農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
91 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 竹村 武士, 濵田 康治, 有吉 充, 田中 章浩
    2023 年91 巻8 号 p. 521-524,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    特定外来生物カワヒバリガイは,開水路系に侵入すると足糸という繊維状分泌物で側壁や底面に付着し,集団化して通水断面を縮小させるほか機場等のスクリーンや管路部における通水障害,死貝による給水栓の閉塞等を引き起こす。また,通水停止後には斃死して悪臭をもたらすなど施設管理者はその除去や除去物の処理に苦慮している。このとき特定外来生物のため現地外への運搬には死滅している必要があり,除去後の生死の状態に関する知見は処理や活用を検討する上で重要である。そこで筆者らは被害の生じている開水路系2地区で,除去作業の実際,作業後の死滅を調査してきた。本報では調査を通してみえてきた今後に向けての課題について報告する。

  • 角田 宇子
    2023 年91 巻8 号 p. 525-530,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    本報では参加型灌漑管理(PIM)と,灌漑実施機関と水利組合による共同システム管理(JSM)が機能する要因を考察するため,オストロムの共有資源管理理論とフリーマンの灌漑用水割当制度理論を用いて,兵庫県加古土地改良区と開発途上国の灌漑システムの水利組合の運営状況を比較した。その結果,加古土地改良区が円滑に運営されている要因として,①水利費は面積割であるが,上流と下流の公平な水配分により,割当制度が成立している,②関係機関の重層的な役割分担によりJSMが機能し,水資源管理能力が高い,③社会的制裁が段階的制裁として機能している,④地域社会が土地改良区の下部組織となり,組織の多層化を実効的にしている点が挙げられた。

  • 十文字 康能
    2023 年91 巻8 号 p. 531-535,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    福島県浪江町の大柿ダムは,「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」により堤頂部右岸にダム軸と10°で斜行するクラックを確認した。斜行クラックはダム軸縦断方向クラックと異なり,被災規模によっては上流から下流への貯水の浸透経路となり,堤体損傷が懸念される性状となる。同地震により被災した福島県内の羽鳥ダムおよび西郷ダムの堤頂に発生したクラックは,ダム軸方向のクラックのみであった。この大柿ダムにおける斜行クラックの発生要因を検討するため,令和3年2月13日に発生した福島県沖の地震における大柿ダム地震観測記録を用い堤体変位の整理を行った。その結果,斜行クラック発生部付近の上下流方向変位差が大きいことが確認された。

  • 鈴木 秀一郎, 渡邉 浩樹, 三浦 亨, デュッティン アントワン, 山岸 明広
    2023 年91 巻8 号 p. 537-541,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    2011年東北地方太平洋沖地震で決壊した藤沼ダムは,同規模の地震動に対しても健全性を維持可能な要求性能を保証し,再度災害を防止するため,設計と施工の両面での技術的な課題を克服して再構築された。復旧ダムは防災力の向上と合理的な水利用を図るため,管理システムと警報設備の整備を行った。試験湛水中の挙動確認結果では適切な遮水性能と安全性が確認された。2021年福島県沖地震を対象とした再現解析にて,設計と施工の妥当性および安全・安心なダムの復旧が実現されていることが確認できた。一連の設計施工の考え方とその実証的な取組みは,今後のダム耐震性能確保の面で貴重な教訓となっていると評価している。

  • 有田 淳一, 松谷 英和, 瀧本 裕士
    2023 年91 巻8 号 p. 543-546,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    持続可能な社会づくりの観点から,温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーの普及は今後加速すると想定され,特に水資源に恵まれた日本では,小水力発電の普及がより期待される。一方,小水力発電の取水方法において,バイパス方式が多く採用され取水部にスクリーンを設けるが,水路を流れてくる木の枝や枯葉等の異物が蓄積することでスクリーンを遮蔽し,発電水量の低下や本線水路での溢水等を引き起こす。そこで,これらの課題を解決するために,取水部に設置する除塵用回動式スクリーンの取水特性および本線水路に及ぼす水深への影響について室内実験を実施した結果を報告する。

  • 吉永 安俊, 湧川 哲雄
    2023 年91 巻8 号 p. 547-552,a1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    約300年前に,琉球王朝の農業指導書として編纂された農務帳に,土壌流出防止対策に関する記述がある。対策工法は,排水路に重きがおかれ,設置間隔や方向の大切さを説いている。排水路底にはイフ壷を掘り,イフ(土砂)を畑に戻して土砂の流出と畑の痩せを防いだ。さらに段畑造成,圃場縁への植生,敷きわらによる土壌面保護を指導した。管理においては,対策工の実施体制の構築,侵食箇所の迅速な修復を徹底した。管理は,百姓の役割を,地割制度や租税制度など社会制度の中に罰則を伴う遵守義務事項として定め遂行した。それらは,間切・村内法で確認できる。

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