近年, 政府支出金の削減と水管理の改善を目的とした,「参加型水管理制度」の導入を開始する開発途上国が増加している。しかしながら, 歴史的にこのような共同的管理の経験が乏しい東南アジア等,開発途上国においては, これらの政策が必ずしもスムーズに実現していない。本報文では,「政府主導型管理から農民参加型管理へ」という大きな転換期にある水管理の現状と課題を, インドネシアとタイの事例を基に明らかにした。また,農民参加による持続的水管理体制確立のための課題として,(1)地域特性の考慮,(2)水資源の確保,(3)水利組合の水配分計画への参画,(4)水配分にかかる公平性,(5)潅漑地区運営の透明性,(6)総合的アプローチ, を示した。
抄録全体を表示