東京, 大阪, 名古屋, 新潟など, 日本の主な地盤沈下地帯は, いずれも海岸平野や埋立地等に発生している。
関東平野北部は内陸部に位置し, 地形も台地, 扇状地, 氾濫原性低地などが錯そうし臨海部のように単純でない。この事実は水文地質にも反映され, 帯水層となる砂礫層卓越地では揚水量は多いが地盤沈下は目立たず, 逆に軟弱な沖積粘土の卓越地では揚水量の割には地盤沈下が著しい。地盤沈下による被害も臨海部のようなゼロメートル地帯は生ぜず, 地形によりその様相は異なる。
このような地域における地盤沈下対策は, 地域ごとの自然・社会条件に応じたきめ細かい配慮が必要であり, 本報文ではその着眼点を述べる。
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