農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
89 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 友寄 厚樹, 三上 雄也
    2021 年 89 巻 1 号 p. 3-6,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    人口減少下において持続可能な活力ある社会を構築するには,さまざまな局面での生産性向上が必要であり,近年発展が著しいデジタル技術の活用はその手段として有効である。近年,建設分野において生産性向上を図る取組みとして,建設現場への情報化施工技術の導入や建設プロセス全体(調査・測量・設計,施工,維持管理)を通じた3次元データの活用が進められており,農業農村整備でもその効用が期待される。農業競争力強化や国土強靱化に資する農業農村整備を今後も着実に実施するために必要な取組みとして,農業農村整備における情報化施工や3次元データ活用の効果や課題を整理し,スマート農業との連携も含めた今後の方向性を展望する。

  • 栗田 英治, 加藤 修一
    2021 年 89 巻 1 号 p. 7-10,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    本報では,圃場整備実施直後の水田圃場を対象に,生育段階に応じた複数回のドローン空撮調査,マルチスペクトル画像を用いた正規化植生指数(NDVI)の算出による生育ムラの把握と収量マップの作成などを通じて,圃場整備による農地への影響の可視化を試みた。調査対象地区では,整備後の新しい耕区内で生育や収量の大きな差がみられ,旧耕区を単位とする生育ムラも確認され,整備時の切土盛土の影響が考えられた。結果をもとに,営農・整備を通じたシームレスな農地情報の共有と活用を実現するドローン圃場センシングのあり方と可能性について展望した。

  • 安瀬地 一作, 木村 延明, 林 博文, 吉永 育生, 関島 建志, 福重 雄大, 桐 博英
    2021 年 89 巻 1 号 p. 11-14,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    低平農業地域の排水機場運転支援のため,深層学習(データ駆動型モデル)と高速化した1次元非定常流解析(物理モデル)による水位予測システムを,新潟県亀田郷地区を対象に開発した。深層学習は鳥屋野潟の水位を1時間間隔で3時間先まで,1次元非定常流解析では鳥屋野潟の水位と排水路の水位変動を10分間隔で1時間先までを予測するシステムとなっている。システムはLinuxのクラウドサーバ上で稼働し毎正時に深層学習と1次元非定常流解析による予測を降雨の有無にかかわらず自動的に行う。深層学習は1カ月ごとに最新の観測データを追加し再学習することで精度の向上を図り,降雨流出パターンの変化に順応していく。

  • 関島 建志, 吉永 育生, 追立 賢佑, 安瀬地 一作, 木村 延明, 福重 雄大
    2021 年 89 巻 1 号 p. 15-18,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    農業用水門のうち中小規模の水門は,監視システムが整備されておらず,水門管理に関する経験やノウハウの継承が課題である。また沿岸部の水門は,河川,港湾など管理者が異なるため,管理者間の連携を図り,地域一体の防災対応が必要となっている。このため農業用水門を一元的に監視することが可能な水門監視システムの開発を行っており,カメラシステムの試作機を用いた現地試験では,AIを用いることにより形や色の異なるゲートの位置を高い精度で認識することができた。またステレオカメラによるゲート高さと水位の計測が可能であることを明らかにした。

  • 藤山 宗, 中矢 哲郎, 武馬 夏希, 友正 達美, 陳 巨壹, 末吉 康則
    2021 年 89 巻 1 号 p. 19-22,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    現在もなお水利用の合理化を図る上での課題として残されている,開水路の上下流間で生じる配水不均等は,圃場からの水需要量を考慮し幹線および支線の監視制御による適切な送配水を行うことで解消できる可能性がある。本報では,北陸地方の低平地に位置し河川から取水するA幹線用水路で生じている上下流の配水不均等を解消するために,水利用にかかる機能診断を実施し,ICTを活用した水管理システムを現地に導入し,その効果を検証した事例を報告する。

  • 山本 純之, 篠田 真, 楠堂 紡, 松浦 大輝, 木村 匡臣, 松野 裕
    2021 年 89 巻 1 号 p. 23-26,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    奈良県の中山間地域である五條吉野地域では,造成団地を利用した灌漑による大規模なカキ栽培が行われているが,近年は気候変動による収穫の不安定化や少子高齢化による人員不足が問題となっている。筆者らは,農研機構の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の一事業として,当地域において,AIを活用したカキ栽培管理システムの構築による,省力化および収穫の安定化に取り組んでいる。本報では,XGBoostを用いた環境要因の収穫への影響分析や,YOLO V5の画像判定による経時的成熟度の取得などの成果について報告する。今後は,事業地で収集している各種データを蓄積してAIの学習量を増やし,完成度の高い栽培管理システムの実現を目指す。

  • 柿野 亘, 渡辺 宏, 阿部 巖, 眞家 永光, 樽屋 啓之
    2021 年 89 巻 1 号 p. 27-30,a2
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    中山間地域での荒廃農地活用の一方策として,ICTを活用した養蜂の取組みを報告する。ICTを介して得られた巣箱内の状態を数値化した指標をもとに健全状態を推定し,現地の内検によって検証し,遠隔地にいても巣箱内の健全状態が把握できる巣箱管理システムの構築を試行した事例についてである。ここでは,巣箱の全体重量,巣箱内の温度,巣箱外の気温を指標にし,オオスズメバチの襲撃時の把握可否,分蜂前の予測や分蜂時の把握可否を検証し,おおむね本システムが機能することが実証された。本システムは,単体巣箱から低コストで取り組むことができ,荒廃農地における新たな自然資源を介した地域での活用が期待された。

  • 木村 健一郎, ザヤラス シンコン, 進藤 惣治
    2021 年 89 巻 1 号 p. 31-34,a2
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    ラオスは東南アジアの後発開発途上国であり,農村住民は稲作を生業とする一方,森林から山菜などさまざまな非木材林産物(以下,「NTFP」という)を採取して生活している。ラオス政府は農村住民の生計の改善にNTFPが貢献できると考えており,特に漢方薬の原材料として外国への輸出も期待できる薬用植物に注目している。そこで,販売利用されている薬用NTFPについて情報を収集しデータベースを作成した。データベースは情報発信に有用なPWA(Progressive Web Apps)という手法を用いた。開発したPWAは情報発信だけでなく情報収集にも活用できた。本報は,ラオスの薬用植物データベースを事例としてPWAの有用性について報告する。

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