農業用水路の改修にあっては, 通水断面の形状や護岸工に用いる素材といった施設諸元を変更することにより, 生態系への配慮が可能になると考えられる。
本報では, 水路に生息している生物を対象とした生態調査とともに, 断面形状, 護岸工法や水理諸元, 水質の調査を実施し, 底生生物の多様性と水路環境との関係について明らかにした。
採集された底生生物を同定後, Shannon-Wienerの多様性指数を算出し, 底生生物の多様性指数と水路環境との関係を重回帰分析によって分析した。その結果, 護岸の植生被覆率, 6割水深流速, 水路床における礫石の質量比率, COD, T-Nが多様性指数を規定する環境要因であることがわかった。
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