農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
87 巻, 7 号
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  • 太田 純治, 宇田川 哲也, 三木 太貴, 山田 孝大
    2019 年 87 巻 7 号 p. 539-542,a1
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    東京では,高度経済成長期から多くの農地が工場や住宅として転用・再開発され,耕地面積や農業者数が大きく減少してきたが,都市地域,中山間地域,島しょ地域それぞれにおいて,限られた農地を有効に活用し,おのおのの地域特性を活かした農業生産を展開している。都市住民の農業・農地に対する期待は,農産物生産のみならず,緑や環境の保全,災害時の避難場所など公益的・多面的な機能を中心として年々高まっている。平成28年には都市農業振興基本計画が閣議決定され,都市農地は「あるべきもの」に位置づけられるに至った。本報では,東京都におけるこれまでの農業基盤整備を紹介するとともに,農業・農地の保全に向けた東京都の取組みについて述べる。

  • 細野 英彦
    2019 年 87 巻 7 号 p. 543-546,a1
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    静岡県は,温暖な気候や豊富な農業用水に恵まれ,傾斜地や台地を活用した茶やミカン,平坦地では稲作,野菜や花きなど,多彩で高品質な農産物が生産されている。農業農村整備は,農山村の根幹である「経済」,「社会」,「環境」の3つの要素が,互いに調和して創り出される持続性が確保された姿を「美しく品格のある農山村」とイメージし,基盤整備と農村振興を両輪で推進している。高水準の基盤整備が行われた水田や畑・樹園地では,新しい営農視点や経営感覚をもった若い後継者が育ち,活気ある農業が展開されているとともに,基盤整備を契機とした地域づくりが進展している。本報は,静岡県の農業農村整備の方針や整備状況,今後の展開について紹介する。

  • 徳添 桂一, 河原田 一州, 本田 毅
    2019 年 87 巻 7 号 p. 547-550,a1
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    利根導水路は,群馬県・埼玉県・東京都の都市用水として首都圏の生活を支え,また,農業用水の安定供給と農業の近代化に寄与してきた施設である。同施設は,利根川河口より154 kmの地点に利根大堰を建設し農業用水を供給する用水路,荒川へ都市用水・浄化用水を導水する武蔵水路,荒川を堰き止めて取水する秋ヶ瀬取水堰,東京都に都市用水を隅田川に浄化用水を送水する朝霞水路などからなっている。これらの施設を管理運用することで,首都圏における農業用水・都市用水として地域の発展に大きく寄与している。本報では,利根大堰をはじめ,さまざまな施設で構成される「利根導水路」のしくみと役割,利根導水路のもつ施設の効果,各用水を安定供給するための管理業務について報告する。

  • 福田 信二, 大平 充
    2019 年 87 巻 7 号 p. 551-554,a1
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    農業用水が有する多面的機能については広く認識されつつあるが,都市化や圃場整備,水質汚濁などに起因する水環境の劣化とともに,近年の外来種問題の深刻化により,在来生物の生息環境の喪失が急速に進行しており,生態系の保全・修復に向けた取組みが喫緊の課題となっている。本報では,農業用水が有する多面的機能のうち,灌漑に伴う流況の変化と主要な魚類の生息状況について,府中用水の事例を報告した。結果として,同程度の流量であっても区間内の水理条件が異なることで,魚類の生息状況が異なることが確認できた。今後は,農業生産性と環境の両立を標榜し,農業用水の持続的な維持管理や組織運営などを含む多角的な取組みが課題である。

  • 山路 永司
    2019 年 87 巻 7 号 p. 555-559,a1
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

    関東支部を構成する1都9県では,稲作の産出額割合は小さいが農地利用は水田が過半を占めている。大区画での圃場整備水準は全国よりも低いが,現在の圃場整備では大区画化を進めている。圃場整備の際には,耕作を担う農家および貸し出す農家の農地を近くに配置する配慮が取られることもある。また畦畔や給排水工を少なく配置する工夫も見られる。営農組合が多くの面積を借り上げることで低コスト化がはかられ,委託側,受託側,双方の利益につながる。この先しばらくは,営農組合や大規模農家による大規模経営と個別経営とが併存する状況が見込まれ,それに見合った整備や利用が重要である。また農作業機械などの進歩にも対応する必要がある。

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