香川県の中山間地域において,貯水容量1,000m3未満の小規模ため池を対象とし,利用管理実態の目視による判定の妥当性について検討した。香川県M町K地区における24カ所の小規模ため池を対象にヒアリング調査を行ったところ,利用されているため池が18カ所,利用されていないため池が6カ所であった。これらのうち,踏査によって正しく判定されたため池は半数程度にとどまったことから,目視のみでは誤った判定となる可能性が高いことが示唆された。堤体の草刈りは,年に3,4回実施するため池が多く,時期としては秋季が多かった。草刈り回数は,ため池の規模や管理者宅からの距離といった管理難易度には影響されず,管理者の意思や意欲に依存していることが示唆された。
タンザニア国の灌漑開発事業において,ジェンダー主流化は比較的新しい領域であり,2015年8月から開始した技術協力プロジェクト「県農業開発計画灌漑事業推進のための能力強化計画プロジェクトフェーズ2」では,同国の4カ所の灌漑地区を対象にジェンダー主流化の調査を行った。その結果,灌漑開発事業において女性の役割が大きいにもかかわらず,女性の意見があまり反映されず,男性の女性の貢献に対する理解度も低いことが明らかとなった。このため同プロジェクトでは,事業計画段階から女性の意見を取り入れること,同国ですでにジェンダー主流化の実績があるわが国が支援する稲作振興プロジェクトと連携することを同分野に対するアプローチとして提案した。
本報では石川県倉部川を例として,都市化に伴って急激に増大する洪水ピーク流量を調節するために設けられている調整池の効果について,最近の研究成果の要点を紹介する。併せて,都市化が誘引となって新たに生じた地下水涵養機能の低下と,それが一因となって発生した地盤沈下の実態から,地下水の安全利用に障害が生じつつあることを指摘し,あらゆる方法で地下水涵養を図ることの重要性を主張したものである。