南九州のシラスおよびシラス台地の特徴を述べ, シラスが特殊土壌であり, 災害を受けやすいことの理由として, 水を含むことによって力学的特性が極端に変化し, ぜい弱化することによるとした。さらに, 南九州は, 全国的な比較においても, 最も降雨量の多い地帯であり, 戦後の台風性または前線性の豪雨による災害を列挙して, ほぼ1年に1回程度の割で, 大きな水食災害を受けていることを示した。次に, シラス地帯を主流域にもつ大淀川を例にとり, 渇水流量が比較的大きく, 河状係数が小さい有利な河川であることを示した。シラス地帯における過去の農業開発の歴史から, 畑地の開発には, 系統的排水組織の完備が必要であることを力説した。
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