域での農業基盤整備にかかる研究を担っている。研究の推進に当たっては,事業実施者である北海道開発局との定期的な検討会により現場ニーズに即した技術開発に取り組み,双方の課題や研究成果などについて情報の共有を図っている。また,実験圃場を持たない当所では,市町村や土地改良区,農家などの協力を得てフィールド調査を行い,地元への研究成果のフィードバックなど地域との連携を図り研究成果の普及にも努めている。また,民間企業との連携により短期間での現場にも適用可能な技術開発を先導的,効率的に進めるなど,当所が行っている行政,地域,大学などとの連携の事例と課題について紹介する。

  • 北川 巌, 後藤 幸輝, 露﨑 浩, 柏木 淳一, 巽 和也, 塚本 康貴, 中川 進平, 進藤 勇人
    2017 年 85 巻 6 号 p. 543-546,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報では,圃場の排水機能を保全する切り札となる営農で対応できる補助暗渠技術である穿孔暗渠機「カットドレーン」や有材補助暗渠機「カットソイラー」などを産学官連携により研究開発から普及まで進めてきた経験について紹介する。ここでは,研究開発の目標の設定と技術開発のステップ化による開発技術の管理と研究の効率化と普及の加速化について,企業との協働や大学などと共同での新技術の効果発現機構の解明とともに,地域の試験研究・普及指導機関と連携した現地への技術導入の取組みと行政の支援,各地域におけるユーザーの評価と要望への対応の重要性について述べる。

  • 藤田 信夫, 井谷 昌功, 竹谷 和志
    2017 年 85 巻 6 号 p. 547-550,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    適用範囲を限定(設計水圧1.0MPa以下)し,従来よりコストを抑えたALW形ダクタイル鋳鉄管(高剛性のAL1種)の特性を生かし,粘性土などの現地発生土の利用を想定した埋戻し施工の実規模土槽実験を大学,研究機関との共同で実施した。開削幅を縮小した施工断面でT-25相当の活荷重を10,000回繰り返し載荷した結果,管の最大発生応力は許容応力の1/6程度,たわみ率も0.24%と設計値に対して十分に小さいことが確認できた。また,管周辺地盤については,地表面の沈下量で8.5mmと小さく,沈下量の大部分は管上部の地盤材料で生じており,管側部の材料の影響は小さいことが確認できた。コスト縮減,施工性向上,工期短縮,環境負荷の低減などへの対応策として期待できる。

  • 遠藤 和子, 友松 貴志, 髙橋 幸照, 大塚 芳嵩
    2017 年 85 巻 6 号 p. 551-554,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    筆者らは,産学官民連携により,日常管理の効率化や管理情報の継承を目的とする水利施設管理台帳システムの開発を進めている。この技術開発は,末端実需者の要望や悩みを学であり官である研究者が受け,民間の参画を得て実証試験における試行錯誤を繰り返しながら身の丈に合ったツールを生み出すという手順で進められている。社会に実装され実際の課題解決に役立つ技術開発を行うためには,このような実需者との対話は不可欠なものであると考えられる。このような産学官民連携の取組みには,現場フィールドワークから技術開発を想起する研究者などの経験蓄積や実需者との信頼関係構築,そして民間の参画を可能とするプロジェクトの存在が重要である。

  • 坂田 賢, 野坂 浩司, 建石 邦夫, 加藤 仁
    2017 年 85 巻 6 号 p. 555-558,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報は農業農村整備後の農業水利施設や圃場の持つ機能を最大限発揮させることを目的に,事業者が省力化技術の開発,行政が協力経営体と適地の選定・調整,研究機関が効果測定をそれぞれ担い,産学官とユーザーである耕作者が連携して取り組んだ実証試験で得た成果の一部である。具体的には,簡易型GPS記録装置を用いて耕作者の行動軌跡を記録することによって,農地集約による水管理の相違を明らかにした。その結果,集約化が進んでいない法人では集落間の移動が長距離かつ移動時間の大部分を占めることが示された。また,水管理が行われた圃場面積当たりで比較すると,集約化が進展している法人の方が水管理作業の労働生産性が高い結果となった。

