(1) 上記8地方の32箇所の關係式を導き出したが, 集水面積~ 單位洪水量との關係式において, 多雨地方では對数紙上直線の勾配が最もゆるく, (換言すればAの指数nの絶膿値が最も小), 北海道地方これにつぎ, 東北太平洋岸地方が最も勾配急である (nの絶體値が最も大)。常数項Cにおいては, 上限界においては北海道地方が最も小さく, 東北, 北陸, 口本海岸地方がこれに次ぎ, 東北太平洋岸地方, 關東地方が最も大きく, 下限界においては北海道地方が最も小さく, 次いで多雨地方が大きく, 伊勢灣, 大阪灣地方及び東北太平洋岸地方が最も大きい。
(2) 上記の諸式穂括表において, 北海道地方は單位洪水量が上限界において, 他地方に比し一桁低いことが判る。多雨地方の上限界は, 8地方式中最も大きいことが判る。
(3) 上記式 (1) で代表される集水面積・單位洪水量の關係式 (上限界, 下限界) より8地方毎に, 集水面積100, 1,000, 10,000町歩の単位洪水量の上限界, 下限界を例示してみた。
(4) ある貯水池餘水吐の単位洪水量或は洪水量をきめるにあたり, その集水面積Aがきまれば, 該當地方の各式によつて示される限界内にあるか, 限界外年あるかを検討する一日安を與えるであろう。
(5) 最後に念のため断つておきたいことは, 上記の洪水量の關係式は, 今迄の貯水池設計に用いられた洪水量とその集水面積との關係を一應とりまとめたものであつて, 眞の洪水量という意味ではないことであり, 特に今後此の種データが地方的にとり上げられる契機となることを期待したい.
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