土壌中の移動物質すなわち土中ガス, 化学種等の発生源として, また化学種や水の貯留や放出を司る物体として, 土中の有機物質を位置づけ, 特に粗大有機物の分解のプロセスについて解説した。まず, 定性的なその分解の様子を概説し, 各種有機物質がその存在量に比例して分解速度を決定し, 新規投入量とのバランスの中で蓄積と消失が定量的に決められる。そして, 有機物質の蓄積が連続投与によって, やがて平衡に至り, 適切な投与量の決定が可能となることを示した。最後に有機物質の蓄積が, 団粒の形成をもたらし, 土壌化の促進を促すが, その様子について若干の事例を挙げて説明した。
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