  • 成岡 市, 岡島 賢治, 緒方 和之, 岡田 保, 石田 幸広
    2017 年 85 巻 6 号 p. 559-562,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報では,「産学官・ユーザーの連携」,「人材の育成と品質確保」に注目して,これらの2項目が「要」となることで,大学の自主・自律性や基礎研究のあり方,および行政や社会の要請事項などに強い関係性が生まれていることについて論じた。論議の結果として,次の3つの強化策について,産学官が連携協力して取り組むことが重要と考えるに至った。すなわち,「資格制度の充実」,「産学官が連携した人材育成の取組みの形成」,「農業土木学と技術者の育成基盤の形成」である。農業土木技術者は,農業農村整備のためにおよそ100年の世代交代を続けてきた。技術を磨き,研究開発を深化させるためには,その分野の人材育成に工夫を凝らすことが求められている。

  • 成岡 市, 内田 大智, 広田 浩介
    2017 年 85 巻 6 号 p. 563-566,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報は,海外での調査に学生の人材育成の要点が潜在していると考え,「既存の海外インターンシップ制度を利用せず,専門知識と経験のある教員が学生をサポートしつつ,学生が主体となって渡航前の準備から始め,実習の域を越えた学生の現場調査・情報収集を行い,帰国報告書を作成したこと」を通じて,学生が農業土木技術者に関わる強い自己啓発を喚起するまでの過程をたどった。この試行から得た学生の人材育成に係る勘所は,学生が現場で経験した「肌感覚」,「受益者との至近距離」,「現場技術者の活躍の姿を目撃する」,「現場技術者の生き甲斐を感じる」であった。この調査に参加した新しい世代の学生は,農業土木技術者の社会貢献のあり方を見つめながら,学生自らがその役割を担いたいと思ったようである。

  • 草 大輔, 作山 剛, 川合 規史, 長野 浩一, 竹中 雄次郎
    2017 年 85 巻 6 号 p. 567-570,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    東日本大震災後,電気料金の高騰により維持管理費がひっ迫する土地改良区が多く見られ,維持管理費に占める電気料金の割合低減が喫緊の課題となっている。そこで,農業用用排水機場に着目し,モデル地区における省エネルギー化対策の検討およびその費用対効果を調査・分析した。あるモデル地区での検討では,40年間で省エネルギー化対策を実施した場合としない場合の総費用を比較したところ,実施しない場合と比べて負担軽減が可能との結果となった。また,全モデル地区の省エネルギー化対策の傾向としては,ソフト対策では「契約使用期間の短縮」,ハード対策では「高効率の変圧器・電動機・ポンプへの更新」が多くの地区で効果が期待できる結果となった。

  • 齋藤 朱未, 服部 俊宏
    2017 年 85 巻 6 号 p. 571-574,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    土地利用の不可逆性に反し,農地復元を可能とした青森県黒石市中川地区の大規模小売店舗撤退跡地の事例をもとに,その要因を明らかにした。要因は2点あげられる。①コスト面で地権者負担がなかったこと,②地権者が税負担軽減のため,市に農地への再転用を願い出,市が再び宅地にすることができないという条件付きで応じたこと,である。しかし,農地復元するだけでは農地の永続性は確保されない。土地利用のあり方・管理方法については,地域として長期的視点での検討が必要と考える。

  • 平岩 昌彦, 関島 建志
    2017 年 85 巻 6 号 p. 575-578,a3
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    カンボジアでは1999年から農民参加型の灌漑管理政策および事業が展開されているが,農民水利組織への灌漑システムの維持管理の移管は十分な成果をあげていない。こうしたなか,すでに灌漑施設の復旧が実施された大規模灌漑地区の中には,農民水利組織が設立され,高い賦課金徴収率を維持して管理運営がよく機能しているところもある。本報では,こうした組織の運営状況を示し,持続的な灌漑管理の成功の要因として,農民水利組織の役員の高い管理運営能力と地域貢献による組織内の強固なネットワークおよび信頼関係の構築が重要であることを述べる。

feedback
Top