農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
89 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 若杉 晃介
    2021 年 89 巻 10 号 p. 741-744,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    近年,農業従事者の減少に加え,施設の維持管理を行う土地改良区職員や整備を行う建設業従事者の減少が問題となっており,スマート農業や情報化施工技術の推進による生産性の向上が不可欠となっている。そこで,農業生産基盤整備時や整備後の維持管理などで得られるデータを多様なユーザーが利活用するため,データの共有やさまざまな機能を有するアプリケーションソフトを一元的に管理可能なデジタルプラットフォームを構築する。本報ではデジタルプラットフォームを活用し,さまざまな技術やシステムと連携することで実現が期待される農業施設や農地の維持管理,営農におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の展望について解説する。

  • 三島 はるか, 谷口 智之, 凌 祥之
    2021 年 89 巻 10 号 p. 745-748,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    本報では,農業DX構想の取組み課題の一つに挙げられている「災害対応の効率化・迅速化」に着目し,豪雨災害後の農地災害対応における行政のデータ活用状況を聞取り調査し,求められるデータの条件と整備・管理上の課題を整理した。災害対応において活用されるデータの特徴は,①データ品質が保証されていること,②データ管理システムが統一されていること,③可搬性と利便性が確保されていることの3点であった。また,今後,デジタル庁の設置を機にデータ管理システムの統一を進めるに当たっては,「データの統一と選定」,「既存システムから新システムへの移行」,「野外の通信環境の確保とデータ公開の制限」が課題になることを論じた。

  • 村田 恵介
    2021 年 89 巻 10 号 p. 749-752,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    近年,あらゆる分野においてデジタル化が急速に進行しており,農業分野においても,情報通信技術(ICT)を展開することにより,基盤システムをデジタル化することが必要条件である。本報では,農業行政におけるDX化の取組みとして,圃場作物の作付確認業務と農地および農業用施設の災害復旧業務における現状調査およびICT化の試行について述べ,DX化の視点から今後の課題について論じる。固定翼型ドローンによる空撮,Webシステムによる現地確認,AIによる作物の判別,現地査定用写真の3D化,AIによる被災額の自動算定の試行からは,農業行政の効率化が図られることが示され,俯瞰的視点により,さらに効率化が図られることが示された。

  • 石川 健司, 稲垣 裕亮
    2021 年 89 巻 10 号 p. 753-756,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    本報は,閉鎖性空間の飛行が可能な管渠UAV技術に着目し,農業インフラにおけるこの技術の有効性と発展性,農業DXの実現に向けての活用方法などに関する報告である。この技術が実用化されることによって,農業インフラの老朽化を原因とする事故の未然防止,安全かつ効果的な点検の一手法となり,労働力不足への対応策としても期待できる。また,分野横断的に行ってきた取組みは,イノベーションを促進し,共同出資会社 (株) 北王インフラサイエンスの設立につながった。今後,農業インフラの日常点検・機能診断への活用や災害時に有効に活用される技術を目指す。

  • 白濵 富久男, 井原 和彦, 藤澤 豊, 田中 良和, 有吉 充
    2021 年 89 巻 10 号 p. 759-763,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    平成28年(2016年)熊本地震の本震において,国営菊池台地地区のパイプラインに設置した空気弁の案内が14カ所で破損した状況を再現するため,振動台を用いた振動実験とその結果を数値的に再現する数理モデルによる解析を実施した。解析結果はおおむね良好に再現できたが,空気弁案内が破損に至るような大きな水撃圧は再現できなかった。そこで,本研究では,案内破損原因を検討するため,案内の破損強度を調査するとともに,現地規模(管体の呼び径1,350mm)を想定した熊本地震の前震レベル以上の地震動に対する数理モデルを用いた解析を実施し,荷重負荷試験の破壊荷重と同等の圧力上昇が空気弁内で発生することを検証した。

  • 井原 昭彦, 竹田 麻里
    2021 年 89 巻 10 号 p. 765-768,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    政策評価のため証拠に基づく政策立案(EBPM)の導入が注目されている。このため,統計データなどの観察データから因果関係を見極める傾向スコアマッチング(PSM)や差の差(DID)推定などの緻密な統計手法による分析が必要となる。農地資源管理施策の多面的機能支払制度などについて,PSMを使い農村地域資源の維持や集落活動の活性化に効果があると検証が行われているが,農業基盤整備の実施効果については,EBPMの発想に基づいた評価は十分に行われていない。そこで,試みとしてDID推定を用いて,区画整理の実施による農業構造・農村人口構成にもたらす因果効果に関する分析を行い,いくつかの項目で有意な効果がある可能性が示された。

  • 加藤 優佑, 福山 幸拓, 堀野 治彦, 中桐 貴生, 東 覚
    2021 年 89 巻 10 号 p. 769-772,a2
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    国営亀岡中部地区内の古くからある水路には,共生関係にあるイシガイ科二枚貝類の生息環境とタナゴ類やヨシノボリ類等の魚類の生息環境との水系の連続性が維持されている。しかし,圃場整備後は用排水路の分離や排水路の落差工により水系の連続性に変化が生じ,タナゴ類が二枚貝類の生息場所へ移動することが困難になることから,生態系を保全するための代償措置として魚道の整備が必要となる。本報では,タナゴ類およびイシガイ科の二枚貝類が形成する豊かな生態系の保全を目的とし,区画整理による用排水路分離後の排水路に設置する魚道隔壁形状の検討について報告する。

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