農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
91 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 秋場 宣吉, 近江 晶, 森岡 三郎, 松本 延城
    2023 年91 巻11 号 p. 787-790,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    農業水利施設の機能保全とライフサイクルコストの低減を図るための実務に必要となる基本的事項を取りまとめた「農業水利施設の機能保全の手引き」を令和5年4月に全面的に改定した。改定の背景には,農業者や農村人口の著しい減少や高齢化,それに伴う農地面積の減少という農業生産基盤の脆弱化が懸念される事態に直面しているといった社会情勢のほか,「土地改良長期計画」(令和3年)などの政策に沿った技術的対応を行う必要が生じたことなどが挙げられる。本報では,今回の改定で強調した農業水利システム全体の視点,水利用機能の診断をストックマネジメントサイクルに位置付けた点など,手引き改定の背景や概要について紹介する。

  • 足立 徹, 磐田 総, 増本 隆夫, 柴田 恭司, 沢田 明彦
    2023 年91 巻11 号 p. 791-796,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    「ICT水管理」が指すものとして,基幹的水利施設におけるTM/TCを用いた用排水管理,また,末端の圃場における遠隔操作型給水栓を用いた取水管理が挙げられる。本報では,まず前者について,秋田県において国営土地改良事業によりTM/TCが整備された4地区を事例とし,基幹的水利施設の構造・構成,TC対象施設,土地改良区と地元の操作分担などを比較し,各地区のTCの効果の違いを論じる。次に後者について,秋田県営ほ場整備事業により遠隔操作型給水栓を設置し効果の実証を行った2地区を事例とし,中山間地と平場の違いによる営農労力の節減効果や,末端用水ブロックが開水路の供給主導型か,管水路化された需要主導型か等を踏まえた節水効果について論じる。

  • 浅田 洋平, 申 文浩
    2023 年91 巻11 号 p. 797-800,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    本報では,低コスト,低労力,高精度な方法であると期待されている圧力変動を利用した管内漏水検知法について供用中のパイプラインで実証試験を行い,本手法の有効性を検証した。その結果,管全長に対して2~3%以下の誤差で漏水位置を推定できることが明らかになった。また,バルブ閉塞中の圧力水頭変化を同じにした定期的な圧力変動データの蓄積が必要不可欠であることが示され,これに適した水利施設の整備を行うことで本手法の適用範囲の拡充と精度の向上も可能である。本手法はパイプラインのストックマネジメントにおける機能診断に容易に組み込むことができ,漏水位置特定までの省力化と高度化が期待できる。

  • 大高 範寛, 藤本 雄充, 浅野 勇, 山内 祐一郎, 萩原 大生, 鈴木 哲也
    2023 年91 巻11 号 p. 801-804,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    施設の長寿命化はコストを最小化にすることに重点を置いて議論されてきたが,災害や性能低下に対するリスク対策も重要である。本報では,リスクを考慮した100年の耐久性を期待できる性能を「超長期耐久性」と定義し,鋼矢板水路の性能低下リスクの主たる要因である鋼材の腐食について,その進行予測を行った。また,超長期耐久性における各種補修・更新工法のライフサイクルコストおよび機能保全コストでの比較を行った。その結果,いずれの評価方法においても耐久性に優れたステンレス鋼矢板の優位性が確認されるとともに,超長期耐久性における機能保全コスト評価の課題が確認された。

  • 萩原 大生, 鈴木 哲也
    2023 年91 巻11 号 p. 805-808,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    農業用排水路で用いられる鋼矢板護岸では,営農や降雨による水位変動が生じることで干満帯に腐食が集中するとされる。既存施設の保全対策のためには,技術的課題の実態を把握し,検査・診断手法の高度化を図る必要がある。本報では,農業水利施設として部材と地盤の複合構造に代表される鋼矢板護岸を取り上げ,既存施設での腐食実態およびその非破壊検査法の一連の流れを報告する。鋼矢板護岸に対して縦梁と地盤の相互作用の観点からその構造を述べ,既存施設での腐食の現状と極度の孔食が地盤に与える影響を考察する。腐食実態の非破壊検査手法として,画像解析による腐食領域の自動検出を試みる。

  • 浦畑 夢, 長岡 誠也, 岡島 賢治
    2023 年91 巻11 号 p. 809-812,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    農業用水路に劣化として生じる摩耗は,コンクリート表面の粗さを増大させ通水性能の低下を引き起こす。そのため,定量的かつ効率的な粗さ計測の実施が望まれる。本報では,通水状態の水路での計測を想定し,水中超音波を用いた粗さ計測が有効であるかを確かめた。まず静水条件において,水中超音波の反射波として得られる最大振れ幅とコンクリート面の粗さに関係があることを明らかにした。次に実際の水路での計測を想定し,流水条件,濁水条件での検証を行った結果,流水条件では流速0.99 m/sまで,濁水条件では濁水中の懸濁物質の濃度50 mg/L,粒径8 μmまでは影響がなく,水中超音波による粗さ計測に可能性を示した。

  • 横地 穣, 石神 暁郎, 長島 繁男, 緒方 英彦
    2023 年91 巻11 号 p. 813-816,a2
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    農業水利施設の効率的な診断手法として,面的な情報を得ることが可能な画像診断が提案されている。筆者らは,コンクリートの含水状態のモニタリングに対する近赤外スペクトル画像(NIR画像)の適用性の検証を行っている。本報では,コンクリート平板を対象として実施した,NIR画像による含水率の定量を目的とする室内試験の結果と,北海道内に位置するコンクリート開水路の側壁を対象として撮影したNIR画像の分析結果を示す。その結果,NIR画像を用いることにより,可視画像や目視では捉えることのできないコンクリートの含水状態を把握できる可能性が示された。

  • 木村 優世, 金森 拓也, 川邉 翔平, 森 充広, 岩田 幸大, 伊藤 三千成
    2023 年91 巻11 号 p. 817-820,a2
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    現在,農業水利施設の老朽化や技術者の減少・高齢化を背景として,ストックマネジメントの取組みの省力化・高度化が求められている。特に施設の劣化状態の把握は重要であり,効率的かつ確実な点検・診断を実施するための技術開発は必須である。そこで本報では,コンクリート開水路の摩耗状態の測定・評価に焦点を当て,新たに開発した手法を紹介する。開発手法は,型取りゲージと自動計算プログラムを用いて,摩耗状態を安価かつ簡易に定量評価できる手法である。また本報では,開発手法を用いて実施した現地調査の結果から摩耗の傾向を分析し,さらにAI等の新技術についてストックマネジメントの取組みへの適用性や課題について考察する。

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