農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
92 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小嶋 創, 正田 大輔, 吉迫 宏
    2024 年92 巻2 号 p. 75-78,a1
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    令和5年梅雨前線による大雨で被災した防災重点農業用ため池のうち,決壊したものおよび土砂流入により被災したものを対象として現地踏査を行い,決壊形態や被災状況について検討した。また,決壊氾濫流による下流域の被災が確認された事例に対しては,従来ため池で一般的に用いられてきた浸水想定手法である簡易氾濫解析を適用し,実際の被災状況と比較・検討した。それらの結果を踏まえて,今後の防災重点農業用ため池の防災対策上求められる技術開発等について考察・提案した。

  • 森井 俊廣, 岡島 賢治, 小林 秀一
    2024 年92 巻2 号 p. 79-82,a1
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    越水保護工の導入により斜面侵食と洗掘を確実に防ぐことができれば,ため池堤体の安全性を確保しながら洪水流を流下させることができる。現行の洪水吐の能力を上回る洪水流量分だけを流下させるとすれば,越水保護工は補助洪水吐の役割を担うことになる。いずれにしろ越水保護工の導入により,ため池堤体の豪雨耐性を確保しうるハード対策の一つが実現できる。2014年に公表された米国FEMAによる技術マニュアルをもとに,土質堤体を対象に開発・適用されてきた越水保護工の工種,ならびに設計・解析と建設における技術的考慮事項を紹介した。ため池堤体に好適な工種として,主にガビオンおよびRCC(転圧コンクリート)を取り上げた。

  • 上野 和広, 溝渕 健一郎, 水野 正之, 下村 和也, 大西 文明, 佐藤 周之, 佐古田 又規, 長束 勇
    2024 年92 巻2 号 p. 83-86,a1
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法では,劣化状況調査と地震・豪雨耐性評価を実施し,安全性が損なわれている場合には防災工事を実施することとしている。防災工事としてため池堤体の改修を行う際,前刃金工法が一般的に用いられるが,近年ため池付近で良質な刃金土を確保することが困難になっている。本報では,母材となる砂質系土砂にベントナイトを一定量混合することで遮水性を改善したベントナイト混合土を,刃金土の代替として活用する手法を紹介する。ベントナイト混合土の製造方法,材料特性および施工方法について説明するとともに,ベントナイト混合土を刃金土の代替として用いる際の留意点を述べる。

  • 小田 哲也, 澤田 豊, 野村 純数, 福永 隼也, 前田 真宏, 泉 明良, 堀 俊和
    2024 年92 巻2 号 p. 87-90,a1
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    2030年度までに改修が必要なため池は兵庫県で314カ所にのぼり,改修工事が増加する傾向にある。一方,改修に必要なコア用土が枯渇傾向にあり,今後長期にわたりため池改修工事が継続されることを想定すると,代替工法の確立が喫緊の課題である。本県ではため池整備を集中的かつ計画的に進めるために,ベントナイトシート工法も代替工法のひとつになると判断しているが,統一的な設計・施工のルールが確立されていない。そこで,ベントナイトシート工法の設計手法や施工管理等の標準化を図ることを目的にマニュアルの策定を検討した。本報では,マニュアル策定の過程で設計手法や管理手法の標準化を図ったので,その内容・特徴について報告する。

  • 泉 明良, 寺家谷 勇希, 大山 峻一
    2024 年92 巻2 号 p. 91-94,a1
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    現在,防災重点農業用ため池を対象とした防災工事が推進されている。以前は,従来工法である押さえ盛土工法や前刃金土工法による改修が主流であったが,近年,良質な堤体材料が全国的に枯渇している傾向にあり,ベントナイトシート工法や地盤改良工法などが採用されている。工法選定に当たっては,ため池の立地条件や周辺環境等を考慮した上で,耐震性および施工性,経済性を総合的に評価しているが,ため池ごとに詳細に検討する必要がある。そこで,工法選定を効率化するために,施工上の制約条件と採用した対策工法に関するアンケートを実施し,制約条件と採用された対策工法の関係を明らかにし,対策工法の選定フローを提案した。

  • 本間 雄亮, 牧野 信夫, 黒田 清一郎
    2024 年92 巻2 号 p. 95-98,a1
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    デジタルツインはサイバー空間に現実空間の環境を再現するものであり,Society 5.0を具現化する技術と考えることができる。デジタルツインの実現に向けた技術開発は,自然災害への備え,老朽化するインフラの機能の持続性の確保と農村の活性化のために必要と考える。そこで,農研機構内のため池において行っているデジタルツイン構築の試みを紹介する。ドローンやため池に設置した水位計から取得したデータに対し,AIや統計解析を利用したデータ分析を行い,個々のデータを統合した結果をデジタルツインとして構築した。今後は,シミュレーション機能の追加や具体的な活用事例の蓄積が必要になると考える。

  • 柿野 亘, 田近 咲, 菱伊 廉, 竹内 基, 馬場 光久
    2024 年92 巻2 号 p. 99-102,a2
    発行日: 2024年
    公開日: 2026/03/13
    ジャーナル フリー

    防災重点農業用ため池に指定された青森県十和田市に位置する一本木沢ビオトープ内のため池の水位を2021年4月以降に低下させた。これを受け,一本木沢ビオトープ協議会および地域住民とで,ため池に生息する魚類およびトンボ類の分布への影響をモニタリング調査した結果,魚類については,現時点で優占種の再生産に特段の影響は確認されなかった。一方で,イトトンボ類は水際の抽水植物が水位低下で陸化することで飛来数が減少することが明らかになった。また,イシガイ科二枚貝の生息場である沿岸帯が頻繁に陸化することが懸念された。今後の課題として安定した水位管理の必要性が指摘され,一連の現状および課題が関係者で共有された。

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