農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
89 巻, 7 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 渡邊 俊介, 佐藤 一宏, 山田 明広
    2021 年 89 巻 7 号 p. 473-476,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    東日本大震災から10年が経過し,東北農政局農村振興部が中心となって取り組んでいる,被害が甚大であった被災3県(岩手県,宮城県,福島県)における地震・津波災害からの農地,農業用施設,農地海岸堤防の復旧・復興の現状および東京電力福島第一原子力発電所の事故からの復旧・復興の現状などを報告する。

  • 宍戸 潤一, 鈴木 秀一郎, 齋藤 淳
    2021 年 89 巻 7 号 p. 477-480,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    福島県は全国第3位の広大な県土面積を有しており,そのうち森林が71%,農地が11%を占めている。また,浜通り,中通り,会津地方に大別される特色ある県土構造により,冬季温暖で日照時間が長い浜通り地方から,気温の日較差の大きい会津地方に至るまで,それぞれの特徴を活かした地域性豊かな農林水産業が展開されている。本県は2011年の東日本大震災で甚大な被害が発生し,さらに福島第一原子力発電所事故の放射能汚染により今でも人が立ち入れない地域が存在している。本報では,東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の複合災害から10年の節目を迎えた本県における復旧・復興の課題と今後の展望を述べる。

  • 郷古 雅春, 千葉 伸裕, 中沢 峻, 千葉 克己
    2021 年 89 巻 7 号 p. 481-484,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    最大の津波被災地である宮城県の農業農村の復旧・復興の歩みと課題について振り返る。膨大な量の災害査定,除塩,農地復旧における微細がれきの混入など,被災地ではさまざまな問題が発生する。宮城県はこれらの問題解決と並行して営農の早期再開に取り組むとともに,大規模経営体による低コスト水田農業の実現に向けた2ha標準区画の導入,土地利用の整序化など,農業農村の創造的復興に向けた取組みを行ったほか,事業完了後の施設の維持管理に係る労力および費用の低減のための水管理システムや太陽光発電施設を導入した。持続可能な農業農村の構築に向けては,土地改良区の役割を踏まえた仕組みの構築,次への備えのための現場知の活用が必要である。

  • 佐々木 毅
    2021 年 89 巻 7 号 p. 485-488,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    平成23年3月11日に発生した三陸沖を震源とする地震により,岩手県沿岸部で最大震度6弱,県内全域で震度4以上を観測するとともに,地震により発生した津波は,沿岸市町村に壊滅的な被害をもたらした。発災から10年の歳月が経過し,未曽有の被害を受けた本県の農地および農業用施設の復旧工事は無事完了し,各地で営農が再開され,農村地域の活気が戻りつつある。本報は,沿岸地域の農地・農業用施設および農地海岸保全施設の被害状況や復旧・整備状況について報告する。

  • 申 文浩, 久保田 富次郎
    2021 年 89 巻 7 号 p. 489-492,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年が経過した。震災後,農業水利施設などの復旧工事や除染作業が行われ,2018年3月時点で福島県内の国直轄除染対象地区農地の除染が完了した。また,2020年3月まで帰還困難区域以外の旧避難指示区域の避難指示が順次解除され,住民の帰還とともに営農が再開されつつある。本報では,東京電力福島第一原子力発電所から約10km圏に位置する除染後の水田において,集水域の放射性セシウムの沈着量が多い請戸川の水を用いて,震災後初めて実施した水稲栽培試験において,用水を通じて流入する放射性セシウム量をはじめとする放射性セシウムの動態や生産された玄米への影響について報告する。

  • 久保田 富次郎, 濵田 康治, 人見 忠良
    2021 年 89 巻 7 号 p. 493-496,a1
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

    本報では,東京電力福島第一原子力発電所の事故後の比較的初期において,農研機構を中心に取り組んだ農業用水に関する調査研究を総括するとともに,経験を記し今後の教訓として残すことを目的とする。放射性物質への対処としての農業用水の対応は,2011年産の一部のコメから暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたことに起因して,主に2012年に始まった。2012年には,水田やため池において用水の直接除染を試みるとともに用水路・ため池における放射性セシウムの堆積状況等の調査を行った。経験のない放射能災害への対応は,行政や研究を含めたさまざまな機関との連携が必要であり,また現場対応には細心の注意が必要であった。

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