農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
85 巻, 8 号
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  • 山本 徳司
    2017 年 85 巻 8 号 p. 719-724,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業農村工学の定義,ハチ公と農業農村工学の関わりやその独自性を紹介している。そして,農業農村工学の対象とするフィールドを土を育む,水を活(い)かす,地域を描く,そして地球規模の貢献として説明した。これらのフィールドで問題となっている人口減少,施設の老朽化,気候変動や激甚化する自然災害対応への脆弱性を紹介した。この課題解決のために農業農村工学が取り組む技術開発により目指す社会貢献を論じるとともに,具体的に現在取り組んでいる技術開発の内容を事例的に解説した。

  • ―課題と求められる挑戦―
    渡邉 紹裕
    2017 年 85 巻 8 号 p. 725-727,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業農村工学は,農業・農村における生産や生活の条件・環境を改善・改良することを中心とする総合的な科学技術である。その主な対象である日本の農業・農村では,これまでは見られなかった事態となっている。とくに,農業者の減少や高齢化,それに伴う農業生産と農村社会の変容は急速に進んでいる。一方で,新たな経営主体の登場や,対応に活用できる科学技術の進展も見られる。そうした状況の中で,農業農村工学の基本的な目標や理念,これまでの蓄積や成果を整理した上で,大きな時代の変革に際しての新たな課題と求められる挑戦をまとめた。

  • 山岸 雄一
    2017 年 85 巻 8 号 p. 729-730,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農林水産省農村振興局をはじめとした行政機関で,農業競争力強化や国土強靱化を図るため実施している農業農村整備事業において,農業農村工学の技術がどのように活用されているのかを,近年取り組んでいる事例として,農地整備事業に関する技術,長寿命化に関する技術,用水計画に関する技術を挙げ,その概要を紹介した。

  • 内山 芳彦, 石井 龍太郎
    2017 年 85 巻 8 号 p. 731-732,a1
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    全国の道府県には,約7,500人の農業土木技術職員がおり,農業農村整備事業の推進をはじめとするさまざまな業務に従事している。近年は,用排水施設やほ場整備などのハード整備に加え,多面的機能支払制度に代表される農村振興などのいわゆるソフト施策への対応も必要であり,職員の役割の多様化が進んでいる。本報においては,農業競争力強化などの農業農村整備事業の現状,課題などを踏まえた,地方公共団体(都道府県)において求められる農業農村工学技術者の今後の役割について考察する。

  • ―ゼネコンの使命と魅力―
    清水 穂高, 冨森 淳
    2017 年 85 巻 8 号 p. 733-734,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業農村工学(農業土木)を専攻されている大学生,または大学進学を控えて学部学科を検討中の高校生の皆さんに,ゼネコンの仕事の概要と魅力を紹介するとともに,建設業を取り巻く環境の変化に対し求められるイノベーションについて述べる。一般的な製造業との決定的な違いは「単品受注生産」という特性であり,1つとして同じものはない構造物を,数々の創意工夫と技術力で造り上げるのがこの仕事の面白さである。建設マーケットの変化,人口減少社会の到来,働き方改革など,外部環境の変化に柔軟に対応しながら,10年,20年先を見据えた新たな一手を打つ必要がある。培った知識や経験に新しい発想や新技術を加えて価値を創造し,ものづくりの最前線で社会に貢献する建設業を知っていただきたい。

  • 松浦 正一
    2017 年 85 巻 8 号 p. 735-736,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業農村工学を学ぶ学生にとって,建設コンサルタントの仕事内容は理解が難しいのが現状であるが,その役割は非常に重要であり,科学技術を得意とする工学系学生にとって働きやすく,魅力的でやりがいのある職業であると考える。このためコンサルタントの歴史や役割,農業農村工学技術の視点から,農業水利事業を代表とする農業農村整備事業でのダム・頭首工・用水路などの固有の整備技術や,再生可能エネルギーなどの技術,最新の技術革新に対し,コンサルタントがどのような知識と経験・技術で寄与しているのかを紹介する。

  • 清水 洋一
    2017 年 85 巻 8 号 p. 737-739,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    若者の土木離れが言われて久しい。本報では,農業農村工学の分野においても,同工学を選択する学生数が減少しているという状況の中,これから農業農村工学を志そうとする学生などの皆さんに,農業土木の魅力や社会的な役割などについて理解してもらうとともに,先人が守ってきた農業土木資産およびこれを支えてきた農業土木技術を将来にわたって残していく役割を担ってもらうため,司馬遼太郎の言葉や満濃池,見沼代用水路などの事業および技術などについて紹介する。

  • 山下 正, 松永 健, 植田 昌宏, 小倉 武志
    2017 年 85 巻 8 号 p. 761-765,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    平成28年4月に発生した熊本地震により,布田川断層帯および日奈久断層帯の近辺の多くのため池や農地に変状や亀裂が生じた。これを機会に農地・農業用施設の被害状況を詳しく調査し分析することとした。なお,このような多くのため池の変状や農地の亀裂に関する傾向の定量的な分析は,これまで十分に行われていない。そのため,ため池については,熊本県や関係市町村からの聞取りを踏まえ対象を選定するとともに現地調査を行い,工種別の変状内容の分析や,断層帯における活断層からの距離と変状の程度の分析を行った。また,農地については,国土地理院が公表している「航空写真判読による布田川断層帯周辺の地表の亀裂分布図」を参考に,対象を選定するとともに現地調査を行い,亀裂の延長などの分析や亀裂の形状の分析を行った。

  • 山口 康晴
    2017 年 85 巻 8 号 p. 767-770,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業用管水路について,施設監視や機能保全対策などを講じつつあるところであるが,近年,突発事故の発生件数が増加しつつあり,施設管理者などは,施設に不具合が生ずるたびに対症療法的な事後対策に追われているのが実情である。このような事故事例などの情報を収集・分析し,今後の事故対策や保全対策に活用していくことは有益である。本報では,「農業水利施設に係る突発的事故の発生状況調査」(水資源課)をもとに,国営造成施設に係る管水路の事故実態(平成14~26年度)を整理し,管種ごとに各事故案件の管径,供用年数,復旧費および断水日数の分布について整理した。また,事故の傾向・要因,復旧対策などについて整理・分析した。

  • 山口 佳奈子, 坂田 寧代
    2017 年 85 巻 8 号 p. 771-774,a2
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    国の放課後児童クラブや放課後子ども教室などの子どもの集まる場の整備が農村地域では遅れている。本報では,市町村の単独事業により子どもの集まる場を整備するための方法を明らかにすることを目的として,中山間地域である新潟県長岡市山古志地区において長岡市の単独事業で実施されている児童クラブと子ども教室の事例を2015年7月~2017年3月の現地調査をもとに紹介する。児童クラブにより,保護者の労働状況に関係なくすべての児童が集まり遊ぶことのできる場がつくられた。子ども教室では,児童が近所に習い事に通う場をつくると同時に,地域人材を活用して地域の伝統文化を児童に継承する場がつくられた。地域の既存組織を利用することで,市町村の負担を軽減できることなどがわかった。

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